「ライブシーンは一発勝負」上白石萌歌さんの「覚悟」〜『パリピ孔明 THE MOVIE』

エンタメ
2025.04.24

俳優としての活躍だけでなく、adieu名義でアーティスト活動も行う上白石萌歌さん

『ヤングマガジン』(講談社)で連載中の『パリピ孔明』を実写化したドラマ版から1年半。キャラクターの濃さや本格的な楽曲とライブシーンが話題を呼んだ本作がスケールアップしてスクリーンに帰ってくる! 劇中ではシンガーとして、演技だけでなく歌唱も披露する上白石萌歌さんに本作の魅力をたっぷり語ってもらいました。

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INDEX

    映画化の喜びと不安

    ── 映画化が決まった時の感想を教えてください。

    上白石萌歌さん(以下、上白石) 『パリピ孔明』は大好きな作品なので、また英子を生きられるというのはすごく嬉しかったですし、音響や映像などドラマの時からかなりこだわって作っているので、映画館という最上の環境で観ていただけるというのは楽しみでもあって。その反面、難しい役でもあるので不安もありました。

    ── 続投キャストも多く、心強さもあったのではないですか?

    上白石 本当にこの作品で生まれたご縁がたくさんあって、例えば七海役の八木莉可子さんとは今では親友のような関係になることができましたし、ミア西表役の小春ちゃん(菅原小春)ともすごく親密な関係になるきっかけとなった作品だったので、またみんなと一緒に作品を作れるんだという喜びもひとしおでした。

    ── 主演の向井さんとの再会はいかがでしたか?

    上白石 向井さんはずっと孔明としていてくださったので、その姿を見るだけで私も自然と英子に戻ることができたように思います。

    ── 孔明のビジュアルはインパクトがあるのに、どんなシーンでもなぜかしっくりくるのがすごいですよね。まさに“超孔明”。

    上白石 そうなんです! こんなに孔明を全うできる方ってほかにいないと思いますし、とにかくすごい美しいんですよね。思わず崇めたくなるような美しさがあって、あらためてご一緒してさすがだなと思いました。

    ©︎四葉夕ト・小川亮/講談社 ©︎2025 「パリピ孔明 THE MOVIE」製作委員会

    ── 今回の撮影で思い出に残っているシーンはありますか?

    上白石 ライブシーンはもちろんですが、七海とのシーンもすごく印象に残っています。ドラマをきっかけにプライベートでも仲を深めてきたからこそ、何気ないシーンでも心が通っている気がして、安心して撮影を行うことができました。

    ── 確かに演技以上の心のつながりを感じるシーンでしたね。

    上白石 短いシーンではありますが、私は本当に八木ちゃんのことを信頼しているんだなとあらためて気づかされました。

    ── 最大の見せ場となる音楽フェスのシーンは、実際にお客さんを入れた一発勝負の環境でさまざまなシーンを撮影されたとか。

    上白石 そうなんです。自分が準備している裏では必ず誰かがパフォーマンスをしているという状況はすごく緊張しました。失敗できないという緊張感もありますし、「このあとに歌うのか…」といったプレッシャーもリアルに感じていました。

    ── あれだけ豪華なキャストを集めた撮影。ライブシーンは本当に迫力がありました。

    上白石 ライブシーンは、実際にライブ映像の撮影を普段から行っているチームに入っていただいて、本物さながら。なんと13カメ体制で撮影しているんです。

    ── すごい! だからこそあの没入感を楽しめるんですね。カメオ出演も贅沢でスクリーンならではの楽しみ方もたくさんあるように感じました。

    上白石 本当にどのシーンも見逃せないというか、『ウォーリーをさがせ!』のような贅沢すぎるシーンが続きます。画面の隅々まで注目して観ていただきたいです。

    演じること、歌うこと

    ── 上白石さんご自身もadieuとして、昨年はサマーソニックに出演されました。シンガーとしての実体験が役作りに反映されることもありましたか?

    上白石 ちょうどこの撮影の期間中にサマソニに出演させていただいて、私自身もフェスは初経験だったので、他の方の音楽を聴きながら準備をしているとこういう気持ちになるんだとか、フェスならではの空気感をリアルに感じられて、役にも反映することができました。

    ── 英子の立場をリアルに経験されているからこそ、お芝居以上の感情が引き出されますよね。

    上白石 歌からお芝居、お芝居から歌へとどちらにも作用するものがあります。特にこの作品はその両輪でやってる感じがとてもありました。

    ── 〈EIKO〉としての新曲『Count on me』が劇中で披露されましたが、実際に演奏されていかがでしたか?

    上白石 Saucy Dogの石原(慎也)さんが提供してくださった曲なのですが、初めて聴いた時にぼろぼろ泣いてしまいました。どうしてこんなに英子の気持ちがわかるんだろうというのと、私の気持ちまでも見透かされている気がして。

    ── どういう部分に強く共感されたのですか?

    上白石 『Count on me』というタイトルは「私を頼って」という意味で、孔明に対する想いを歌った歌詞でありながらも、自分自身の音楽への気持ちと向き合うようなメッセージも感じられました。音楽に頼ってもらえるような自分でありたいという気持ちや、この曲に恥じないお芝居と歌を絶対にやらなきゃいけないという覚悟が決まった瞬間でもありました。

    ©︎四葉夕ト・小川亮/講談社 ©︎2025 「パリピ孔明 THE MOVIE」製作委員会

    ── 確かに、シーンによって異なる景色を見せてくれる素敵な楽曲でした。エンディングでは、本作に出演されている詩羽さんと楽曲を提供された幾田りらさんと共演されましたが、その撮影はいかがでしたか?

    上白石 撮影は今年の年明けに行ったのですが、本当に人生のご褒美のような時間でした。私たちが集まったのはその日が初めてだったのですが、同世代ということもあり、『ボクらの時代』の番組のように「歌う前はどうしてる?」とか、「休みの日あるの?」といった、たわいもないことをずっと話していました。

    ── 現場も盛り上がっていたのですね。

    上白石 すごい偶然だなと思ったのは、ドラマの撮影中にすごくよく聴いていたのが2人の楽曲だったこと。私は自分の演じる役について、現実にいる人だったらどういう人がしっくりくるだろう?と妄想することが好きなのですが、今回の英子はたまたま幾田さんと詩羽のことを思い浮かべていたんです。今回の共演もなんだか特別な気持ちで臨むことができました。

    ── 上白石さんご自身は、フェスはお好きですか?

    上白石 そんなにたくさん行っているわけではないのですが、好きです。1日でいろいろな人のパフォーマンスを観られるのは特別感がありますよね。私が参加したサマーソニックは、ビーチステージという海辺のステージだったのですが、夜になるとだんだんと涼しくなって、海風が吹いてきたりして。音楽をより身近に感じられる素敵な時間でした。

    ── 参加してみたいフェスはありますか?

    上白石 「ライジングサンロックフェスティバル」にはすごい興味があります。北海道だから夏でも涼しそうですし、会場内にテントサイトがあって、一晩中音楽が鳴り響いていると聞いて、adieuの曲調的にも夜のムードが合うと思うので、深夜のみんながうとうとしだす時間帯のステージに立ってみたいです。

    ── anan読者に向けて、本作の楽しみ方を改めて教えてください。

    上白石 私自身立ち上がって観ているような錯覚に陥るほど、未だかつてないスケールと臨場感のある作品です。全体の半分くらいをライブシーンが占めていて、生のライブを全身で浴びるような感覚になれたので、ぜひライブハウスに足を運ぶような気持ちで映画館に行っていただけたら嬉しいです。

    いま、好きなこと

    上白石 レゴにハマっています。プレゼントでいただいたことをきっかけに始めてみたのですが、あれって工程に文字がひとつもないんですよね。子供からお年寄りまで楽しめる素晴らしいデザインだなと思って一気に惹かれました。種類もたくさんあるので、どんどん沼ってます。先日も友人にお花を贈りたいなと思い、ブーケのレゴを組み立てて、包装紙に包んでプレゼントしました。

    INFORMATION インフォメーション

    『パリピ孔明 THE MOVIE』

    なぜか現代の渋谷に転生した三国時代の天才軍師・諸葛孔明は、アマチュアシンガー・月見英子の軍師となり、ともに音楽の力で“天下泰平”を目指すことに。そんな中、日本を代表する3大音楽レーベル「KEY TIME」「SSSミュージック」「V-EX」が頂点を競う史上最大の音楽バトルフェスの開催が決定。孔明と英子も参戦を決めるが、三国時代の孔明のライバル・司馬懿の末裔である司馬潤とその妹でシンガーのshinが立ちはだかる—。©︎四葉夕ト・小川亮/講談社 ©︎2025 「パリピ孔明 THE MOVIE」製作委員会

    監督/渋江修平、原作/四葉タト、小川亮(漫画)、出演/向井理、上白石萌歌、神尾楓珠、詩羽、森山未來、ディーン・フジオカほか
    2025年4月25日(金)全国公開

    詳しくはこちら

    PROFILE プロフィール

    上白石萌歌(かみしらいし・もか)

    2000年2月28日生まれ、鹿児島県出身。11年開催の第7回「東宝シンデレラ」オーディションにてグランプリを受賞。翌12年に俳優デビュー。2018年、第42回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。「義母と娘のブルース」(18年~)や「ペンディングトレイン -8時23分、明日 君と」(23年)といったドラマや、興行収入が25億円を突破した映画『366日』(25年)など話題作に数多く出演する。adieu名義で音楽活動も行う。25歳を記念した写真集「charm charm」(講談社)は6月4日に発売。

    写真・園山友基 インタビュー、文・市谷未希子

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