『劇場版 忍たま乱太郎 ドクタケ忍者隊最強の軍師』キャラデザ&音楽の立場から語る、劇場版のこだわり

エンタメ
2024.12.22

『忍たま乱太郎』の13年ぶりとなる劇場版アニメ『劇場版 忍たま乱太郎 ドクタケ忍者隊最強の軍師』がついに公開目前! ここでは、TVアニメシリーズでもおなじみのスタッフに、キャラクターデザイン、音楽の立場から劇場版の魅力について語っていただきました。

【キャラクターデザイン】新山恵美子「命の危機が迫る不穏な感じを意識して描きました」

公開されて即大反響を呼んだ「超ティザービジュアル」。物憂げな土井先生が描かれたビジュアルは、劇場版のテイストがこれまでの『忍たま』とは大きく異なることを予感させた。イラストを手がけた新山恵美子さんのこだわりは?

「構図は土井先生一人の立ち絵ですごくシンプル。その分、表情やポージングにはすごくこだわっています。デッサンのような鉛筆描きの線にしたのも、今回の劇場版ならではの緊張感を出したかったから。鉛筆の濃さや色、紙の種類も納得がいくまでいろんなものを試しました。完成系はパッと見だと単色の線のように見えますが、実は黒と青の2色使っています」

2012年からTVシリーズの作画監督、’14年からキャラクターデザインも担当している新山さん。TVシリーズと劇場版の違いで意識したことは?

「劇場版はいつものTVシリーズよりも命の危機が迫るような物騒で不穏な感じを意識して描いています。あとは忍者のしなやかさや力強さも大事なポイントです。ここで悩んだのが乱太郎、きり丸、しんべヱで。一人ひとりが武器を持ったイラストも描き下ろしたのですが、最初は3人には無難に手裏剣を持たせようかな? と思ったんです。でも、シリアスだけど少し気が抜けてるところがあるのも『忍たま』のいいところだと考え直して、結局は包帯、小銭、おでんを持ってもらいました(笑)」

実は、新山さんも元々は『忍たま』シリーズのファン。作り手側に回った今でも、ファン目線は忘れないようにしているそう。

「丸っこくてかわいい、親しみやすいキャラデザなのに、一人ひとりの思考や行動は人間くさいところが『忍たま』キャラの魅力だと思っています。私もファンの一人なので、自分が制作したものをファン目線に戻って客観視するというのは意識しています。また、同じく『忍たま』ファンの会社の後輩たちに意見をもらうことも。“かわいい”の基準も時代の変化とともに変わるので、トレンドも意識しつつ、常に観てくれる人のことを考えて、制作しています」

【音楽】馬飼野康二「“忍”を感じさせる要素を劇伴で表現」

『忍たま乱太郎』の主題歌として、知らない人はいないであろう名曲「勇気100%」。その作曲者として知られる馬飼野康二さんが、今作の劇伴も担当している。

「以前にも劇場版『忍たま』の音楽を担当していたので、今回も最初にお話を聞いた時は、それに近いものを作ればいいのかなと想像していたんです。でもコンテができて、お話の詳細を聞くにつれて、今までとはテイストが違う作品になるんだとわかって。やや緊張気味になりました(笑)。ただ、話を聞くとプロデューサーや監督のやりたいことがはっきりしていたので、僕は職業作家としてそれにできるだけ応えようと、そういう気持ちで挑みました。プロデューサーからは“忍”を感じさせる要素として、スピード感のある曲でとか、あとは太鼓やドラムの音を入れてほしいとか、そういうリクエストがありました」

なにわ男子が歌う主題歌「ありがとう心から」も「勇気100%」と同じく作曲を馬飼野さん、作詞を松井五郎さんが担当している。

「私が作ったメロディに松井さんが歌詞をつけるという順番で作ったのですが、歌詞先行で作ったのでは? と思うくらい、松井さんはメロディにぴったりな詞を書くんです。すごい才能だし、『忍たま』の世界観をよく理解されているんだと思います。“間違っても失敗しても、別の正解があるんだよ”というメッセージが込められている歌詞ですが、『勇気100%』にも通じる『忍たま乱太郎』らしいメッセージですよね」

PROFILE プロフィール

新山恵美子

にいやま・えみこ キャラクターデザイン、作画監督を務めるアニメーター。今回の劇場版でもキャラクターデザインとしてティザービジュアルの描き下ろしなどを担当。

馬飼野康二

まかいの・こうじ 作曲家、編曲家。『落第忍者乱太郎』のアニメ化を提案した張本人でもあり、初期から『忍たま』シリーズの主題歌や劇伴など音楽全般を手がける。

INFORMATION インフォメーション

忍たま乱太郎

尼子騒兵衛のギャグ漫画『落第忍者乱太郎』を原作とし、NHK Eテレで放送中のTVアニメ『忍たま乱太郎』。舞台は戦国時代。猪名寺乱太郎は友だちの摂津のきり丸、福富しんべヱたちと共に、忍者のたまご=“忍たま”として、一流の忍者を目指し忍術学園で勉強中。しかし、試験も授業もうまくいかずドジばかりで…というストーリー。1993年の放送開始以来、幅広い世代から親しまれ、2011年と’13年には実写映画化、’10年から現在まで2.5 次元ミュージカルも上演されるなど、多方面に展開。今回の『劇場版 忍たま乱太郎 ドクタケ忍者隊最強の軍師』は、13年ぶり3度目のアニメ映画。ファンの間で人気の小説を原作とした今までにないシリアスな物語だ。

乱太郎たちの担任・土井先生がある日消息を絶ってしまった。捜索を続ける忍術学園の生徒たちの前に、土井先生に瓜二つなドクタケ忍者隊の冷徹な軍師・天鬼(てんき)が現れる――。12月20日(金)から全国公開。

『劇場版 忍たま乱太郎 ドクタケ忍者隊最強の軍師』公式サイト

取材、文・井上明日香 Ⓒ尼子騒兵衛/劇場版忍たま乱太郎製作委員会

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