休養=寝るだけじゃない! 軽い運動、趣味に没頭…癒しに繋がる“7つの休養モデル”

ライフスタイル
2024.07.04
癒しを得るためには、心が癒しを求める原因となっている“疲れ”を取り除くことも大切。ただダラダラと休むのではなく、心の疲れも取れて、癒しに繋がる“7つの休養モデル”を実践しよう。教えてくれたのは、日本リカバリー協会代表理事・片野秀樹さんです。

攻めの“癒し術”で、まずは活力を高める。7つの休養モデルとは?

私が運営に関わっている日本リカバリー協会が、就労者10万人を対象に行っている調査によると、日本人の約8割が“疲れている”と自覚していて、これは25年前に比べて約2割増加しています。疲労とは、実は発熱と痛みに並ぶ、体から出る危険信号のひとつ。しかし発熱や痛みで会社を休めても、疲労で会社を休むことは難しい。そこで気力やドリンク剤などでマスキングし、疲労状態にありながら“疲労感”を拭ってなんとか乗り切ろうとします。ところが疲労感を麻痺させたまま疲労を蓄積させてしまうと、日中の活動能力が低下して生産性が下がるなどの障害が出ます。疲労感を覚えたら、休養を取ることで心身ともに癒す習慣を身につけましょう。

多くの人は、休養とは寝ることだと考えがちかもしれませんが、疲労の対義語は活力です。“休養学”においては、活力をチャージすることも、疲労回復のための休養と考えています。例えば、血液循環を良くする運動をしたり、友達と食事をする、推し活に没頭するのもいいでしょう。毎日の通勤は疲れるかもしれませんが、電車の中で本を読んだり、公園の緑を目にすることでも休養は得られています。これらを含め“攻めの休養”と呼んでいる休養モデルは7つ。ライフスタイルに合うものを、自分で選んで、取り入れることで活力となり、“癒し”を生み出すのです。実践する際は、下の“DRIC”を意識すると、より質の高い休養が得られるでしょう。

理想の休養サイクル

7つの休養モデル 片野秀樹

活動して疲れたら休養し、また活動に戻るサイクルでは100%の疲労回復はできない。あえて成長できる趣味や楽しめる何かで“活力”を高める、“攻めの休養”サイクルを取り入れよう。

休養するときの心得“DRIC”

D:Distance
R:Reset/Refresh/Restart
I:Input/Invest
C:Control

ストレスや問題から距離を置く“Distance”、過去や悩みを“Reset”、出し切るだけでなく自分のための“Input”、自分の行動を自分で決める“Control”。頭文字から“DRIC”を心得て。

生理的休養

休息タイプ

7つの休養モデル 片野秀樹

睡眠と休憩によりエネルギーの回復を待つこと。
休息とは、一度活動を停止して、体を動かさずにエネルギーの消費を抑制し、エネルギー回復を待つこと。具体的には、睡眠や休憩を積極的に取るのがおすすめ。夜の就寝のほかに、昼寝や仮眠なども睡眠と考えてOK。また休憩は“自分で決めて休憩すること”が大事。何もすることがないからと受動的にダラダラするのは、疲れが取れず逆効果になるので注意したい。

運動タイプ

7つの休養モデル 片野秀樹

軽く体を動かすことで血液循環を促し、疲労を軽減。
何もせずにじっとしているより、運動をしたほうが疲れは取れるため、これこそ“攻めの休養”といえるでしょう。ただし運動といっても激しいものではなく、血液の循環を促す程度のもの。軽い運動で血液の循環を促すことで、細胞のひとつひとつに酸素と栄養を運ぶことができ、老廃物の除去を促進。またリンパの流れが良くなることで疲労感の軽減に繋がる。

栄養タイプ

7つの休養モデル 片野秀樹

食べすぎないことも体を休めることになる。
この場合、栄養バランスの良い食事をすることではなく、逆に、食事の量を減らしたり、食べないことが栄養となり、体を休めるポイントに。暴飲暴食のあとは内臓もお疲れ気味。翌朝は朝食代わりに白湯を飲むとか、消化のいいお粥など軽い食事のみに。また、ファスティングをすることで、消化器系の休息にもなるし、老廃物を排出するデトックス効果も得られる。

心理的休養

親交タイプ

7つの休養モデル 片野秀樹

人や自然、ペットと触れ合うことで、活力が得られる。
友達と楽しく会話をする、同僚とランチに出かける、家族や恋人とハグやスキンシップをするなどの“親交”は、人との繋がりを実感できて気分転換やリフレッシュになり、心理的な休養に。広い公園や樹木のある場所に行くことも“自然との親交”として同様の効果が。また、赤ちゃんやペットを撫でる行為は“幸せホルモン”を分泌するため、癒し効果も大きい。

造形・想像タイプ

7つの休養モデル 片野秀樹

何かに集中することで疲労感が軽減する。
何かに集中することで、仕事のストレスや疲れを一瞬忘れることができる。例えばDIYやハンドメイド、絵を描いたりする“造形”。そして、美術館で絵を観ながら画家の背景を考察したり、地図や時刻表などを見て旅行した気分になる“想像”もこのタイプ。好きなアイドルのことを考えるなど、空想するだけでも十分な効果あり。余裕がある人は瞑想を始めてもいいかも。

娯楽タイプ

7つの休養モデル 片野秀樹

趣味に没頭する時間は何よりのリフレッシュに。
映画やアニメの観賞、推し活、ゲームなど自分の趣味嗜好に没頭する時間こそ心の休養になることは、多くの人が実感しているはず。音楽鑑賞なら、自分が心地よく感じるリズムやスピードの曲をプレイリストに入れておき、休憩時間に聴くのもおすすめ。お酒を飲むのもいいですが、嗜む程度に。何事もやりすぎは良くないので、リフレッシュできる範囲で楽しんで。

社会的休養

転換タイプ

7つの休養モデル 片野秀樹

生活に密着した手軽な気分転換が休養に。
自分の皮膚が外部環境と内部環境の境目になると考え、ここまで提案してきたのは、内部環境を変える休養の取り方。ここでいう“転換”とは、自分の周りの環境を変える=外部環境を変えること。最も典型的な手段は旅行。引っ越しや転職など大掛かりなことではなく、買い物や外食をしたり、机の上を片付ける、部屋の模様替えなどでOK。こまめに気分転換してみよう。

かたの・ひでき 日本リカバリー協会代表理事、博士(医学)。休養に関するリテラシー向上の啓発活動を行う。著書に『休養学 あなたを疲れから救う』(東洋経済新報社)など。

※『anan』2024年7月10日号より。イラスト・Saki Morinaga(vision track) 取材、文・若山あや

(by anan編集部)

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