ひらめきが形になると人生はもっと楽しく!
N(名越さん):いいアイデアとか、これは危険とか、しいたけ. は、ひらめきを信じている?
S(しいたけ.さん):はい、信じているほうだと思います。
N:占いはどうやって書いているの? 言葉がひらめく感じ?
S:うーん。ひらめきというとおこがましいんですけど、まずはそういったものが先にあって、そこから引っ張られるように最後まで押しきっちゃう、みたいなところはありますね。
N:やっぱり。文章から、そんな気がしていました。僕もカウンセリングをしていて、ひらめくことがあるんですよ。ぱっと見た瞬間に、確信するというか。
S:そうなんですね!
N:でも、「その根拠は?」なんて言われると、言葉にするのはなかなか難しい。だって、直感なのだから。ただ、本人と話しているうちに、やっぱりそうなんだ、とあとから理屈がついてくる。
S:そのひらめきは、これまでのカウンセリングの蓄積が、もとになっているということもありますか?
N:そういう学術的な側面もありますよ。でも、それは半分くらいで、あとの半分は、「これだ!」という答えがパンと外側からやってくるような、本当に説明しづらい感覚なんです。
S:ひらめきは、誰にでも起こり得るものなのでしょうか?
N:起こり得るんですけど、それをほとんどの人が使えていないんです。ある有名大学の理系の教授と話した時に、日本人の多くは、どんなにエリートでも、脳の半分の機能しか使えていないんじゃないか、と。そして、その残り半分の重要な機能を司っているのが、実はひらめき。それなのに、とかく実務主義の日本人は、ひらめきのような実態のないものを信じられず、ウソだと思ってしまうんですね。彼と深く意見が一致したのが、もっとひらめきを使いなさい、ということ。
S:でも、どうやったら使えるんでしょう。
N:一見、本筋とは関係のないことをするのがおすすめです。たとえば仕事の企画で煮詰まったら、散歩をしたり、自然と触れ合ったりしてみてください。世界的な発明も、研究者がお風呂に入っている時にひらめいた、なんて話もあるでしょう。ひらめきを作動させるには、無駄だと思うことでもやってみる必要があります。
S:僕の場合はどうなんでしょう。それこそ理屈はわからないんですけど、ひらめきがあって、それを誰にも咎められなかったから、自分の占いのスタイルが出来上がったというか。ひらめきがあっても、目の前の人に面白くないと言われたら、それが正解になってしまうわけですよね。僕はずっとひとりだったので、そういうこともなく、自分の考えを熟成できたっていうのが、かえってよかったんだと思います。
N:そう。ひらめきって、ひらめくだけじゃダメなんです。それによって、たとえばしいたけ. みたいに占いに活かせた、とか成功体験がないと、ひらめきなんて信じられないでしょ。だから、1回でいいんです。若いうちに成功体験をしてほしい。そうすると人生が変わるから。ただ、ひらめきを得るためには、無駄なことをやらないといけないんですよ。騙されたと思って、まずはいっぺん森でぼーっとしてみて!
S:旅に行って、不思議な味のカレーとか食べてほしいですね(笑)。
N:そういえば、しいたけ. の占いには、無駄というか、読者が想像を膨らませる余地のようなものがあるよね。
S:え、そうですか?
N:僕は蟹座なんだけど、しいたけ. の占い当たっているなぁって思って読んでいたら、僕とはまったく性格の違う蟹座の人が次に読んで「とっても当たっている!」って。それってやっぱり、それぞれの読者が自分のことだ! と直感するような余白が、というか表現のゆらぎのような幅が文章の中に息づいているからだと思うんです。それともう一つ、しいたけ. の占いが読者をひきつけているのは、一般の感覚とは微妙に違う特有のズレ。
S:それは僕も感じたことがあります…。
N:そうなの? ズレているなんて言うと傷つけてしまいそうで言っていなかったんだけど、自分で気づいていたの!?
S:…はい。僕は目の前にいない人に向かってシャドウボクシングのような会話をずっとしてきたので、生身の人と話をする時は、きっと論点がズレているんだろうなぁ、と。
N:気づいていたと知って、ほっとしました(笑)。でも、これはもちろん褒め言葉なんですよ。とにかく感性が独特なので、いつも話している時、僕の中のクリエイティビティが問われていると思って、わくわくしますから。
S:そう言っていただけると、こちらもほっとします(笑)。
N:彼は幸いにもその才能を摘まれずに済んだけど、ひらめきは誰かに話した時に、最初は訝しがられることもあると思うんです。でも、ズレていてもいいと思って前に進み、一度成功体験を味わってください。クセになりますよ!
なこし・やすふみ 精神科医。相愛大学、高野山大学客員教授。NTV系『シューイチ』ほか、さまざまなメディアでコメンテーターとしても活躍。著書多数
しいたけ.さん 占い師。早稲田大学大学院政治学研究科修了。哲学を研究するかたわら占いを学問として勉強。著書に『しいたけ占い 12星座でわかるどんな人ともうまくいく方法』(小社刊)ほか。最新刊『しいたけ.の部屋 ドアの外から幸せな予感を呼び込もう』(KADOKAWA)が12月15日に発売予定。しいたけのブログ https://ameblo.jp/shiitake-uranai-desuyo/ 名越先生から「体癖」について学ぶなど師弟関係にある。ツイッターでのふたりのやりとりに注目者多数
※『anan』2018年11月28日号より。写真・大嶋千尋 イラスト・100%ORANGE 文・保手濱奈美
(by anan編集部)
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