安藤玉恵「ひと言で伝わる芝居を目指したい」 名作『花と龍』が舞台に!

エンタメ
2025.02.10

安藤玉恵さん

石炭産業に日本中が沸いた明治時代。北九州の炭鉱で腕と度胸ときっぷの良さでのしあがってゆく金五郎と、器量の大きさで彼と共に生きるマンを描いた『花と龍』。約70年前に書かれ、豪快かつ痛快な展開で何度も映像化された人気作が舞台に。

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劇場に屋台村!? 芝居小屋ムードで楽しめる豪快で痛快な義侠の物語。

「この話が実話に基づいているのがまずすごいこと。明治時代に今の労働組合の基礎になる仕組みを作った人で、そこに興味が湧きました。金五郎さんとマンさん夫婦の生き方に“人を助けるのは当たり前”という哲学にハッとします」

と、マンを演じる安藤玉恵さん。任侠の世界の泥くささや壮絶さを描きながらも、互いに深く信頼し合う関係性。「たとえれば『ロミオとジュリエット』のジュリエットのような愛され方ですよね」と微笑む。

「こんなにピュアに愛されて自分も愛して、カッコいいヒロインを演じることなんて、後にも先にもないんじゃないかと思って、楽しんでやっています。たとえば義理のお姉さんがお昼を持ってくる場面とか、ちょっとしたセリフにも彼女の人柄が表れているので、ひと言で伝わる芝居を目指したいなと思っています」

金五郎役は福田転球さん。

「転球さんはお芝居に無理がまったくなく、自然体なんです。人柄が金五郎さんと重なっていてカッコいいから、マンさん同様惚れている最中です(笑)。金五郎さんはあらゆる女性に言い寄られてしまうんですけれど、そのシーンの稽古で本当に照れていらしたりして。だからこちらも無理なく愛をぶつけられています」

体当たりで役に臨み、作品愛に溢れる安藤さんという俳優もマンそのもの。発する言葉ひとつ、何気ない仕草ひとつにも生活の匂いが立ち上り、役の背景を感じさせてくれる。

「セリフを言うために、その人がどういう生活をしていて、今どういう状況で誰とどんな関係で、どんな会話をしているか、これでいいかなと自分で納得できるところに至るまで考えるようにしています。たぶん俳優みんなそうだと思いますけれど、何気なく周りの人を観察していたりしますし、ドラマや映画の“寄り”の表情のちょっとした動きを参考にすることもあります。舞台は体の使い方が参考になることが多いです」

今作は舞台上に屋台村を作り、飲食しながら芝居を楽しめる趣向に。

「演出の長塚さんがこの劇場でやろうとしている試みに参加することで、自分自身にも大きな影響がある気がしているんですよね」

PROFILE プロフィール

安藤玉恵さん

あんどう・たまえ 東京都出身。今後の予定にWOWOWにて2月23日スタートの連続ドラマW『ゴールドサンセット』出演、5月末にエッセイ本『とんかつ屋のたまちゃん』発売、3月25日に日暮里サニーホールで行われる音楽朗読劇にも出演。

INFORMATION インフォメーション

KAAT×新ロイヤル大衆舎vol.2『花と龍』

明治の終わり、北九州の若松港で石炭の荷役として働いていた玉井金五郎(福田)とマン(安藤)は互いに惹かれ合い夫婦となる。その人柄が慕われ、いつしか人を束ねる立場となるが…。2/8(土)~22(土) 神奈川・KAAT神奈川芸術劇場〈ホール〉 原作/火野葦平 脚本/齋藤雅文 演出/長塚圭史 音楽/山内圭哉 出演/福田転球、安藤玉恵、松田凌、村岡希美、稲荷卓央、北村優衣、森田涼花、成松修、新名基浩、大鶴美仁音、坂本慶介、北川雅、馬場煇平、白倉基陽、永真、山内圭哉、長塚圭史、大堀こういち 全席指定 桟敷席・一階席8800円 二階席6000円ほか チケットかながわ TEL:0570・015・415(10:00~18:00) 富山、兵庫、福岡公演あり。

詳しくはこちら

写真・小笠原真紀 スタイリスト・Kei(salon de GAUCHO) ヘア&メイク・大和田一美 インタビュー、文・望月リサ

anan 2433号(2025年2月5日発売)より

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