文・小泉咲子、新田草子 再編集・Nana — 2022.06.21

女性のココロとカラダや、ライフスタイルにまで大きく影響する”女性ホルモン”。しかし、その働きや整える方法をよく知らない人も多いでしょう。今回は女性ホルモンの不調やバイオリズム、心との関係、暮らしの中でできるセルフケアについてご紹介します。

1.女性ホルモンってなに?

そもそも女性ホルモンがどんなものなのか、働きや整え方をちゃんと理解している人は少ないかもしれません。女性ホルモンの基礎知識やバランス、それによって引き起こされる女性特有の様々な不調について解説します。女性ホルモンに関する正しい知識を身につけて、日常の当たり前を見直しましょう。

ホルモンバランスの乱れは心身の不調に大きく関わる。

女性ホルモンとは、卵巣から分泌されるエストロゲンとプロゲステロンの2種類のホルモンの一般的な呼び名のこと。

「生理や妊娠だけでなく、心身の不調にも深く関わっている女性ホルモン。後々、不妊で悩んだりしないように、女性ホルモンに関心を持ってほしいですね」

そう話すのは、産婦人科専門医の角ゆかり先生です。

「女性ホルモンの分泌は、脳の視床下部が司令塔となり、調整されています。視床下部は、神経系統のコントロールタワーのすぐ隣にあるので、強いストレスを受けると視床下部から指令を受ける女性ホルモンの分泌も乱れてしまうのです。ストレスには、過剰なダイエットによる身体的ストレスも含まれます。過剰なダイエットをすると、脳が『身体的危機の今は新しい生命を育てられない』と判断し、血液を体外に排出する生理を止めてしまいます。無月経は不妊になることもあるので注意を」

生理の約1週間前から、イライラしたり、いつも以上に甘いものを食べたくなったり、PMS症状が表れるのも女性ホルモンの影響。

「PMS症状対策で重要なのは、それがPMS症状なのだと自覚することです。あらかじめどんな症状が自分に出るのか知っておけば、周囲に『この時期は機嫌が悪くなるかもしれない』と伝えておくことで大きなトラブルを防げますし、食欲が増すケースも、脂肪分の多いスイーツを食べる前にカロリーが低く栄養価の高い野菜のスープなどでお腹を満たしておくといった対策がとれます」

では、根本的に女性ホルモンを整えるには、どうしたらいいのでしょうか。

「基本的なことですが、栄養バランスのとれた食事と十分な睡眠をとり、規則正しい生活を送ることが、女性ホルモンにとっては大切です。もちろん、生理に少しでも異常があったり、PMS症状が辛かったり、ホルモンの乱れを感じたらなるべく早く、婦人科を受診してください。その際、月経周期がわかっているとスムーズです。自覚症状がない方も、いつかの時のために、月経周期のチェックを」

エストロゲン

  • 肌にハリが出て、髪もツルツルに
  • 自律神経や脳の働きをよくする
  • 内臓脂肪がつきにくくなる

卵胞ホルモンとも呼ばれ、いわゆる女性らしい丸みを帯びた体型を作るホルモン。肌や髪の潤いを守る、代謝をアップするなど、女性にとってうれしい作用も。40歳を過ぎると分泌量が減ってホルモンバランスが急激に崩れ、更年期を過ぎるとほとんど分泌されなくなります。

プロゲステロン

  • 体に水分を溜め込み、むくみやすくなる
  • 食欲が旺盛になり、代謝が鈍くなる
  • 疲れやすくなる

排卵直後から分泌量が増え、子宮内膜を柔らかくして妊娠に備えるホルモンで、黄体ホルモンとも呼ばれます。プロゲステロンが優位な黄体期は、妊娠のために体が水分や栄養を溜め込もうとするため、むくみが出やすく、食欲が促進される場合も。精神的にも不安定になりやすい傾向があります。

ホルモンバランスの入れ替わりで心身に変化が!

女性の心と体は、エストロゲンとプロゲステロンの2種類の女性ホルモンの影響を受け、約1か月周期で変動。たとえば、エストロゲンが優位になる生理直後は、肌がきれいになりますが、プロゲステロンが優位になると、肌が脂っぽくなってニキビが増加。精神的に不安定になりやすくなることもあります。

教えてくれたのは…

角ゆかり先生
産婦人科専門医、虎ノ門ウィメンズクリニック院長。東京女子医科大学卒業。2013年、メルボルン大学ウィメンズヘルスマスター取得。症状以外にも、患者の話に耳を傾ける診療方針で信頼されている。

※ 取材、文・小泉咲子
※ 2022年1月13日配信

2.女性ホルモンとココロの関係

生理前のイライラ&体調不良と女性ホルモン、自律神経…。何となくつながっていると知ってはいるものの、うやむやになりがちなこの関係を専門家が解説。心身を健やかに保つための基本のセルフケアもチェック!

自律神経の不調も、女性ホルモン&心と密接な関係に。

もうひとつ知っておきたいのが、ストレスと自律神経の関係。産婦人科医の宗田聡先生いわく、

「自律神経には緊張した時に優位になる交感神経と、リラックス時に働く副交感神経の2種がある。相反する2つの働きで、意志に関係なく、心拍や呼吸などの体のさまざまな機能を、絶えず自動制御しています」

2つがバランスよく働くことが理想的ですが、この自律神経も、ストレスによって乱れやすいシステムだといいます。

「ストレスがかかって交感神経が活発な状態が続き、体が休まらないままだと、むくみや肩こり、慢性疲労など体の不調が現れてきます。体が辛ければ当然、メンタルにも悪影響です」(宗田先生)

さらに、自律神経は女性ホルモンの変動とも密接な関係が。心療内科医の田中奏多先生は

「それぞれの司令塔が脳の近い場所にあり、どちらかが不調になると片方も呼応しやすいという特徴があります。逆に言えば、体に働きかけることで、心にも良い影響を与えられる可能性があるということ。体からのサインも見逃さずに、メンタルマネジメントに役立てましょう」

とのこと。下記の、自律神経が乱れた時に起きがちな症状例を参考にしてみましょう。

自律神経バランスがピンチかも?

  • 寝足りない感じが続く
  • マッサージをしても肩こりが良くならない
  • 下痢や便秘が続く
  • 手や足が冷える、下半身がむくむ
  • 原因の分からない頭痛がする
  • めまいや耳鳴りがするようになった
  • 息苦しくなったり、急に動悸がしたりする
  • 顔や手足など、体の一部だけに汗をかく

教えてくれたのは…

宗田 聡先生
産婦人科医、広尾レディース院長。長年の経験をもとに、女性たちの悩みに心と体の両面からアプローチ。著書に『31歳からの子宮の教科書』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)など。

田中奏多(かなた)先生
心療内科医、産業医。東京TMSクリニック勤務。ハーバード大学TMSコース修了。著書に『眠る投資 ハーバードが教える世界最高の睡眠法』(アチーブメント出版)がある。

※ 構成、文・新田草子
※ 2021年12月22日配信

3.女性ホルモンを整える暮らしとは?

仕事で責任が重くなったり、ライフステージが変わったりと、体調を崩しがちなアンアン世代。まさにその一人だった女性ホルモンバランスプランナー®の原由記さんは、健康を取り戻した実体験と知識から、日常的にできるホルモンバランスの整え方を伝授!

起きたらカーテンを開けて、必ず朝日を浴びる。

睡眠不足は女性ホルモンを乱すといわれています。そこで、良質な睡眠のためにやるべきは、朝一番に、カーテンを開けること。「体内の生体リズムを整えてくれる太陽の光は、睡眠と覚醒をうまく切り替えるカギ! 朝起きたらすぐに1〜2分、深呼吸をしながら太陽の光を浴びると約16時間後にメラトニンという眠気を誘う脳内の神経伝達物質が分泌され、寝つきがよくなります。曇りや雨の日でも十分な明るさがあるので、毎日の習慣にするといいでしょう」

スマホは、できるだけ遠い場所に置いてからベッドの中へ。

生活のリズムを整えることが、すなわち女性ホルモンを整えること。そのベースになる睡眠にとって、脳を活性化させるパソコンやスマホのブルーライトは完全にNG。「寝ると決めたタイミングで、仕事のメールやSNSチェック、動画観賞もおしまい! 寝室とは違う部屋に持っていき充電を。ワンルームの場合は、視覚に入らない、できるだけ自分から遠い場所へ。夜はマッサージなど、セルフケアの時間にして“スマホに囚われない自分”でいたいものです」

寝る時には”五感”に心地よいものを意識して選ぶ。

女性ホルモンの影響を強く受けるのが、心の状態。「肌に触れて心地よい、ふわふわして癒されるなど、気持ちをポジティブな方向に導いてくれるアイテムを選びたいもの。特に寝具やパジャマは、睡眠の質も左右します。肌触りがよく、五感が喜ぶ素材を選びましょう。チクチクする、毛玉でゴワゴワするといった小さなストレスも、蓄積されると眠りを妨げます。ピローミストやルームフレグランスの香りにもこだわって。生理不順には、セージやレモンバームを」

4.女性ホルモンを整えるセルフケア術とは?

朝ごはんには、植物性タンパク質を摂る。

女性ホルモンにいい食生活は、栄養バランスのとれた食事。「不足しがちなのが、タンパク質。不足すると、体内に水分を溜め込むようになりますが、生理前はその傾向がより強くなります。生理前のむくみが辛い人は、朝にお味噌汁を飲み、タンパク質摂取を意識してみて」。大豆イソフラボンは、エストロゲンと似た作用があり、生理周期の乱れを整える働きや美肌にも期待大。「食事を改善することは、次の生理周期を整える準備になります」

リモートワークでも、始業前に家の周りを歩く。

リモートワークだと、通勤で駅まで歩いたり階段を上り下りすることさえもなくなり、意識しないとすぐ運動不足に陥ってしまいます。「体を動かして、血行をよくすることは、女性ホルモンにいい働きがあります。始業前に、できれば一駅分、難しければ家の周りだけでも歩くと◎。また、1時間に1回はストレッチをして、座りっぱなしで滞った血流を改善してあげましょう。冷たい椅子は腰まわりやお腹を冷やします。クッションやブランケットで冷え対策を」

【CHECK!】生理中は内くるぶしマッサージで、卵巣をケア。

床に座って、内側のくるぶしの上部を流れる血管の横をなでて、ゴリゴリしていたら、卵巣が疲れているサイン。「石みたいに硬い部分に老廃物が溜まっているので、そこをぐっと押して、しっかりと流してあげるといいでしょう」

※『anan』2021年12月8日号より。

教えてくれたのは…

原 由記さん
女性ホルモンバランスプランナー®。大学を卒業後、化粧品会社に入社。会社員時代に体調を崩した経験から、資格を取得。デリケートゾーンケアアイテムを扱う「メリア」を立ち上げ、代表を務める。

※ 取材、文・小泉咲子
※ 2022年1月14日配信

5.心と体を整えて、女性ホルモンのバランスをとろう

忙しい日々の中で、ストレスなどによる女性ホルモンバランスの崩れに悩んでいる方も多いのでは? 自律神経のセルフケアチェックなど、あなたのライフスタイルにあったものを取り入れてみましょう。心と体を整えて不調を緩和し、心地よく過ごせるように役立ててみてくださいね。

©Atipati Netiniyom / EyeEm /Getty Images

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