裸に蝶ネクタイをつけただけの姿で人前に現れ、目にもとまらぬ早い手さばきで銀色のお盆を操り、巧みに股間を隠す。そんな、見ている人をハラハラさせ、驚かせ、笑わせる芸で大ブレイク中のアキラ100%さん。取材当日はポロシャツに短パンといういでたちで、その爽やかな雰囲気と、裸でお盆芸をしている姿は結びつきづらい。
カメラにだけは見せないよう、自分を信じてやってます。
――マネをする子どもが続出するなど、今、大人気です。
アキラ:僕の芸は、同年代のおじさんに宴会芸を見る気分で楽しんでもらえそうかな、と思っていたので、営業とかに行くと家族連れのお客さんが多くて驚きましたね。なぜウケたかは…、正直、わからないです(笑)。ただ、お風呂場で股間を桶で隠すような遊びは、昔からあると思うんです。誰もが見たことがあるけれど、そこに特化したネタを今まで誰も作らなかった。古くもあり、新しくもあるところが、よかったのかもしれません。あと、僕が初めてテレビに出させてもらった2015年は、とにかく明るい安村さんが大人気で、彼がいてくれたおかげで、世間に受け入れてもらいやすかったというのは、あると思います。
――お盆芸を始めたきっかけを教えてください。
アキラ:もともと、コンビ時代のコントで喫茶店のネタがあったんです。“喫茶○○”の○○に当てはまる特徴を持った店員がいろいろ出てくるというもので、最後、“喫茶ナチュラル”の店員が裸で出てくるというオチでした。あるとき、『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!』の山-1グランプリというコーナーのオーディションがあり、やるネタがなくて困りに困って、裸の喫茶店員のネタを一人でやりました。その年は“テレビだから裸は…”とダメでしたが、翌年の同じオーディションで、審査員の人に「去年、裸でやってた人だよね。新しいネタはない?」と言われて、再オーディションをすることになって。そのときに新ネタとして誕生したのが丸腰刑事でした。結果、合格して、テレビに出ることができたんです。
――芸に欠かせないお盆には、こだわりがあるとか。
アキラ:『ダイソー』のものが、軽くて一番いいです。重いと、回したときに手首を持っていかれて上手くできない。でも、この型はもう生産が終わっていて。30枚ほどストックがありますが、それが尽きてしまったときを考えると心配で…。最悪、どこかの工場に行って発注をかけることも考えてます(笑)。
――ひとくちにお盆芸といっても、いろいろな技がありますよね。
アキラ:1つのライブに出るたびに、なにか1つ新しいことをしようと思ってやってきました。最初は手を持ち替えたり、クルンと回すものくらいしかなかったんですが、練習をして、しゃがんだり、でんぐり返しができるようになった感じです。家の窓を鏡代わりにして見ながら練習して、嫁や芸人仲間にアドバイスをもらいながら、新しい技に挑戦しています。
――すごく真面目な方なんですね。
アキラ:面白みのない、真面目な自分の性格がコンプレックスなんです。でも、そういうところを隠そうとしても、すぐにバレる。だから、“こういうネタをやっているのに真面目”“こういうネタなのに絶対に見せない”というところを、ウリにしたいんです。以前、営業先にノリがいいというか、タガが外れちゃっている人がいて、「今日は見せちゃってもいいですからね!」と言われたことがありましたけど、そういう芸ではないので(笑)。絶対に見せません!
――とはいえ、大事なところが見えてしまう可能性はゼロじゃありません。きっと、芸をするときには、とてつもない緊張感があると思うのですが、普段とは違うスイッチが入ったりしますか?
アキラ:開き直ると言ったほうが近いかもしれません。芸をしている最中は、自分ではもう、確認のしようがないですから。上から見て大丈夫だろうというのはわかりますが、横や斜めから見えるかどうかは、自分を信じてやるしかない。やっぱり、テレビショーなので、とにかくカメラにだけは見せないように死守します。カメラに向かっての芸なので、角度によって共演者の方に見えてしまったとしたら、それはもう、ご迷惑をかけるのですが、同じテレビ側の人として、許してもらえたら幸いです。舞台のような生っぽさと、テレビネタの両方の要素がある芸だなと、自分では感じています。
――タフな精神力をお持ちですね。
アキラ:どうなんでしょう。でも、この芸を思いついてしまったから、やるしかないんですよね(笑)。
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