優香、サスペンスなのに笑ってばかり? 三谷幸喜の舞台で

エンタメ
2017.03.06
三谷幸喜の新作舞台『不信~彼女が嘘をつく理由』に出演する優香さん。
優香

思えば、かつてコント番組に出演していた頃から、コメディエンヌとしてのセンスはズバ抜けていた感はある。それでも、’14年に三谷幸喜さん脚本・演出の『酒と涙とジキルとハイド』での優香さんを観た人は、誰もが驚いたはず。そこで演じたのは、二重人格であるかのように清楚キャラから奔放な女性へと行ったり来たりするヒロイン。豹変ぶりを絶妙な間で見せ劇場を沸かせた。その優香さんが『不信~彼女が嘘をつく理由』で再び三谷さんとタッグを組み、2度目の舞台出演を果たす。

「前作はドタバタなコメディで、とにかく笑うだけ笑ってスッキリ終われる作品だったので、プレッシャーは感じつつも、楽しい気持ちのほうが大きかったんですよね。普段出さない大きな声を出して、ストレス発散にもなりましたし。でも今回に関しては、台本の前半しかいただいていないのにセリフ量がすごくて、恐怖しかない。楽しむ余裕なんて、まったくないです」

と言いつつも、舞台度胸の良さはすでに証明済みだ。

「基本、小心者でプレッシャーから逃れたいタイプ。すぐにいっぱいいっぱいになるんですが、ふと入ったお店のカレンダーに書かれていた『努力は報われる』みたいな言葉を見て、本当にそうだよなぁって思って立ち直る。それくらいです(笑)」

前回のドタバタコメディから一転、今回は“嘘”をキーワードにしたサスペンスになるのだとか。

「真逆なテイストになると聞いていたはずなんですけれど…。いまの時点では、私にはコメディに見えるんですよね。とくに段田(安則)さんには、稽古場で何回も笑わされています。ただ、スーパーマーケットのような日常的な場面が展開されていくのに、セットを含めてどこか不思議と無機質な感じも漂っていて…。いままでに三谷さんの作品をたくさん観てきた方にも、新鮮に感じていただけるんじゃないかと思います」

優香

演じる役柄は「ずーっとしゃべっているテンションの高い役」。

「三谷さんからは、周りを振り回してほしいと言われています。ただ、サブタイトルから推測すると、私か戸田(恵子)さんのどちらかが嘘をついているんだと思うんですが、でもどれが嘘なのか、果たして本当に嘘をついているのかまだわからない。私自身も、この先どうなるんだろうってドキドキしてるところです」

演じる俳優に合わせて役をアテ書きするのが三谷さんのスタイル。

「人が話している最中にどっか行っちゃうような役なんですが、そこは私に似ているんですよね。人の話を聞きながら別のことを考え始めちゃって、全然別の話をしだすとか。直さなくちゃとは思うんですけれど」

どんな悪女や変わり者を演じても、なぜか憎めないのは、優香さん自身が持っている愛嬌という特権。それを変わらず持ち続ける稀有な存在だ。

「変わらないことって停滞しているようにも捉えられますし、いいことなのかはわからないです。とはいえ、無理して変わろうとするのは自分には難しいんですよね。ただ頑固なだけなのかもしれませんけれど」

ゆうか 1980年生まれ、東京都出身。近作にドラマ『臨床犯罪学者 火村英生の推理』、映画『オーバー・フェンス』など。「少年の詩」に主演したオムニバス映画『ブルーハーツが聴こえる』が4月8日に公開予定。ワンピース¥48,000(チノ/モールド TEL:03・6805・1449) その他はスタイリスト私物

3月7日(火)~4月30日(日) 池袋・東京芸術劇場 シアターイースト 作、演出/三谷幸喜 出演/段田安則、優香、栗原英雄、戸田恵子 全席指定9000円 3月4日~6日はプレビュー公演7500円(共に税込み) パルコステージ TEL:03・3477・5858 www.parco-play.com

※『anan』2017年3月8日号より。写真・小笠原真紀 スタイリスト・梅山弘子(KiKi inc.) ヘア&メイク・AYA(LA DONNA) インタビュー、文・望月リサ

(by anan編集部)


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