本誌でエッセイを月1連載中のゲームクリエイター・小島秀夫監督。今回は、監督と交流のある著名人の皆さんから寄せられた質問に答えていただきました!

小島監督と交流のある皆さんから質問!

小島秀夫

三浦大知さんからの質問

Q. ゲーム作りをされる上で、ストーリーを考える・システムを考える・キャストが収録をしているなどたくさんフェーズがあると思うのですが、小島監督が一番好きなフェーズは何ですか?

A. 企画を立てている段階が一番面白いです。
企画というか妄想というか、“こういうものが作れたらな”ということが頭の中を巡ります。次のフェーズは少し現実的になってしまうので。もう一つは、キャラクターデザインやストーリーなどの部品を繋げて、全体像を組み上げていくところ。コース料理にたとえると、それぞれのサブ料理人が作った前菜や副菜、メイン、箸休め、デザートを、みんなで味見しながら並べていく感じです。食べてみると、結構リズムが狂ったりもするので、ディテールを加えたりと調整をします。

Q. 最近、興味深かった美術展、アート展、展覧会はありましたか?

A. ヤノベケンジさんの「太郎と猫と太陽と」。
GINZA SIXの展示と岡本太郎記念館の「太郎と猫と太陽と」は、ヤノベケンジさんと岡本太郎さんという好きなものが2つあってよかったです。

Q. 本屋さんに足を運んで感覚を養うことで、自分がその時に必要とする作品と出合うことができるとおっしゃっていましたが、今までで一番出合うべくして出合ったなと思う作品は何ですか?

A. たくさんあります。自分が普段読まないジャンルの本ですね。
本屋で平置きされているものやフェアなどを見ると、自分では絶対に読まないような本やジャンルに出合えるじゃないですか。ネットで向こうからオススメされるのとは違い、“自分で見つけた感”があります。本屋さんにはめられているだけかもしれませんが(笑)。

Message to 小島監督
いつも気さくにたくさんお話をしてくださるので、聞いていてワクワクしています。小島さんにしか創り出せないAAAタイトルを常に第一線で生み出し続けているにもかかわらず、「頭の中ではまだまだ次から次へとアイデアが枯渇することなく溢れている」といつも言われていて、その凄まじさにたくさんの刺激と感動をいただいています。丁寧に誠実に魂を込めた物創りをしながら絶えることのない制作意欲を持ち続けている。本当にカッコいいです。また美味しいごはんを一緒に食べに行きましょう!

みうら・だいち 1987年生まれ、沖縄県出身。アーティスト。最新曲「Horizon Dreamer」がデジタル配信されている。ゲーム好きで小島監督のファンを公言。

石井岳龍監督からの質問

Q. 最重要なアイデアやインスピレーションが湧くのは、どういう時が多いですか?

A. 普通に湧いてくるので、ネタに困ることはありません。
どういう時、というのは特になくて。普段、普通に生活をしている中で、自然と湧いてくるんです。歩いている時もですし、今、この瞬間にも。アイデアが浮かぶということに関しては自信を持っていますし、ネタに困る、というようなこともありません。

Q. 自分独自の健康法、意識を冴えさせる食品とか習慣はありますか?

A. 映画や本を栄養として摂取しています。
モノ作りには体力、知力、あらゆるものが必要なので、健康のために運動しています。中古車みたいに、ベルトが壊れた、クーラーが効かないなど、何かしら不調があるけれど買い替えるわけにはいかないので。あとは、映画や本、音楽に触れること。植物の光合成のようなものです。

Message to 小島監督
実際にお会いしたのは3回ほどなのですが、今や、ホンモノ中のホンモノの最先端アーティストであり、同時に傑出したプロデューサーであり、また少年のような純粋なクリエイティブ・ハートを維持し続けている方という印象で、もう希有な偉人だと驚嘆するばかりです。日々ホントウにお疲れさまです。くれぐれもご無理なく。またお会いできるのを楽しみにしています。

いしい・がくりゅう 1957年生まれ、福岡県出身。映画監督。『箱男‐The Box Man』が公開中。近年の作品に『自分革命映画闘争』『almost people』など。

津田健次郎さんからの質問

Q. 映画を監督するとしたら、どんな映画を作りますか?

A. 『津田健次郎の惑星』かな(笑)。
津田さんばっかり出てきて、どの性別の人も、猫とか犬も全部、津田さんの声…という作品。全員イケボです。インディーズのアートなローバジェットもので、登場人物が4~5人…みたいなものか、ワールドワイドで通用するようなエンタメのどちらかになると思います。

Q. クリエイターとして最前線の表現を行っている中で、ただご自分が作りたいものではなく、多くの人に受け入れられるものを作られていますが、クリエイトと売ることの両立は、どうバランスをとっているのでしょうか?

A. ビジネスマンとしての目線も忘れないようにしています。
自分の言いたいこと、まだ世の中にないもの、ということが作品の中核にあります。それに対して、“これ、売れるの?”と少し俯瞰するビジネスマンの僕がいて、2つの視点でバランスをとっています。ただ、時流から遅れるので、今の市場をスタートに考えることはしません。

Q. 世の中に対して絶望することはありますか? 監督の作品では、絶望の中でも世界が明るい未来に向かっていることも仄めかされているように感じますが、ご自身の絶望を作品の中で昇華されているのでしょうか?

A. 毎日絶望しているけれど、同時に楽観もしています。
僕はすごく神経質で、作品を作る時は宇宙飛行士と同様、最悪の想定をしてあらゆる準備をします。一方、“なんとかなるんじゃないの?”という楽観性もあり、絶望を感じながら希望もあるというか。ただ、今の地球は地震や異常気象、戦争、貧富の差…と絶望ばかり。その中でいかに、皆さんに希望や喜びを与えられるかが大事だと思うんです。猛烈に幸せだからいい作品を生み出せるわけでもなくて。戦争を止めることはできないので、ゲームを作るしかないんです。

Message to 小島監督
作品の大きさも、描かれている世界観もスケールがすごい。こういうスタンスで仕事をしたい! と思わせてくれる先輩であり、リスペクトすべきクリエイターです。お仕事している時は大阪弁でしょうもないことも話せるので、とてもお話ししやすいですし、ご一緒していて楽しいです。どうぞお体を大事にしてください!

つだ・けんじろう 1971年生まれ、大阪府出身。声優、俳優。アニメ映画『ふれる。』が公開中。『DEATH STRANDING』でサムの声を担当。

こじま・ひでお 1963年生まれ、東京都出身。ゲームクリエイター、コジマプロダクション代表。主な作品にステルスゲームと呼ばれるジャンルを確立した『メタルギア』や『DEATH STRANDING』など。新作『DEATH STRANDING 2:ON THE BEACH』『OD』も控える。

※『anan』2024年10月23日号より。写真・内田紘倫(The VOICE) スタイリスト・井田正明 ヘア&メイク・青木理恵 取材、文・重信 綾

(by anan編集部)

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