意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「宗教2世」です。

公的支援から外れる貧困。偏見もなくそう。

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安倍元首相の銃撃事件を機に宗教2世の存在がクローズアップされました。僕は以前からオウム真理教信者の子供たちや、脱会した方のその後の社会生活について当事者に取材してきました。彼らは、一般の社会生活を送るのは極めて困難な状況に陥っていました。

学校でも職場でも自分が宗教2世であることを伝えるのは難しかったとみなさん話しておられます。奇異な目で見られたり、レッテルを貼られたり、警戒されたり。友人や恋人に話せば自分から離れていくのではないかという怖さから、余計に一人で抱え込んでしまいます。一方では、SNSの普及により、初めて自分以外にも同じような状況にある人がいることがわかり、心が支えられたとおっしゃる方もいます。

今回の事件の山上容疑者の家は、旧統一教会の信者である母親が多額の献金をしたことにより破産しました。このようにカルト教団で、常識を超えた霊感商法などで信者がお金を吸い上げられていくような家庭で育った人は、経済的に非常に苦しい状況に陥ります。ところが、こういう場合の貧困は法的なサポートから外れてしまうんですね。

生活保護費は、病気や怪我で働くことができない人に支給されます。しかし、宗教による過剰献金の家庭の場合、両親のどちらかが働いており、お金も稼いでいる。それが家庭や子供たちに回らないという状況ですから、当然、生活保護の対象にはなりません。

旧統一教会の信者の子供たちは「祝福2世」と呼ばれ、教会内で大切に育てられます。しかし自由な恋愛や結婚ができないなど厳しい教えがあります。教義に疑問を抱き、親とは違う道を歩みたいと思っても、家族や人間関係、自分の居場所などをすべて切り離すことになるので相当の覚悟が必要です。

この問題はほかの新興宗教にも通じます。宗教2世は自分で信仰を選べず、そういう家庭に生まれたことで社会的孤立を強いられ、学びの機会や様々な選択の自由を奪われます。偏見を抱いてしまう社会風潮にも問題はあると思います。公的支援のあり方も再考の余地があるでしょう。宗教の問題というよりは、子供の虐待や貧困の観点から捉えるのが重要ではないかと思います。

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堀 潤 ジャーナリスト。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。Z世代と語る、報道・情報番組『堀潤モーニングFLAG』(TOKYO MX平日7:00~)が放送中。

※『anan』2022年9月21日号より。写真・小笠原真紀 イラスト・五月女ケイ子 文・黒瀬朋子

(by anan編集部)

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