スタジオの様子がこちら。間寛平さんから新加入のエースさんまで、探偵たちみんなで楽しそうにVTRを見つめている。

視聴者のお悩みを個性豊かな探偵たちが解決に導く番組『探偵!ナイトスクープ』。長年、人々を魅了する理由をプロデューサーや新探偵など番組に携わる人たちに直撃!

Index

    ユニークな依頼を送る視聴者の存在が不可欠

    視聴者から寄せられた素朴な疑問やお悩みなどの依頼を、探偵たちが依頼者と共に調査し、局長にプレゼンするバラエティ番組『探偵!ナイトスクープ』。1988年に放送が始まってから人気は衰えることを知らず、“お化け番組”と称されるほど愛され続けている。多くの人に支持され続ける理由を解明すべく、プロデューサーの森田純平さんに話を聞いてみた。

    「この番組は、局長という『権威』にプレゼンする形式で始まりました。今では当たり前となったこのスタイルを最初に取り入れたのが『ナイトスクープ』だといわれています。探偵のプレゼンが成功すれば褒められたり、爆笑してもらい、失敗すれば叱られる。みんなが集まるスタジオのシーンは、視聴者が“このVTRはどう評価されるのだろう?”とワクワクできる場になっています。『ナイトスクープ』は依頼者が主役の番組です。10分のVTRに、その人の人生が詰まっていて、依頼者が納得するにはどうすればいいのか、依頼者を好きになってもらうにはどうすればいいのか、視聴者に感情移入してもらうにはどうすればいいか、そんなことばかりを考え続けてきましたが、それこそが長く愛される理由だと思います」

    スタッフと探偵、依頼者がワンチームとなり、見る人の心を掴む。プレイヤーとして動く探偵は重要な役割を担うが選出の基準とは?

    「探偵を選ぶにあたり、面白さは欠かせない要素ですが、それ以上に番組として大切にしているのが情熱と依頼者に寄り添う心。先述の通り、皆さんが納得して満足するまで徹底的に向き合って解決を目指すこと、そして、依頼者の魅力を視聴者に伝えることも探偵の重要な役割です。そうした姿勢を持つ人かどうかを総合的に判断して選出します。10月から新探偵になった令和ロマンの松井ケムリさんとバッテリィズのエースさんは、面白さは折り紙つきですが、何より二人とも本当にいいやつなんです(笑)。エース探偵は『M-1』の準優勝以前から向いていると感じていました。ケムリ探偵はハライチの澤部(佑)さんのラジオで番組の話をよく耳にしていて、探偵への憧れを持っていたそう。二人とも間違いなく視聴者に愛されると思い、お願いしました」

    番組のチーム力を感じるのは、ディレクターの粘りが見えた時。

    「依頼者にとって、探偵とアホなことから真面目なことまで真剣に取り組むロケの日は、夢のような時間であり、一生の思い出になります。その時間を裏方みんなで全力で支えています。ディレクターがロケ前日までネタ探しを続けることも珍しくなく、困っているディレクターがいれば、みんなが早朝でも深夜でも助けに行く。そんな文化が根付いているのは、この番組ならでは。あと、これは裏話ですが、収録時に何本もVTRを流すので、ディレクター同士の間に自然と競争が生まれます。“自分のVTRが一番面白い!”と信じてロケに挑む気持ちも、常に全力を出す原動力になっています」

    また、ユニークな依頼を送ってくる視聴者の方の存在こそが、番組を成立させているという。

    「いただいた依頼はすべて目を通していますが、“こんなアホなこと、どうやって思いついたんやろ”と感心させられることばかりです(笑)。例えば『シーリングファンにイカを吊ったらスルメになるのか?』『おならが出る瞬間、肛門はどうなっているのか?』。スタッフだけでは無理です。こうした“アホな”視聴者の皆さんのおかげで番組は成り立っており、本当にありがたいと感じます」

    松井ケムリさんとエースさんにインタビュー

    10月から番組の新しい探偵に加わったお二人に、決まった時の心境や意気込み、初めてのロケの感想を聞きました。番組の“ワンチーム”感が伝わるお話にも注目を。

    【松井ケムリ探偵】目標はムツゴロウさんのような探偵。依頼者と真剣に向き合いたいです

    父親が大阪出身で、『探偵!ナイトスクープ』は実家に行った時に見ていたという松井ケムリ探偵。

    「どれだけすごい番組かということは知っていたので、めちゃくちゃびっくりしました。芸人さんもみんな『すごいな』と言ってくれますね。初めてスタジオに入った時は、寛平師匠とかもいらっしゃるので、さすがに緊張しました」

    デビュー作は、『ナイトスクープ』ではおなじみの「爆笑!小ネタ集」。比較的短いネタを詰め合わせた企画で、「口がドブ川みたいなニオイがすると言われる」「ヘソが脳天を貫かれるくらい臭いらしい」という、ニオイ系の依頼に挑戦。

    「僕が抱いていた一人の依頼者と向き合うイメージとは少し違いましたが、たくさんの依頼者とお会いできてありがたかったです。すごいなと思うのは、自分のニオイって隠そうとする人が多いじゃないですか。なのに、僕が『臭い』と言うと満足そうに帰っていくんですよ…! これが関西独特なのか、『ナイトスクープ』の依頼者独特なのかはわからないですけど(笑)。一方で、最後の小ネタは、散歩で知り合った阪神ファンの男性に巨人ファンであることを言えずに困っているという内容でしたが、感動的なニュアンスの結末で。『ナイトスクープ』の醍醐味をいろいろ味わいました。依頼ごとにディレクターさんやスタッフチームが違い、毎回、転校してきたような感じで新鮮です。やり方も多種多様、なかにはカンペを出さず、『これやって』と全部耳打ちしてくる方も。依頼者の目の前で指示されて、言われた通りに動く姿を見られるのが恥ずかしいです(笑)。まだ日は浅いけど、この番組のロケを頑張っていたら世の中のロケは全部対応できるようになるんじゃないかという気がします」

    探偵として目指す姿とは?

    「僕は子どもと動物が好きなので、ムツゴロウさんのような探偵になりたいです。この間は3歳の男の子と一日ロケをして楽しかった。ハライチさんのラジオで竹山(隆範)さんが『いい探偵になるには10年かかる』とおっしゃっていましたが、本当にその通りだなと。芸人として優秀だからいい探偵になれるわけでもなくて。依頼者と真剣に向き合って、望みを叶えていけるように頑張りたいです」

    スタジオでVTR振りをする松井さん。少し緊張の面持ち?

    依頼者のヘソのニオイを嗅ぐことに。初回からなかなかハードな洗礼を受ける。

    Profile

    松井ケムリ探偵

    まつい・けむり 1993年5月29日生まれ、神奈川県出身。令和ロマン。『ラヴィット!』(TBS系)、『令和ロマンのご様子』(stand.fm)などに出演中。

    【エース探偵】日常の中にある面白さを全力で届けていけたら

    幼少期から『探偵!ナイトスクープ』を見ていたというエース探偵。

    「『探偵になりたい』なんて言われへんというか、自分が探偵になることを想像したり、夢に見たこともなかったので、お話をいただいた時はびっくりしました。『M-1』の決勝に行った時より嬉しかったですね。家族や地元の友達など周りの人もみんな見ている番組で、探偵になることのすごさをわかっているから、伝えた時、“これはほんまにやばい”という空気が漂っていました」

    初めてのスタジオ収録の際は、感極まって泣いたのだそう。

    「あのオープニング曲が流れただけで、涙がツーッと出てきました。お客さんの手拍子も相まって迫力がすごかった。探偵の皆さんは全員素敵ですけど、僕は寛平師匠と石田靖探偵が好きです」

    最初に担当した依頼は、「どっちが大変? 前歯がない人vs奥歯がない人」。

    「正直、想像以上に変な内容で、ロケをしている最中に、俺は何してんの? と我に返る瞬間も(笑)。でも、依頼者のために本気で挑むところが番組のいいところなので、僕も全力でやることを意識して。スタッフの方がチーム一丸となって頑張る姿に感動したし、僕は皆さんを代表してテレビに映っているわけやから、一生懸命やらなければいけないなと。みんなが本気やからこそ、これだけ面白くて愛される番組になるんやと感じました。僕はもともと接客のバイトが好きやったり人と話すことが好きなので、依頼者の方と触れ合うのは、すごく楽しいです」

    ちなみに、番組のファンであるエースさんが好きな過去回は、「ガオーさんが来るぞ!」。探偵の長原成樹さんが夜寝ない子の元へ、白塗り姿の「ガオーさん」として現れる神回である。

    「リアルタイムで見ていましたが面白すぎました。めっちゃ怖いビジュアルでしたよね。僕の2回目の依頼は少し近い内容のものになっています。『ナイトスクープ』は、しょうもないことがいかに面白いかということや、実は、日常の中に面白いことがいっぱい落ちているということを教えてくれる番組やと思っています。僕もそういうことを全力で楽しく届けていけたらいいなと思います」

    1回目の放送では感動のあまり涙を流した。

    前歯のない人にインタビューするエースさん。「ワクワクが止まらなかった」

    Profile

    エース探偵

    えーす 1994年11月2日生まれ、大阪府出身。バッテリィズ。ラジオ『がっちゃんこ』(ABCラジオ)など、様々な番組にレギュラー出演している。

    取材、文・重信綾

    anan 2470号(2025年11月5日発売)より
    Check!

    No.2470掲載

    The TEAM 2025

    2025年11月05日発売

    ひとつの目標を目指して集まり、個々の才能や長所が混じり合うことでより高いパワーを発揮することができるチーム。そんなチームの現代における理想的な形や形成するための条件など多角的に考察する特集です。エンターテインメント界における注目チームにもフォーカス。4人の光る個性と大人の魅力に磨きがかかるA.B.C-Zは、メンバー4人によるグラビア&座談会が必見必読。まもなく結成15年を迎える超特急からはリョウガさん、ユーキさん、シューヤさん、マサヒロさんが登場。そして今年20周年を迎えたHANDSOME LIVEからは小関裕太さん、渡邊圭祐さん、東島京さん、本島純政さんに思いを語っていただきました。

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