科学とデザインが出合い、生まれる「未来のかけら」を探して。
本展「未来のかけら:科学とデザインの実験室」のディレクターを務める山中俊治さんは、腕時計から家電、鉄道車両まで幅広くデザインを手掛ける一方、2001年以降は先端技術の研究者たちとプロトタイプ(試作モデル)の作製に取り組んできた。東京大学に着任してからは「Design‐Led X(価値創造デザインプロジェクト)」を始動。実用化以前の科学的知見や技術に形を与え、未来を探る試みに力を注ぐ。
会場では研究室から生まれたプロトタイプやロボットに加え、7組のデザイナー・クリエイターと科学者・技術者によるコラボレーション作品を展示。例えば約100人の研究者が携わる「稲見自在化身体プロジェクト」では、人間がロボットや人工知能と「人機一体」となり、従来の運動能力や知覚を超えて行動する「自在化」を目指す。こうした身体拡張の実験のほかにもバイオ工学、構造形態学などの最先端の研究が具体化、実装化されて現れる。おそらくこのうちのいくつかが未来を形作るピースになるのだ。そのかけらを私たちは見つけられるだろうか。
山中研究室+稲見自在化身体プロジェクト「自在肢」
荒牧悠+舘知宏「座屈不安定性スタディ」
山中研究室+新野俊樹+鉄道弘済会義肢装具サポートセンター他「Rami」(撮影:加藤康)
「未来のかけら:科学とデザインの実験室」 21_21 DESIGN SIGHTギャラリー1&2 東京都港区赤坂9‐7‐6 東京ミッドタウン ミッドタウン・ガーデン内 3月29日(金)~8月12日(月)10時~19時(入場は18時30分まで) 火曜休 一般1400円ほか TEL:03・3475・2121
※『anan』2024年4月3日号より。文・松本あかね
(by anan編集部)