“目出度い”気分と、“愛でる”パワーを絵に込めて。
「前回はコロナ禍でまだマスク生活だったんですよね。個展を開くたび社会も自分も変化してきて、改めて見つめ直す機会になってます(笑)」
「乙女の逆襲展」「富士山展」「野望展」など、毎回テーマを決めており、今回は「メデタイ展」。
「コロナ禍が落ち着き“目出度い”というのと、オンラインショップの『五月女百貨店』が来年10周年になるので、お祝いの意味を込めました。それと“愛でる”をかけたんです」
五月女さんは最近、“愛でる力”を実感しているのだという。
「推し活とか、何かを愛でる行為ってすごくパワーになるなあと思って。昔はよくわからなかったけれど、自分もおばさんになってきて(笑)、心がザワザワしたりイラッとした時に、嫌な思いを表に出さないためにも自分自身を幸せにしておくことって大事なんじゃないかなと」
それに欠かせないのは“愛でる”パワー! 五月女さんの目下の推しは『名探偵ポワロ』。また、観葉植物やメダカを愛で育てることも活力になっているらしい。絵の中の少年少女の目の☆も大きめに、愛でる幸せがギャラリーに充満しそう。
「伝えたいことを絵に込めたいという思いはずっとあります。言葉だと直接的になってしまうけど、絵はもう少し曖昧に、余白を持たせて伝えられます。絵を見てくれた人が少しでも幸せな気持ちになってほしい。そこは絶対に譲れないんですよね」
今回は掛け軸にも初挑戦。また、横須賀の職人に依頼し、五月女さんの絵を刺繍したオリジナルスカジャンを製作。微妙なグラデーションが刺繍でみごとに再現されているのに感動する。オンラインで受注販売する予定らしいので、要チェックだ。
「ここ2~3年はデジタルでも描くようになって。今回久々にアナログで描いています。失敗できないから緊張もしますが、やっぱり楽しい」
作品を描くうちに、いろんなアイデアが浮かんできてしまうのだそう。
「統制されたコンセプチュアルな展覧会にも憧れますが、つい詰め込みたくなって雑多になっちゃいます」
それでこそ五月女さんの世界。一点一点眺めているうちに物語やユニークな工夫が見つかり、楽しめること請け合い。「メデタイ展」で、明日への活力をもらって帰ろう!
五月女ケイ子のメデタイ展 ギャラリーハウスMAYA 東京都港区北青山2‐10‐26 開催中~10月26日(土)12:00~19:00(土曜、最終日は~17:00) 日曜休 無料 TEL:03・3402・9849 www.gallery-h-maya.com/ ©Keiko Sootome
そおとめ・けいこ 山口県生まれ。雑誌や広告などで幅広く活躍。2018年に台湾で展覧会「五月女桂子的逆襲」を開催。主な著書に『レッツ!!古事記』など。共著に『桃太郎、エステヘ行く』。会場で10/19にフォークシンガー小象さんが出演する記念イベントあり。写真は、おしゃれなアトリエにて。
※『anan』2024年10月23日号より。写真・土佐麻理子 インタビュー、文・黒瀬朋子
(by anan編集部)