はしゃ『甘くて辛くて酸っぱい』1

夢の世界にある喫茶店が舞台の新感覚グルメファンタジー『さめない街の喫茶店』の著者、はしゃさんがまたも魅惑的なグルメコミックを刊行。『甘くて辛くて酸っぱい』は、酢谷(すや)・辛島(からしま)・甘地(あまじ)という「味」が関わる名字を持つ女性3人が、共同で借りているセカンドハウスに集い、ごはんやお酒やプチイベントを楽しみまくる連作ストーリーだ。


大人たちの憧れがてんこ盛り! セカンドハウス×日常グルメライフ

「『さめない~』のときよりも密な人間模様を描いてみたくて。ただ、そうした題材は初挑戦だったので、自分の好きな食の力を借りようと思いました。レモンに砂糖をまぶすと酸味がマイルドになりますが、そんな味の相互作用を人間関係に落とし込めたら面白いんじゃないかと」

〈酢谷〉〈辛島〉〈甘地〉それぞれのキャラクターに関しては、

「辛島だから辛い=激しい性格、というよりは、たまたまその名字になった人という感じで現実的な性格にしています。個性は出るように自分の性格の一部分を各キャラクターに分け与えて描き分けています」

スパイシーな肉餡をフルーツにのせて食すタイ料理の「マーホー」など、味のコンビネーションにこだわったグルメが多数登場し、あまたのグルメコミックと一線を画す本書。クラフトビールやシャンパンなどの解説があり、初心者にもわかりやすい親切設計になっているのも魅力だ。

「私も知識ゼロのところから勉強した経緯があったので、自分が調べるときに『これってどういうこと?』と疑問を持ったことやわかりにくかったことは、できるだけ噛み砕いてちゃんと説明しようと思いました」

実は、好きが高じて、クラフトビール屋さんとワインショップでアルバイトもしているそう。

「躍動感のある食べ物の絵柄が好きなので、シズル感を出すのに必要以上にキラキラさせたり、湯気をもわっとさせたり、擬音を加えたりと演出は結構しますね。マンガならではのデフォルメとエフェクトを積極的に取り入れてます(笑)」

そして、誰もがうらやむのが、彼女たちが、気兼ねなく集まれる第二の拠点を持っている点だろう。

「大人になって集まるといったらお店になりがちですが、それだとできることも限られますし、滞在時間も有限です。大人も、ゲームしたり料理したり、ただ“集まる”ことができる秘密基地が欲しい! とセカンドハウスの設定をつけました」

3人のこれからを、もっとずっと見つめていきたい。

はしゃさん

Profile

マンガ家、イラストレーター。1992年生まれ、新潟県出身。大阪芸術大学卒。2017年刊行のデビュー単行本『さめない街の喫茶店』で一躍話題に。

『甘くて辛くて酸っぱい』1

Information

酢谷は一人暮らしのフリーランスWebエンジニア。辛島は恋人と同棲中、甘地は実家暮らしで、共に会社員。三者三様のキャラクターが魅力的。マガジンハウス 1210円 Ⓒはしゃ/マガジンハウス

写真・中島慶子 インタビュー、文・三浦天紗子

anan 2455号(2025年7月16日発売)より
Check!

No.2455掲載

夏の推し旅 2025

2025年07月16日発売

海、美食、動物、かき氷、アートなど「大好き」なもの=“推し”を追い求める癒しの旅を案内する特集。夏といえばの沖縄は、那覇&本島西海岸のエリア別解説のほか、久米島、西表島という2つの離島もフィーチャー。他に「大人の夏休み」として、埼玉・長瀞の涼を求めて日帰り旅、栃木・那須で自然に触れる“大人の林間学校”、岡山で今が旬のフルーツとアートを楽しむ旅、北海道・トマムで雄大な自然を満喫する旅など、この夏おすすめの旅先をご紹介します。 ※ anan2455号POPver.(通常版)と、MODEver.(特装版)は表紙・掲載グラビア(Mrs. GREEN APPLE)・バックカバー・価格が異なり、その他の内容は同一です。

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