武士だってのんびりした~い!? 時代考証一切なしの“超大胆”時代劇

エンタメ
2017.02.08
ネプチューン扮する架空の武将・小田信夫とその重臣が、武将らしいことを何もせず過ごす日々を本格的な大河セットを舞台に描く、前代未聞の『空想大河ドラマ 小田信夫』。

大胆なこの時代劇の脚本を手がけたのは、前田司郎さん。

空想大河ドラマ小田信夫

「初めは、何も起きないし危なくもない『あぶない刑事』のパロディを即興演劇のようにやろうと考えていたんですが、予算的に叶わなかった。その路線で何かできないかなと思ったときに、NHKだから大河じゃないか! と提案して。前向きなお返事をいただいたので下準備をしてプレゼンしたところ、返ってきたのが『時代劇はできません』でした」

意外な返答に驚きながらも、予算的な問題が理由と理解した前田さん。何をそぎ落とせばできるかを交渉し、了承を得ることに成功。「ここまでちゃんとやってもらえるとは思ってなかった」と本人も驚くほどの舞台美術も完成する。ただ、戦国時代のリアリティをドラマ上、どう表現するかは悩みどころだったという。

「実際、人が殺されていて、貧富の差もものすごくあるというリアリティをどう処理するかは悩んで、かなり虚構に転ばせています」

空想大河ドラマ小田信夫

時代考証一切なし! という思い切りの良さも前代未聞である。

「歴史って、たくさん人を殺した人のことしか書かれていないじゃないですか。都合のいいように残されているはずだから、格好悪いエピソードは省かれるんじゃないかな。なかには合戦もしないし、何もしないで地域を治めた武将とか、名前が残らないような人もたくさんいたんじゃないかと。勝手な想像ですけどね。そういう人の話があってもいいなって。それに、昔も今も、人間が考えてることの根本は、そんなに変わってないんじゃないかなと思うんです。まぁ、実際、生きていけなかったでしょうけどね、こんな人たち」

ネプチューンの仲の良さが、作中に滲み出ているのもまた面白い。

「3人集まると、笑えるだけじゃなく彼らを好きになってしまう。その魅力を生かしたいなと思いました」

まえだ・しろう 作家、劇作家、演出家、映画監督。劇団「五反田団」主宰。第52回岸田國士戯曲賞受賞。小説『夏の水の半魚人』(新潮社)で第22回三島由紀夫賞、ドラマ『徒歩7分』(NHK BSプレミアム)で向田邦子賞受賞。

舞台は戦国時代の架空の小大名、小田家。名が似ている同時代の英雄を意識する当主・小田信夫と重臣・柴田勝夫&明智充が繰り広げるコメディドラマ。毎週土曜23:35~NHK総合にて放送中(連続4話)。

※『anan』2017年2月15日号より。写真・小笠原真紀 インタビュー、文・小川知子

(by anan編集部)


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