「忙しくて疲れが溜まって目覚めが悪い、体がだるい。その原因のほとんどは自律神経の疲れです」
と指摘するのは梶本修身先生。
「自律神経は脳の中枢で呼吸・心拍、体温調節、血流などを司る“体の司令塔”。ストレスで自律神経が過活動になると脳細胞が大量の酸素を消費し、細胞を酸化させる“脳のサビ”、活性酸素を排出します。このサビで細胞機能が落ちると自律神経が全身にアラートを出す。これが疲労の正体です」
そのアラートは、気分が沈む、集中力が下がるといった心の不調として表れることも。
「心と体両方の症状を見逃さず、休息を取ることが大切。その際、疲労回復効果の高い食事を摂れば、効率よくリカバリーできます」
なかでもおすすめは、ここで紹介する4つの栄養素。毎日の食生活に取り入れて、疲れを速攻リセット。サビない体を目指そう。
活性酸素除去に欠かせない!「イミダペプチド」
ヒスチジンとβ-アラニンという2つのアミノ酸からなるイミダペプチドは活性酸素を除去する効果大。「しかもイミダペプチドは脳内で合成できる。元となる栄養を摂って脳に届ければ、抗酸化力が続くというわけです」。特に多く含まれるのは鶏むね肉。「含有量が高いので1日100g摂れば十分」。豚ロース肉、マグロもおすすめ。
血流改善で、疲労回復の土台を作る「DHA&EPA」
血流改善に効果的なDHA&EPA。「血流を良くする食材を摂れば、脳に十分に血が巡り酸素と栄養が行き渡るので、脳を守る役目を持つ自律神経の大きな助けになります」。サバやサンマなど青魚に豊富。「焼き魚ならサンマ1尾が1日の目安ですが、サバ缶も手軽でおすすめ。汁にも栄養が含まれるので、汁ごと摂れる献立を」
体中の酸化にアプローチ「リコピン&カロテン」
活性酸素が出た瞬間に叩く! 体内に入れておけば疲れに先回りして効いてくれるのが抗酸化物質。トマトやにんじんなどの緑黄色野菜はその代表格。抗疲労効果は強力だけど摂り方にはコツが。「摂取して2時間ほどで効果が消えるので、こまめに摂ること。サラダや野菜ジュースなど、どんな形でもいいので頻繁に摂りましょう」
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現代人ならではの疲労に効果的!「クエン酸」
エネルギー生産効率を高めるクエン酸は、食生活が偏りがちな人には効果的な成分。「特にダイエット中など、カロリー不足の傾向にある若い女性には有効です」。レモンなどの柑橘や、梅干し、酢に多く含まれている。またイミダペプチドと一緒に摂ると相乗効果が期待できるので、鶏むね肉とレモン、梅干しを合わせたレシピも◎。
梶本修身先生 「東京疲労・睡眠クリニック」院長として活躍する疲労回復の専門医。近著に『疲労回復の名医が教える誰でも簡単に疲れをスッキリとる方法』(アスコム)。
※『anan』2020年4月29日号より。イラスト・かざまりさ 取材、文・大澤千穂
(by anan編集部)