
古川琴音さん
舞台『ピーターとアリス』に出演する、古川琴音さんのインタビューをお届けします。
ピーター・パンと不思議の国のアリスが出会ったら?
もし『ピーター・パン』のモデルのうちのひとりと『不思議の国のアリス』のアリスのモデルとなった人物が出会ったら? 想像をしただけでも面白そうな予感。古川琴音さんも出演オファーを受けて「何が起こるんだろうってワクワクがありました」と語る。しかも演じるのは、あの“不思議の国のアリス”だ。
「乙女心がくすぐられますよね。ただ、演出が熊林(弘高)さんなので、ひと捻りもふた捻りもある作品なんだろうとも思いました。実際に読み進めると、実在の人物がどうやって自分の子供時代や物語のキャラクターと向き合い、人生を送ってきたかが描かれていて、考えさせられる作品だなと思いました」
実在のピーターもアリスも現実の中に生きているのに、周りは少なからず彼らの中に世界的ファンタジーの主人公の姿を見出そうとする。そんな物語と現実との乖離に悩み、自身のアイデンティティに迷う、人生の苦みも感じさせる作品だ。
「この舞台をやるにあたって、『ピーター・パン』と『不思議の国のアリス』を読み返したときに、自分は大人になったんだなと感じたんです。いろんな知識を身につけて、物事の背景にあるものも考えられるようになったけれど、そのぶん、子供の物語を読んだときに、わからないことが増えたというか。それはきっと取り戻せないもので、だからこそ子供時代が貴重なのかもしれない、とも思います。この物語を通して、大人になるとはどういうことかを考えるのも面白いかもしれません」
ピーターとアリスの物語に、不思議の国のアリスとピーター・パンが絡み、過去と現在と物語の世界を行き来するように展開される。
「私が演じる不思議の国のアリスも、ただかわいいだけの存在じゃないんですよね。きっと一般的な物語のイメージと、実在のアリスさんが見ている『不思議の国のアリス』や、作者のルイス・キャロルがイメージしたアリス像が、フィルムみたいに重なって、舞台上に存在しているんじゃないかと考えています」
80歳になった実在のアリスを演じるのは、麻実れいさん。
「稽古初日のホン読みから、麻実さんの迫力に圧倒されましたし、アリスさんがこの物語とともにどう生きてきたのかが、その声を聞いて腑に落ちる感覚がありました。そこから逆算して自分の役が見えてくる部分もありますし、稽古場での居方だったり、麻実さんから出てくるアイデアだったり、学ぶことが多いです。今は麻実さんのアリスに寄り添いながら、ときに同期したり、ときに離れたりしながら探っています」
熊林さんの演出を受けるのは、4年前のミュージカル『INTO THE WOODS』以来。
「ひとつひとつのシーンについて、とても丁寧に説明してくださる演出家という印象があります。それを聞いているとイメージは掴めるんですが、実際に表現しようとするととても難しくて…」
どこか落ち着いて淡々として見えるけれど、古川さんのお芝居には、胸の内に秘めた熱がフツフツと湧き上がってくるような印象を受ける。
「たぶん、皆さんがイメージするよりも感情豊かな人間だと思います。でも、迷いながらやっているときは、どこか宙に浮いた状態のままなんですが、役の感情を掴めると短い返事ひとつでも役の“音”みたいなものが自然と自分の中から出てくるような感覚になるんです。この物語とすごす中で、その音が見つけられたらいいなと思っています」
Profile
古川琴音
ふるかわ・ことね 1996年10月25日生まれ、神奈川県出身。2018年にデビュー。主な出演作に、ドラマ『アイドル』『海のはじまり』、映画『偶然と想像』など。声優初挑戦のW主演映画『花緑青が明ける日に』が3月6日公開。
information

舞台『ピーターとアリス』
ロンドンのとある書店で開催された「ルイス・キャロル展」の開幕式で、80歳のアリス(麻実)と35歳のピーター(佐藤)が出会う。そこで交わされたものは──。2月9日(月)~23日(月) 東京芸術劇場 プレイハウス 作/ジョン・ローガン 翻訳/早船歌江子演出/熊林弘高 出演/古川琴音、青木柚、飯田基祐、岡田義徳、簡秀吉、山森大輔、佐藤寛太、麻実れい 全席指定S席1万2000円ほか 梅田芸術劇場 TEL. 0570-077-039 大阪公演あり。https://www.umegei.com/peteralice2026/
写真・小笠原真紀 スタイリスト・山本杏那 ヘア&メイク・伏屋陽子(ESPER) インタビュー、文・望月リサ
anan 2482号(2026年2月4日発売)より





















