
日々刻々と変わる、“応援&推し活”事情。身につけるものも楽しみ方も、十人十色。最新用語を知ることで、現代の推し活模様が見えてくるはず。あなたらしい応援ライフを送りましょう!
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トレンドワードをリサーチ! “応援&推し活”用語辞典
SNSの普及で空前の推し活ブームに!
「現在、推し活をしている人口は約1400万人。昨年と比較しても250万人も増えており、推し活は年々一般化しています」
と言うのは、株式会社Oshicoco代表取締役の多田夏帆さん。ブームの背景にはSNSの普及が。
「SNSで自分の“好き”を気軽に発信できたり、マニアックなジャンルでも同じ趣味の人と簡単に繋がりやすくなったことが大きな要因です」
さらに、推しへの感情にも変化が。
「今は3タイプあり、疑似恋愛のほか、推しの成長を見守りたい母性・父性感情が最も多く、推しを神格化する宗教タイプも。だからこそ世代や属性を超えて広がっています」
漫画家のゆるりまいさんも、ある日突然、推し活沼にハマったひとり。
「妊娠中に推し活に目覚めて以来、こんなにおもしろいことがあったのか…と革命が起きました。今までに体験したことのない行動力が出てきたり、しなくていい苦労をしたり(笑)、人生の幅が広がっています」
今回は、最近の流れを表す8つの言葉を選出&解説してもらいました。
痛〇〇(いた〇〇)

缶バッジでデコった“痛バ”は推し活の必須アイテム!
「痛○○の代表格といえば、推しの缶バッジやトレカを数十個並べた痛いバッグ、通称・痛バ。オタク文化を発祥とするラッピングカーの“痛車”から派生しました。缶バッジやトレカは中身が分からないランダムグッズなので、手間も費用も膨大。だからこそ、推しへの愛をアピールするツールとして使われます」(多田さん)。「私も痛ポーチを作りましたが、缶バッジを8つ揃えるだけでも大変だったので、痛バは本当に尊敬…!」(ゆるりさん)
【関連ワード】痛バ連番
「そもそも連番とはコンサートなどで隣同士の席になることを指しますが、痛バ連番はそのバッグバージョン。SNSで事前に呼びかけたり、会場で直接声をかけたりして参加者を探し、痛バを並べて集合写真を撮ります。もともと二次元界隈で始まった文化ですが、最近はそのブームが三次元にも飛び火。男女問わず、世代を超えて広がりつつあります」(多田さん)
応援広告(おうえんこうこく)
推しの誕生日や活動を特大広告でお祝い!
「推しの誕生日やコンサートのタイミングなどに、ファンが協力し合って広告を出す韓国発祥のカルチャー。お祝いや応援の気持ちで“推しを喜ばせたい!”というのが一番の目的ですが、“推しを多くの人に見てもらいたい!”という宣伝の意味もあります。日本は権利関係が厳しく、まだまだ応援広告を自由に出せないアイドルや作品のほうが多いのが現状ですが、Vチューバーのファンの間では盛んに行われています」(多田さん)
【関連ワード】布教シート
「推しの魅力をまとめた布教シートも宣伝ツールのひとつ。Picsartなどのアプリで作成し、推しの名前や作品名のハッシュタグをつけてSNSで配布。マイナーなコンテンツが好きな人は、推しを宣伝して需要を高めないと新しい供給がなされないことを知っているので、布教にも積極的です」(多田さん)
推し疲れ(おしづかれ)
楽しいはずの推し活にも、こんなデメリットが
「推し活に疲弊し、モチベーションが保てなくなる現象。原因は主に3つ。1つ目はコンサートやグッズなどにかかる金銭的な問題。2つ目は推し本人や運営に対する不満。そして最も多い3つ目が、ファンコミュニティの治安の悪化です」(多田さん)。「まさに私も、ファンコミュニティの雰囲気が悪くなったことが原因で推し疲れを経験。推し自体は好きでしたが、その界隈のネット上の繋がりを絶って距離を置きました」(ゆるりさん)
【関連ワード】推し変
「言葉のとおり、推し疲れなどによって推しを替えること。三次元のアイドル界隈では“担降り”ともいわれます。今の時代は推し活が習慣になっていたり、推し活そのものの虜になっている人が多いので、推し本人への気持ちがトーンダウンしても、対象を替えて推し活を続ける人が増えています」(多田さん)
推し友(おしとも)
“好き”で繋がる関係性は最高に楽しい!
「推し活を一緒に楽しむ友達が、推し友。SNS上で〈#○○好きな人と繋がりたい〉などのタグを使って、推し友を募集している人が多いです」(多田さん)。「SNS上で繋がった推し友たちは、お互い職業も知らないけど、とっても仲良し(笑)。イベントに一緒に行ったり、月に1回は集まって飲んでいます。今となっては、私の推し活は推し友ありき。わーわー言いながら萌え語りする時間がとにかく楽しくて仕方ありません」(ゆるりさん)
【関連ワード】タグ画
「自分のオタクプロフィールを一つの画像にまとめたもので、SNS上での推し友探しに効果的。住んでいる地域や年齢層、同担(推しが同じであること)拒否なのか、歓迎なのか、缶バッジ収集の有無などを書いてポストしておくことで、同じ界隈の中でも気が合う人を見つけやすくなります」(多田さん)
概念コーデ(がいねんこーで)

ファッションで推しを全力アピール!
「推しのメンバーカラーをはじめ、グループ名や公式絵文字に使われているモチーフを取り入れたファッションのこと。コンサートやイベントに行くときはもちろん、若い世代はテーマパークに行くとき、推し友と遊ぶときなどにも、写真を撮ってSNSに上げる前提で概念コーデを楽しんでいます」(多田さん)。「概念コーデで推しをアピールすると、ランダムグッズのトレードなどで声をかけてもらえるメリットも」(ゆるりさん)
【関連ワード】ヘアメ
「コンサートやイベントなど、推しに会いに行くときに気合を入れて作る盛り髪のこと。明確な定義はありませんが、強めのカールやツインテール、編みおろしなど、非日常感のある髪型に、推しのメンバーカラーやモチーフを取り入れた大きなリボンがアクセント。最近では推し活ヘアメの専門サロンができるなど、ますます盛り上がりを見せています」(多田さん)
首下界隈(くびしたかいわい)
顔はイヤだけど、コーデやグッズは見せたいの!
「首下界隈とは、顔は映っていない首から下の自撮り写真をSNSに載せる人たちのことを指します。個人情報保護の観点で自分の顔を載せるのは怖いけど、推し友とお揃いの概念コーデやグッズは見せたいという心理から。しかし最近は、顔をSNSに載せることに抵抗を感じない人であっても、盛れてるかどうかなどをいちいち気にするのが面倒だからという理由で、首下界隈になっている人も増えてきている印象です」(多田さん)
【関連ワード】オタ垢
「プライベートなアカウントとは別の、推し活専用アカウントのこと。主に推し友と繋がることや活動内容をアピールすることを目的としています」(多田さん)。「私も推し友が欲しくてオタ垢を作りましたが、友達はできたので、今は推し活の思い出やぬい撮り(後述)を載せる用として使っています(笑)」(ゆるりさん)
祭壇(さいだん)

推しのグッズを並べた神聖なるお祝いスペース
「推しの誕生日やグループの周年のときに、持っているグッズを飾り付けて祭壇のようなスペースを作ること。写真を撮ってSNSに上げることが前提なので、最近では祭壇が映える専用のフォトスタジオや、飾り付けしやすいように設計されたホテルの部屋なども続々登場中。推し友を動員して盛大にお祝いをします」(多田さん)。「それだけではありませんが、この祭壇用に、日頃からグッズを集めているようなところもあります」(ゆるりさん)
【関連ワード】本人不在の誕生日会
「祭壇を作り、推しをイメージしたオーダーケーキを食べるのが定番」(多田さん)。「推しと自分の誕生日のなか日で、真ん中バースデーパーティを開催しています(笑)。自宅に友達を招いて、グッズを並べて祭壇を作ったり、友達に推しのお面をかぶってもらったり。毎年恒例になりつつあるくらい楽しいです!」(ゆるりさん)
ぬい

最愛の推しの分身を、いつもそばに
「ぬいとは、推しをイメージしたぬいぐるみのこと。公式グッズとして多種多様に販売されていますが、最近は“おまんじゅう”と呼ばれる手のひらサイズのぬいが人気を集めています」(多田さん)。「もともとコンプリート欲があるので、推しのぬいはたくさん持っています。お気に入りのものは常に持ち歩いていて、ぬい撮り(さまざまなシチュエーションでぬいを被写体にした写真を撮ること)が習慣に」(ゆるりさん)
【関連ワード】アクリルスタンド
「通称アクスタは、推し活グッズの元祖。用途はぬいとほぼ一緒ですが、ぬいと違ってかさばらず、どんな場所にも持っていけるのが最大のメリット。シーンによってぬいとアクスタを使い分けている人が多いようです」(多田さん)。「アニオタなので、新規の絵柄が発売されるとすぐに欲しくなってしまいます」(ゆるりさん)
お話を伺った方々
Profile
多田夏帆
推し活に関する企業のマーケティング支援とグッズ販売を行う「株式会社Oshicoco」代表取締役。エンタメ企業の企画コンサルを務めるほか、推し活文化の解説者として多数のメディアにも出演。自身はタイドラマ、T-POP推し。
ゆるりまい
漫画家、イラストレーター。アラサーの妊娠期に突如としてBLコミックにハマり、腐女子化。以来、アニメオタクとなり、現在は野球漫画と『忍たま乱太郎』にドハマり中。著書に『オタ活1年生』(幻冬舎)など多数。
anan 2464号(2025年9月24日発売)より