柔らかく闘う女性から滲み出る、エレガントな色香。
エレガントな二人と、注目する一人の人物。
海外のファッションシーンと深く関わりを持っている、スタイリストの谷崎さん。特にヨーロッパでよく聞く女性を称賛する言葉の一つが、“エレガント”だと言います。
「日本ではコンサバな印象がありますが、ヨーロッパで“エレガント”は、最上級の褒め言葉。知性や生きる姿勢、存在全体から放たれる空気感などに対して使われる言葉です。つまり、エレガントな人には知性と色気があると思うのです。私はスタイリングをする際色気を意識しますが、重要なのは、服よりも着る人。内面からにじみ出る色気のある女性の姿にグッとくる。同性の目から見てもカッコいいですよね」
そんなエレガンスを感じる女性の一人が、今年惜しくも87歳でこの世を去ったルース・ベイダー・ギンズバーグ。
「最高裁判事になった時、男性用に作られた法服に、レースなどの装飾を加えることで、男性のためだけのものではない、と表現した。大きなものと闘いながらも自分らしく好きに装うことを忘れず。いつもは静かな女性なのに、闘いの場所(法廷)で決定的な言葉を放つ瞬間の色気ある目の輝き! 痺れます。同じスタンスを感じるのがデザイナーのヴィヴィアン・ウエストウッド。世界的な成功を手にしていますが、苦労時代に自分らしくインディペンデントに存在する方法を見出し、今も活躍しています。彼女は着こなしも業界内での在り方も、非常に個性的でエレガント。この二人は既存の価値観と闘いながらも、女性として装うことを楽しんでいるところが素敵で、憧れます」
今後、色気と知性の輝きがますます増していきそうと注目しているのが、女優のゾーイ・クラヴィッツだそう。
「自身が製作総指揮を務めたドラマ『ハイ・フィデリティ』の彼女はとても魅力的で、物語のテーマ全てにおいて最高でした。女優さんは年を重ねるごとに懸命に生き抜いてきた強い内面が美しさとなって出てくる人が多い気がするので、この先が楽しみです」
ルース・ベイダー・ギンズバーグ
若者からの絶大な支持を得た「RBG」。
27年間最高裁判事を務め、女性の権利向上に尽くした米国の法律家。性差別と闘うリベラル派法律家の代表格として世代を超えて支持を集め、「ポップカルチャーの新しい象徴」と言われた。通称RBG。ドキュメンタリー映画『RBG 最強の85才』なども作られた。
ヴィヴィアン・ウエストウッド
完璧にドレスアップした姿が最高にカッコいい!
英国のファッションデザイナー。1971年ロンドンにブティックを開店、パンクの女王と呼ばれた時代を経て、’81年自らの名前を冠したブランドを発表。並行して環境問題に取り組み続けており、活動家としての顔も持つ。現在79歳、共に働く25歳年下の夫がいる。
ゾーイ・クラヴィッツ
これからを見届けたくなる、次世代の光。
父親はミュージシャンのレニー・クラヴィッツ、母親は女優のリサ・ボネット、継父はジェイソン・モモア。2007年に長編映画デビューし、女優として活躍中の31歳。’15年に公開された『マッドマックス 怒りのデス・ロード』に出演し、注目度がアップした。
たにざき・あや スタイリスト、また代官山で輸入洋品店を経営。CMやファッション誌、ブランドのルックブック、女優のスタイリングを手掛ける。ginzamagで不定期連載も持つ。
※『anan』2020年11月25日号より。写真・Getty Images イラスト・green K
(by anan編集部)