地元ならではの味わいと温かさに満ちた、ローカルコンビニ案内。ここでは、北海道と東北エリアにおけるローカルコンビニをご紹介。
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国内旅行に出かけた際に、見知らぬコンビニを発見したことがありませんか? ユニークな店名やロゴマーク、レトロな外観などに惹きつけられ中に入ってみると、地元の特産品からオリジナリティ溢れる手作りの商品などがずらっと並び、珍しさからついつい買ってしまう。そんな全国各地の「ローカルコンビニ」を巡っているのが、研究家の加藤弘倫さん。
「コンビニは1970年頃に登場し、誕生から30年足らずで爆発的な広がりを見せました。スーパーとの大きな違いは売り場面積が30m2以上250m2未満であること。その小さな売り場の中に、その土地ならではの食の傾向や習慣を垣間見ることができるのが、ローカルコンビニの醍醐味です。ただ、エリアを限定し地元の人に愛されている地域密着型の店から、経営統合によって新しくできた業態など様々ありますが、その明確な定義はありません」
まだ知らぬローカルコンビニを目指し、北海道から沖縄まで、休日を利用しては実際に足を運んで開拓している加藤さんが思う、ローカルコンビニの魅力は?
「コンビニの最盛期は1980年代。その頃はチェーン、単独店問わず、もっと多くのローカルコンビニがありましたが、経営難や吸収合併などで残念ながら閉店してしまった店も少なくありません。だからこそ今も頑張っている店は、地域に根付いた経営を行いながら時代や顧客ニーズの変化に合わせて独自のサービスを展開したり、面白いグルメを考案したりと、試行錯誤を繰り返してきたからこそ愛され続けているんです。小さな店舗の中に工夫がたっぷり詰まっていて、経営者の人柄にも触れることができるのが、なんといってもローカルコンビニの魅力です。またコンビニは、その土地のことを知るのにもってこいの拠点なので、旅行の時に立ち寄ってみると、よりその地域のことが知れて、旅が一段と楽しくなるはずです」
【北海道エリア】
セイコーマート

“セコマ”の愛称で知られ、北海道でNo.1シェアを誇る!
北海道だけで約1000店舗展開し、茨城と埼玉にも飛び地出店。「道内ではコンビニ大手3社よりも店舗数が多く、離島も含めて9割以上の市町村に店舗を構える、まさにローカルコンビニの代表ともいえる存在!」。店内調理の「ホットシェフ」は種類も豊富で美味しいと評判。特に店内で粉付けして揚げるフライドチキンや、カラリと揚げたとんかつを卵でとじたカツ丼は、道民を虜に! セイコーマート
ハセガワストア

1978年に販売を開始した名物のやきとり弁当は必食。
函館近郊に13店舗展開。海苔を敷いたご飯に豚串をのせたやきとり弁当が有名。「酔ったお客さんに『弁当ないの?』と言われ、とっさに組み合わせたのが始まりだとか」。作り置きはせず、注文が入ってから焼いて提供するのがこだわり。ロゴマーク「にこちゃん」のオリジナルグッズは、おみやげにもピッタリ。ハセガワストア
タイエー

『ハセガワストア』で修業。暖簾分けで根室に開店。
創業者の田家徹さんが地元にコンビニを開きたいという思いから、『ハセガワストア』で修業をし、暖簾分け店舗として出店。現在は根室市に4店舗。「ハセスト同様やきとり弁当もありますが、カルビ弁当や鹿肉弁当などのオリジナル弁当も充実」。千島本店では、根室市場で買い付けた鮮魚もほぼ卸値で販売。タイエー
【東北エリア】
ワイワイショップ

アロハシャツでお出迎え!? ハワイアンな雰囲気が素敵。
いわき湯本温泉の玄関口であるJR常磐線湯本駅前に、何ともノリの良いコンビニが。「店長の小林さんがいわきをこよなく愛し、地元を盛り上げたいと頑張っています。従業員全員がアロハシャツを着ているので、店内にいるだけでアロハな気分に」。「フラおじさんバーガー」が特に人気で、湯本のゆるキャラ「フラおじさん」がプリントされたご当地グルメはSNS映え必至! ワイワイショップ
キャメルマート

最後の1店舗として奮闘。秋田八幡平のオアシス。
かつて北東北を中心に展開したコンビニチェーンの屋号を、個人店として今も守り続ける唯一の店舗。「ロゴが可愛くてキャッチー。山中にあるので少々行きづらいですが、八幡平の別荘を訪れる方向けに食材や雑貨を販売しています」。秋田の地酒を中心にきりたんぽなど秋田のお土産も揃い、どこか懐かしい味わいのバラの形をした秋田のソウルアイス「ババヘラアイス」も美味。キャメルマート
教えてくれた方・加藤弘倫さん
Profile
ローカルコンビニ研究家。息子さんと全国を巡り、プレハヴ名義でのSNSなどでその魅力を発信。書籍に『全国ローカルコンビニグルメ図鑑』(小学館)。
anan2455号(2025年7月16日発売)より
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MAGAZINE マガジン

No.2455掲載
夏の推し旅 2025
2025年07月16日発売
海、美食、動物、かき氷、アートなど「大好き」なもの=“推し”を追い求める癒しの旅を案内する特集。夏といえばの沖縄は、那覇&本島西海岸のエリア別解説のほか、久米島、西表島という2つの離島もフィーチャー。他に「大人の夏休み」として、埼玉・長瀞の涼を求めて日帰り旅、栃木・那須で自然に触れる“大人の林間学校”、岡山で今が旬のフルーツとアートを楽しむ旅、北海道・トマムで雄大な自然を満喫する旅など、この夏おすすめの旅先をご紹介します。 ※ anan2455号POPver.(通常版)と、MODEver.(特装版)は表紙・掲載グラビア(Mrs. GREEN APPLE)・バックカバー・価格が異なり、その他の内容は同一です。