
おそらく、日本中の人にその成長する姿を見守られてきたであろう、俳優の寺田心さん。10年前、バイキンの扮装で“かわいい”を振りまいた彼が、なんと17歳になりました!
最近は大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』に出演したり、またファッションイベントでランウェイを歩いたり、といったことが話題になった寺田心さん。どうやらかなり背が高くなったらしい…という噂は耳にしていたのですが、スタジオに入ってきた姿を見てっくり! 背が高く、脚が長い。そして、とても体格がいい!!

――いろんな人から「あの小さかった心くんが、こんなに大きくなって…」みたいなことを言われませんか?
言われます、しょっちゅう言われます(笑)。ちなみにいま高校2年生で、身長は175cmくらいあります。
――まったく面識もない人から、「成長したね」とか言われるのって、どんな感覚なんでしょうか?
全然嫌じゃないです。というか、どちらかというと嬉しいです。自分の成長記録がテレビの中に残っているような感じがするのも面白いですし。友達からは、ネットで見つけたような僕の小さい頃の写真が送られてきて、「こんなにかわいかったのに…」とか、よくからかわれますが、正直小さい頃からずっとそういう環境なので慣れました(苦笑)。
――6月に17歳になったそうですね。学校にはしっかり通っていると聞いたんですが、最近の平均的な一日の過ごし方を聞いてもいいですか?
はい。まず朝は4時か5時に起きて…。
――あの、起きるのめちゃくちゃ早くないですか? 何時に寝ているんですか?
23時くらいです(笑)。で、朝起きたらまず30分くらい犬の散歩に出かけて、帰ってきたら、前日に作っておいたお味噌汁を温めたりして朝ごはんを食べ…。
――朝ごはんを、前の日の夜に、自分で準備するんですか?
はい。で、朝食をササッと済ませたら6時くらいにお風呂に入り、30~40分程度で仕事のことをしたりそれがない日はちょっと遊んだりして、学校に行きます。それで15時くらいまで授業を受けて、仕事がある日は仕事場へ。ないときは、週2はバスケの部活、残りの日はジムに行って筋トレしてます。週5回はジムですね。帰ってきて晩ごはん作って食べて。ちょっとだけ勉強して、そのあと2時間くらい友達とオンラインゲームして、23時頃に寝ます。
――なんだかとても忙しくないですか? やることが多い…。
他にもまだやらなきゃいけないこともあるし、さらにやりたいこともいっぱいあるんですよ。正直、もうちょっと一日が長ければ…って思ってます。
――ちなみに、どんなことをしたいんでしょうか?
部活でやっているバスケがうまくなりたい、保護犬ボランティアをもっとやりたい、友達と遊びたい。あともっといろんな仕事をしてみたい。やりたいことをやるための努力は惜しみません。
――なるほど…。想像通り、すごく真面目で真っすぐなんですね。
いやいや、全然そうじゃないです。今もし隣に僕の親友2人が座ってたら、たぶん全否定されると思います。「この人、全然真面目じゃないです。頑固で面倒くさいただのクソガキです」って言うと思います(笑)。
17歳になった今は、自分のために芝居をしたい
――今年、『べらぼう』では後に松平定信になる賢丸(まさまる)を、また同じNHKのドラマ『ワタシってサバサバしてるから2』では少しワルい雰囲気の高校生を演じていました。17歳になった今の寺田さんにとって芝居の楽しさとは?
そうですね…。小さい頃は芝居も楽しかったんですが、それよりも、家族や事務所の人、友達が、「見たよ!」とか「出てたね」と声をかけてくれるのがすごく嬉しかったんです。だからたぶん、当時は自分のためではなく“喜んでくれる誰かのため”にやっていた気がします。でも大人になるにつれて、芝居そのものに面白みを感じるようになってきたというか。
――具体的にはどんなふうに面白くなってきたのでしょうか?
まず単純に、普段とは異なる自分が見られる楽しさがひとつ。それから“なれなかった自分”になれるのも楽しいし、役を演じることで僕自身がまったく経験していない気持ちを見つけることもある。難しい役をやるときは、人間の気持ちがいかに複雑なのか…、ということを毎回思い知らされます。なので、以前は人のために、と思ってやっていましたが、今は自分のために、という思いのほうが大きいかもしれません。
――この1年ほど、ドラマの出演に加え、CMやイベントへの参加など、仕事の幅がグッと広がっている印象がありますが?
そうですね…、“見た目が安定してきた”っていうのはあるかもしれません(笑)。
――どういうことですか?!
中学生のときって半年ごとに「どうした?! 何があった?!」って驚くレベルで成長著しいじゃないですか。もちろん当時も仕事はしていましたけれど、振り返るとあの頃は、できる仕事とできない仕事が明確に分かれていた時期だったんだろうなって思います。モヤモヤもしましたし若干反抗期にもなりました(笑)。でもだからこそ、自分と向き合う時間が持てたんですよね。結果、仕事を含め、好きなことをやらせてもらっている環境に感謝できるようになり、いろんな人に支えてもらっていることにも気がつくことができた。そういう意味で、あの中学時代はいい時間だったと思います。
――そんな時代を経て17歳になった今、憧れる人はいますか?
僕はなりたい人とか、たどり着きたい場所とか、目標があると頑張れるタイプなんです。というか、やりたいことが見つかるとそれについてめちゃくちゃ調べるので、すぐに目標ができちゃう(笑)。俳優だと渡辺謙さんに憧れています。あんな紳士的な人になりたい。バスケットだったら元NBA選手のアレン・アイバーソンさん。それから筋トレだと、デヴィッド・レイドさんっていうフィットネスインフルエンサーの体が目標。
――さっき週5回くらいジムに行っているって言ってましたが、どんなトレーニングを?
基本はウェイトです。もともと家で自重トレーニングを2年半くらいやっていて、ジムは通い始めてまだ半年くらいなんですが、最初は55kgくらいしか上げられなかったのが、今は80kg上げられます。目標は100kgです。僕が憧れているデヴィッドは、14歳のときはすごい細かったんですよ。でも努力をして今の体になった。それを知ってるので、なんか夢があるなって思ってます。
保護犬たちのために、獣医師になる夢があります
――夢というと、将来は獣医師になりたいと伺いました。
はい。自分が飼っている犬たちがもともと保護犬だったことや、先ほども言いましたが保護犬の介護施設でボランティアをやっていることもあって、保護犬にベストな環境とは…と考えたときに、保護施設に動物病院が併設されていることなのでは、と思ったんです。それを作るためには、自分が獣医師になるのが一番近道だな、と。なので、直近の目標は、大学受験。1年半後なので、それまでとにかく勉強を頑張らないと。俳優という仕事を続けながら、獣医師になるのが夢です。
――確かに今の時代、1つの仕事にこだわる必要はないですしね。
獣医師が夢だという話をすると、「大変じゃない?」とか「無理じゃない?」と言う人もいます。でも僕は、人間が“こうなりたいな”と想像することのほとんどは、必ず叶えられると思っているんです。ただその夢が大きければ大きいほど、努力の量も増えますが、なりたいものがあるなら、努力はするべきだと思う。才能の差はあるかもしれないけれど、僕はそこは、努力で埋められると思っています。というか、そもそもなりたいものって、好きが原点じゃないですか。好きなことだったら、絶対努力できると思う。
――才能という言葉が出たので伺いたいのですが、ブレイクした頃、寺田さんはよく“天才子役”みたいな言い方をされましたよね。当時それをどんなふうに感じていたか、覚えていますか?
ん~、そのときどう思っていたかはあまり記憶にないんですが、別に僕は、すごく才能があるほうだと思ったことはないし、今も思ってません。芝居に関しては、最初の頃は台本に書いてあることの意味もわからないし、ほんの少しのセリフでも1時間、2時間かけても全然覚えられないし、本番でも間違えまくって、すごく悩みました。でも諦めずにやってきたから、今はA4用紙1枚くらいのセリフだったら5~10分あれば全部覚えられるようになった。つまり、諦めずにやってきたから、今ここにいられるわけで。
――なるほど…。寺田さんがあまりに完璧なので、ネットなどで「寺田心さん、人生何度目だ?!」とか書かれていたのとか、ご覧になったことはありましたか?
はい(笑)。「全然そんなことないのになぁ」と思ってました。昔から、普段は同じ年の子たちと全然同じように、騒いだりバカなことやったりしてますから!
――今日は取材が終わったら、家に帰って何をしますか?
まず晩ごはんを作って食べて、そのあとゲームしたいですが、大学に受かるまではいろいろ我慢と決めているので、勉強かな…。
――やりたいことや夢がいっぱいあるって、素敵ですね。
人生って、可能性だらけだと思うんですよ。だからこそ、自分で自分を盛り上げて、“できるよ、だって僕だよ?”と自画自賛しながら頑張りたい。落ち込んでいる友人から「お前がそばにいてくれてよかった、なんか元気が出たよ」ってよく言われるんですが、実はちょっと嬉しいです(笑)。
Profile

寺田 心
てらだ・こころ 2008年6月10日生まれ、愛知県出身。3歳から芸能活動をスタートし、2015年〈リトルベン〉に扮したトイレのCMで大ブレイク。以降、子役として活躍し、数々のドラマや映画、CMに出演。趣味で始めた料理では講師のライセンスも取得。また以前から保護犬に関心が高く、現在も老犬介護施設でボランティア活動をしている。
Information
昨年製作された主演のショートムービー『男子校のオレが共学に!? 異世界転校生ココロ』が、アジア最大級の国際短編映画祭「ショートショート フィルムフェスティバル&アジア 2025」で、ナショナル部門の最優秀賞を獲得。
写真・八木 咲 スタイリスト・ダヨシ ヘア&メイク・伏屋陽子(ESPER) インタビュー、文・河野友紀
anan2456号(2025年7月23日発売)より