“初心者面”ができる今を楽しみたい
自分の心身と相談しつつ柔軟に目標を達成。
サッカーに造詣が深いことで知られるほか、クイズ番組などでも大活躍。あらゆるジャンルにおいて学ぶことが好きな影山優佳さんだが、その原動力はいったいどこから来るのだろうか?
「“知らない世界を覗いてみたい”という、純粋な興味です。好奇心が旺盛な子どものまま育ったので(笑)、面白そうなものや考え方に出合うともっと掘り下げてみたくなる。知らないことを一つずつ覚えていく作業がすごく好きで、勉強も趣味も、全部そういう感覚で追究していますね」
高知能指数の持ち主だけが所属できるMENSAの会員で、世界遺産検定2級などさまざまな資格を保有している影山さん。聡明な彼女いわく勉強のコツは“柔軟性”だという。
「勉強する時は、最初に試験日までの目標を立てておくといいですね。ここまでにこれをやるとか、逆算で細かい目標を立ててそれをどんどん回収していく感じ。ただ、毎日その目標を必ず達成するというよりは、自分の心や体と相談しながら柔軟にやっていくことが大事かなって。“今日はいっぱいできたからごほうびをあげよう”とか、その日の調子と折り合いをつけながらやっていくと、ポキッと折れずに細く長く頑張れると思っています」
初心者の今だからこその立ち位置を味わってます。
日向坂46を昨年卒業し、最近は俳優業も本格化。今年は『ハコビヤ』『春になったら』と同クールで2本のドラマに出演、まもなく始まる舞台『未来少年コナン』で新たな分野にも挑む。
「まさか自分が舞台に挑戦させていただけるなんて思ってもいなかったので、最初は不安のほうが大きかったです。ミュージカルが好きで、普段からよく観に行っているんですけど、だからこそ、自分には舞台に必要なスキルが足りていないという自覚もあって。ただ、お芝居は今すごく頑張っていきたいと思っているジャンルなので、こうしてチャンスをいただいたからには、自分が好きなものだからこそ、“当たってくだけろ”したいですね」
ドラマなど経験を重ねてきたことで、自分なりの台本の読み方が身に付いたか尋ねると、「私は“写真記憶”なんです」と、驚くような答え。
「一度見たら頭に入るので、お芝居する時も頭の中の台本を、マーカーをたどるように読んでいて…例えるなら、字幕を読んでいるような感覚です。だから、ドラマの撮影の時も、現場で台本を見たことは全然なかったです」
傍から見るとうらやましい限りだが、一度に情報が頭に入ってくることは必ずしもメリットばかりではないという。
「小説とかマンガも、それでなかなか読めなかったんです。読むと、受け取るものが多すぎて疲れちゃって…。でも、台本をスッと覚えられるというのは、ある意味よかったなと思います。タスクに追われると周りが見えなくなるタイプなので、セリフ覚えに追われず共演者の方々とのやりとりに集中できるこの能力はお芝居向きだなと。初めての環境で分からないこともたくさん出てくるかとは思いますが、何かあったら周りにどんどん聞いて、たくさん吸収できたらなと思います」
未体験の状況に不安を感じつつも、苦労もすべて受け止め壁を乗り越えようとするその姿勢は実に頼もしい。
「本来は、ネガティブだし自己肯定感も低めで、周りからもよく『始まる前からマイナスなことを想像して何になるんだ』って言われるんです。でも本当にその通りで、一歩踏み出さないと何も始まらないんですよね。みんな誰でも初心者の時ってあるわけだし、その“初心者面(づら)”ができる今しか聞けないこともあって。始めたてだから挑戦もできるし失敗もできる。今はその“初めてなんです”っていうスタンスを味わうというか、ちゃっかりおいしくいただくみたいな感覚でいいんじゃないかなと思っています(笑)」
思考がつい内向きになりやすいという影山さんが不安をはねのけるためにしていることというと…?
「昔からあまり人に相談できないタイプでしたけど、最近は人と話して紛らわすことが多くなりました。人の相談事を聞いて自分のネガティブなマインドから目を背ける、みたいな。自分の内側ばかりに目が向くとあまりいいことがないので、人としゃべることでそれを強制的に外向きにさせています。友だちとか先輩とか、たくさんの周りの人たちに助けてもらっていますね」
では、これから新しいことに挑戦する読者にエールを!
「失敗することへの怖さや、分からないことへの不安はあると思いますが、そういう感覚になれるのも今しかないので、置かれている状況とか、自分の立ち位置を味わってみてください。私も今同じ場所にいるので、“影山も頑張っているんだな”と、少しでも励みにしていただければ。皆と一緒に頑張らせてもらえたらなと思います」
My skill up source
複雑な内容を分かりやすく。生き方にも影響を受けました。
【中野信子さんの本】
「脳科学者・中野信子さんの本が好きで、なかでも『エレガントな毒の吐き方』(日経BP/1320円)。研究内容は高尚で難しいけど、研究への向き合い方と人への向き合い方がすごく柔軟で、何でも吸収するスポンジのような方。生き方含め影響を受けています」
まず概要を把握してから自分流にアレンジ。
【料理レシピ動画】
「料理をよくするので、クラシルとかデリッシュキッチンとか、料理レシピ動画はよく見ます。でもそのレシピ通りに作るのではなくて、『これおいしそう』と思ったものを、自分流のやり方で作ることが多いですね」
「戦術」を考えるのが好き。どんなテーマも学びです!
【YouTubeの解説動画】
「最近ポケモンカードにハマっているので、戦い方をYouTubeで見ています。自分の中ではこれも学び。それ以外のテーマの動画も身近なことを分かりやすく学べるからよく見ていて、最近はNISAの仕組みを学びました」
かげやま・ゆうか 2001年5月8日生まれ、東京都出身。昨年、日向坂46を卒業。FIFAワールドカップ カタール 2022では鋭い予想で注目を集めた。5月28日から上演する舞台『未来少年コナン』でヒロインのラナ役を務める。
※『anan』2024年5月22日号より。写真・猪原 悠 スタイリスト・合田凪沙(ALCATROCK) ヘア&メイク・佐藤友梨 インタビュー、文・野村 文
(by anan編集部)