『忍たま乱太郎』“らん・きり・しん”役、高山みなみ×田中真弓×一龍斎貞友に聞く、劇場版への思い

エンタメ
2024.12.20

1993年にTVアニメの放送がスタートし、30年以上愛され続けている『忍たま乱太郎』の13年ぶりとなる劇場版アニメ『劇場版 忍たま乱太郎 ドクタケ忍者隊最強の軍師』がついに公開目前! 30年以上変わらずにキャラクターボイスを務めてきた高山みなみさん、田中真弓さん、一龍斎貞友さんの“らん・きり・しん”役3人に劇場版への思いを伺いました。

高山みなみ as 乱太郎×田中真弓 as きり丸×一龍斎貞友 as しんべヱ

アニメ『忍たま乱太郎』のメインキャラクターである乱太郎、きり丸、しんべヱ。ちょっぴりドジだけれど明るく仲良しな3人に元気をもらったファンも多いはず。今作ではどんな活躍をしているのだろう。

――まず、今回の台本を最初に読んだ時の感想を教えてください。

高山:シリアスな物語でいつもの『忍たま』らしい笑えるシーンはあるのだろうか? と探しながら読みましたが、笑えるシーンもあり大人も子どもも関係なく楽しめるものになっていると感じました。

田中:稗田八方斎(ひえた・はっぽうさい)やドクタケ忍者隊は、TVアニメだと敵なんですが、ふざけているんですよね(笑)。でも今作では怖い存在として描かれていて、それが個人的には嬉しかったです。人間って一面だけではないと思うので。

貞友:子ども向けにしては確かに難しいかもしれないけれど、逆に『忍たま』を観て育ってきた大人にも楽しんでもらえるかもしれないなと思いました。

――TVアニメよりシリアスなシーンも多かったと思いますが、アフレコの際に気をつけたことは?

高山:私は特にいつもと変わりませんでした。土井先生が大変な目に遭っていることを乱太郎たちは知らないので。あくまで「きりちゃんの様子がおかしいけど、何かあったのかな?」って、きり丸を心配するお話として演じました。

田中:私はシリアスとギャグのギャップには少し悩みました。きり丸は小銭が大好きなので、いつもだったら小銭が落ちた音にギャグっぽく反応するのですが、今回はどんな感じでいこうかなと。

高山:全部がシリアス路線ではなく、いつも通りのギャグシーンもあったからこそ、きり丸は気持ちを作るのが難しかったかもね。

貞友:それなのにしんべヱはいつもの調子で「お腹すいた~」って。あんたはもう! どんな時もぶれないにもほどがある(汗)って。スミマセン(笑)。

高山:いやあ、今回はしんべヱのそれに助けられたね(笑)。

――3人の活躍も楽しみです。劇場版の中で特に印象に残っているシーンはありますか?

高山:冒頭ですね。これはいつの出来事なんだろう? と気になる始まり方でしたね。

田中:私は、きり丸が土井先生のことで悩んでいる時、きり丸としては隠しているつもりなんだけど、乱太郎としんべヱにはバレているというのが、いいなと思いました。

貞友:今回アフレコをして初めて知った設定もあって驚きました。

――今作でも仲良しな乱太郎、きり丸、しんべヱですが、皆さんから見て、3人の仲の良さの理由はどこにあると思いますか?

高山:育ってきた環境や家柄は関係なく、お互いを「個」として認め合っているからですかね。

貞友:外的要因は置いておいて、一人の人間として向き合っている。

高山:忍術学園は全寮制ですが、そのための寮なのかもしれないですね。出自は関係なく、皆平等に生活をさせていますから。

田中:しんべヱの家は裕福で、乱太郎の家は貧しいけれど仲が良くて、きり丸は貧しいし家族がいない。アニメも最初の頃は「お前らには俺の気持ちなんてわからねえよ」みたいなセリフもあったんです。ギャグアニメなので、そういう寂しいセリフは次第になくなっていったけれど、きり丸にはいまだにそういう気持ちもあると思う。

高山:あって普通だよね。でもあえてそういう要素はなくして、全員平等に「個」であることに重きを置いているんだと思います。忍者は命懸けの仕事ですからね。家族を持つこともありますが、まずはひとり立ちできないと。そういう意味でも、忍術学園は「個」としてやっていける力を育てているんじゃないかと思っています。

――ありがとうございました。最後に、今作を楽しみにしているファンへメッセージをお願いします。

高山:本当に『忍たま』なのか? と思うようなオープニングですが、観ていくうちに『忍たま』らしさを感じていただけるはず。今作とTVシリーズをあわせて観ることで、より深く『忍たま』の世界を味わってくださいね。

田中:今作は土井先生ときり丸の関係が濃く描かれていて、とても嬉しいです。『忍たま』には他にも魅力的なキャラが大勢いるので今後、いろんなキャラそれぞれの個性や魅力に焦点を当てたお話を作ってもらえたら、もっと『忍たま』の世界が広がるんじゃないかと可能性を感じました。

貞友:小さい子たちには、難しく感じたことも一つの経験として楽しんでいただけたら。私はこのお話を一回で理解できなくてもいいと思っていて。後々また観て「当時はわからなかったけど、こういうことが描かれていたのか」とか違う受け止め方ができるかもしれない。そういうふうに長い時間をかけて繰り返し観て『忍たま』という作品への思いを育んでいってもらえたら嬉しいです。

PROFILE プロフィール

高山みなみ

たかやま・みなみ 東京都出身。主な出演作に『名探偵コナン』(江戸川コナン)、『ゲゲゲの鬼太郎』(鬼太郎)、映画『魔女の宅急便』(キキ)や近作に『らんま1/2』(天道なびき)など。

田中真弓

たなか・まゆみ 東京都出身。主な出演作に『ONE PIECE』(モンキー・D・ルフィ)、『ドラゴンボール』(クリリン)、近作に『ダンダダン』(ターボババア)など。

一龍斎貞友

いちりゅうさい・ていゆう 大阪府出身。主な出演作に『あさイチ』(とりっぷさん)、『クレヨンしんちゃん』(マサオくん)など。講談師としても活動。

INFORMATION インフォメーション

忍たま乱太郎

尼子騒兵衛のギャグ漫画『落第忍者乱太郎』を原作とし、NHK Eテレで放送中のTVアニメ『忍たま乱太郎』。舞台は戦国時代。猪名寺乱太郎は友だちの摂津のきり丸、福富しんべヱたちと共に、忍者のたまご=“忍たま”として、一流の忍者を目指し忍術学園で勉強中。しかし、試験も授業もうまくいかずドジばかりで…というストーリー。1993年の放送開始以来、幅広い世代から親しまれ、2011年と’13年には実写映画化、’10年から現在まで2.5 次元ミュージカルも上演されるなど、多方面に展開。今回の『劇場版 忍たま乱太郎 ドクタケ忍者隊最強の軍師』は、13年ぶり3度目のアニメ映画。ファンの間で人気の小説を原作とした今までにないシリアスな物語だ。

乱太郎たちの担任・土井先生がある日消息を絶ってしまった。捜索を続ける忍術学園の生徒たちの前に、土井先生に瓜二つなドクタケ忍者隊の冷徹な軍師・天鬼(てんき)が現れる――。12月20日(金)から全国公開。

『劇場版 忍たま乱太郎 ドクタケ忍者隊最強の軍師』公式サイト

取材、文・井上明日香 Ⓒ尼子騒兵衛/劇場版忍たま乱太郎製作委員会

anan 2427号(2024年12月18日発売)より

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