風邪でもないのに、鼻が詰まってすっきりしない。息苦しいし、気になるものですよね。夏の終わりから秋口は、こうした悩みが増える時期です。
鼻づまりの主な原因は「痰湿(たんしつ)」。これまでも何度か出てきましたが、痰湿は体内に溜まった過剰な水分「水湿(すいしつ)」と不要物が結合して生まれる、どろどろとした物質です。過剰な水分や生もの、お酒の飲みすぎによって溜まった水湿が消化・吸収を司る「脾(ひ)」で痰湿に変わり、それがやがて肺へ。肺と鼻はつながっているので、鼻にも痰湿が溜まる、というのがそのしくみです。
痰湿を溜めないようにするには、原因となるものを摂りすぎないことに尽きます。先ほど挙げた水分やお酒、生もののほか、ヨーグルトなどの乳製品や、山芋、納豆、オクラなど、「陰(いん)」=潤いを補う力が強い食材はほどほどに。ヨーグルトやねばねば食材は健康にいいイメージがあるので好む人も多いのですが、鼻づまりが続くときは控えめにしたほうがいいでしょう。
冷えor熱のこもり。体質別の対策を。
そしてもうひとつチェックしてほしいのが、鼻水の色。中医学では、不調改善のためには体が「寒(かん)」「熱(ねつ)」のどちらに傾いているかを見極めることが大切とされていますが、鼻水をはじめ、たんや尿、おりものなど、体から出る分泌物の色はすべて、寒熱をはかる大きな手がかりになります。
鼻水の場合、無色で水っぽく、だらだらと出続けるものは「寒」の表れです。このタイプの人は冷えが強く、疲れやすい、元気がないなども特徴のひとつです。しょうがやしそなど体を温めてくれる食材を温かい料理で摂り、夜はできるだけ湯船に浸かるなどして、冷えを追い出しましょう。
黄色っぽく粘りけのある鼻水の場合は、体に熱がこもっている可能性が大。油や砂糖など、熱をこもらせる原因物質を摂りすぎているかもしれません。ラーメンやスナック菓子が好きな人は要注意。熱を冷まして痰湿を除く、「清熱化痰(せいねつかたん)」の働きのある、わかめなどの海藻類やこんにゃくを食事のなかで増やすといいでしょう。
不調の原因を取り除いて、偏った体を真ん中(中庸)に戻す食べ方を心がけるのが養生の基本です。健康なときは神経質になる必要はありませんが、少しでも体に揺らぎを感じたら、ぜひこのことを思い出してくださいね。
さくらい・だいすけ 漢方専門家、国際中医専門員。完全予約制の漢方相談処「成城漢方たまり」で相談を行う。『体をおいしくととのえる! 食べる漢方』(小社刊)ほか、監修書、著書多数。https://yurukampo.jp/
※『anan』2020年8月12日-19日合併号より。イラスト・原田桃子 文・新田草子
(by anan編集部)