「キャラクターとして遊べる余裕を作りたくて、クランクイン前のオンライン打ち合わせや衣装合わせでいろいろ提案した結果、この容姿に落ち着きました。僕が最初に出した髪型の案はバーコードヘアだったんですよ。台本の前のほうに、“永山瑛太”と名前があったので、ある程度好き勝手にやらせてもらっていいのではないかと(笑)。バーコードでも廻が好きになっていく、というのも面白いんじゃないかと思って、プロデューサーに画像資料も送ったんですけど…即却下でした(笑)」
過去の記憶を消されていた廻になんとか振り向いてほしくて側転しながらデートに現れるなど、奇想天外な行動に出る翔。それらはほとんど永山さんのアドリブだそう。
「翔には、タイムパトローラーという公人としての立場よりも、廻さんへの気持ちを優先して動いてしまうところがあるので、僕自身が自由に動いていたいんですよね。そもそも“アドリブ”というのは、“自由気まま”を意味するラテン語ですからね。僕は、型にハマった芝居でこの作品を従来のSFラブコメをなぞるような形にしたくないんです。カッコよく映っているかとかそういうことではなくて、“未来人としてどう存在するか”を最優先に現場に挑んでいます。それはある意味、危険な行為でもあって、最初はドキドキしましたよ。現場では笑いが起きても、編集した映像ではスベって、浮いてしまうかもしれない。でも、たとえ悪目立ちして全カットされたとしても、未来人の翔としてはある種の変態性のあるその行動が普通だと思ってやっているのだから仕方ない、と覚悟を決めました。そうやって僕が自由に演じることができるのも、吉岡さんがしっかり受け止めてくださると信じられるからです」
物語が進んでいくにつれ、廻は事情を抱えた違法タイムトラベラーを取り締まりながらも、寄り添いながらよりよい解決策を見つけ、つじつまを合わせていく隊員の仕事に喜びを感じ始める。一方、翔はますます廻への想いを募らせていく。
「翔は、隊員として果たさなければいけないミッションはどうでもよくなっていて、廻を一途に想い、この恋を成就させたい一心なんです。そんな二人なので、前半は歯車が全然噛み合わなかったけど、今後、ある回で…と、内容を話してしまうのはもったいないので言いません(笑)。これからでも楽しめますが、今は配信がありますし、できれば1話から見てほしいですね。冒頭から最終話の最後の最後で、ちゃんとつじつまが合う作品になっているので」
『時をかけるな、恋人たち』 時間SFを得意とする劇団「ヨーロッパ企画」上田誠のオリジナル脚本で描くタイムパトロール・ラブコメディを、今作が初共演となる吉岡里帆×永山瑛太の豪華キャストでおくる。毎週火曜23:00~、カンテレ・フジテレビ系にて放送中。
ながやま・えいた 1982年12月13日生まれ、東京都出身。ドラマ『あなたがしてくれなくても』、映画『怪物』など、数々の話題作に出演。出演映画『アンダーカレント』が公開中のほか、『身代わり忠臣蔵』が2024年2月9日に公開。
※『anan』2023年10月25日号より。写真・土佐麻理子 スタイリスト・宮本茉莉 ヘア&メイク・板垣実和 インタビュー、文・小泉咲子
(by anan編集部)