夢見ることが理想へ近づく第一歩。
2025年、西洋占星術では、大きなトピックスが続きます。動きが遅く、ひとつの星座に長く滞在する星、冥王星、海王星、天王星、土星などが次々と新しい星座へと移動していくからです。
こうした星の動きが時代や世相に与える影響について、最近はよく話し、書いていますが、その変化は、それらの星を、ある星座に共有する“世代”が、その個性を持って、次の時代を切り開いていくからこそ起きる変化なのだと、最近は痛感します。
時代を切り開くパワーを秘めて。
たとえば、今年11月20日に消滅と再生の星・冥王星が水瓶座に移り、今後約20年、水瓶座に滞在します。約248年周期で12星座を巡る冥王星が、前回水瓶座に入った時に起きたのが、1789年のフランス革命です。今回もその頃のように社会の構造が変わり、秩序が逆転する可能性のある時代が到来したといえるかもしれません。
でも、そのフランス革命を成し遂げたのは、それより10数年前に生まれ、ひとつ前の星座、社会や組織を司る山羊座に冥王星を持っている世代の人々。その世代が成人して、力をつけて行使した社会の“革命”でした。そして科学技術を司る水瓶座に冥王星がある時期に生まれた次の世代がもたらしたのは、電気や電磁気などの発明で世界を変えた「産業革命」なのでしょう。
こうなると、俄然、自分がどんな世代で、何を変えるパワーを持つのか知りたくなるかもしれません。
年の範囲はおおよそですが、1971~’84年生まれの冥王星・天秤座世代なら、結婚や人との関わり方を従来の形から大きく変えていくパワーを持ち、’85~’95年生まれの冥王星・蠍座世代は、医学やセックスの概念、’96~2008年の冥王星・射手座世代は、学問やメディア、海外との交流などに関して、大きな変化をもたらす力を秘めています。逆に言えば、その分野では、従来の枠にとらわれずに生きる方が楽になり、活躍できたりするのです。
世代とともに変化する、恋愛・愛情運の傾向。
一方で、夢と幻想の星といわれる海王星は、愛や恋愛に大きな影響力を持つ星です。
同じように、生まれた時に海王星がどの星座に入っていたかで、その世代を見てみると、1957~’70年生まれの海王星・蠍座の世代は、異性との深い関わりや性愛、そしてスピリチュアルなものに夢と幻想を抱きがちな傾向があり、この世代が大人になっていく’90年代ぐらいまでは、世の中には“恋愛至上主義”的なムードが漂い、濃密な恋や愛を描いた芸術作品なども生まれていたように思います。私自身の記憶をたどって、最近の作品と比較しても、そんな感覚を持ちます。占いの原稿に関しても、’90年代のころは、より深く濃い内容を求められることも多かったように覚えています。
’71~’84年生まれの海王星・射手座世代の人は、海外や遠い場所への憧れ、広い世界へ飛び出したい願望が強く、恋愛への感覚はより奔放で自由になりますが、次の’85~’97年生まれの海王星・山羊座世代は、何より安定と堅実さを重視し、恋愛や結婚に求めることも急にリアルになっていった気がします。その後の’98~2011年に海王星が、平等と連帯意識を司る水瓶座に入って、LGBTQ+への理解が進み、恋愛もジェンダーレス、恋愛そのものに対してもクールでフラットな感覚が強くなりました。この世代が大人になり、社会の主流になると、もっとこの風潮は強くなるのかもしれません。
そして、2012年以降の、海王星が守護星座で、共感力と陶酔の星座である魚座に入って以降、リアルな恋愛と同じくらい、時にはそれ以上に“推し”への愛の癒しに満たされる人が増え、それを生活の中心にする生き方すら一般化しています。この傾向は、この海王星・魚座世代がずっと牽引していくカルチャーになっていくでしょう。
もちろん、個人個人の恋愛・愛情運の傾向に海王星が与える影響は、それぞれのチャートで違いがありますが、世代的には大きくこのような特徴を秘めているのです。
大きな星の移動がもたらす、社会やライフスタイルの変化。
この海王星が2025年には、3月30日から10月22日の間、魚座から牡羊座に一時的にですが動くことは、来年の大きな出来事のひとつ。その後、2026年1月から’38年まで、海王星・牡羊座の時代となります。海王星の周期は約165年。前回、海王星が牡羊座に入ったのは、明治維新の直前のこと。まさに明治の初期、権力の移行と“文明開化”で、日本が大きく生まれ変わったころは、海王星・牡羊座時代でした。牡羊座は始まりの星座、未知の世界への開拓と戦いの星座ですから、海王星は、当時大混乱や迷いも与えたと思いますが、これまでにない大きな新しい夢や希望、理想ももたらしたはずです。
2025年の海王星の牡羊座入りも、これまでの社会の構造にとらわれない、大きな夢や希望が生まれることが予想されます。恋愛や結婚の形も想像もつかない方向へと変わっていくかもしれません。
ただ今回の海王星の牡羊座入りには、これまでにはない大きな特徴があります。それはリアルと制限の星・土星が海王星と歩調を合わせるように、5月25日から9月1日の間、牡羊座に入ること。
海王星が“夢と幻想の星”といわれるのは、海王星が見せる夢や理想は現実とは乖離していて、どこかで夢から覚めて、現実とのすり合わせが必要になるから。海王星と土星の重なり、コンジャンクション(会合)は、伝統的には「幻滅」と解釈されます。海王星の見せる甘い夢に現実をつきつけて壊す、水をかけるように目を覚まさせる星が土星だからです。
けれど、そんな土星が、今回は海王星と並ぶような感じで一緒に牡羊座に入るということは、2025年は、「最初から制限付きの夢や理想しか描けない」ともいえますが、逆に「荒唐無稽ではない、実現可能な夢や理想が生まれる」ともいえるでしょう。
また、約7年半でひとつの星座を行く改革の星・天王星も7月7日から11月8日には、一時的ですが、これまでの牡牛座から離れて双子座に入ります。双子座が司るコミュニケーションの形や学校制度、学びの形などは時代に合わせて、ここから大きく変わっていく可能性があります。冥王星から天王星まで、こうした大きな星の移動にもよって、これまでの社会や生活のスタイル、常識なども変わっていきそうなのが2025年なのです。
東洋でも西洋でも世の空気が変わる運気に。
少し東洋の占いの話をすると、2025年の干支は「乙巳(きのとみ)」です。10年のサイクルで巡る「十干」の運気は、「甲辰(きのえたつ)」の干支である’24年から、すでに新しい10年のサイクルに入っています。「甲」は木の陽の気、「乙」は木の陰の気です。陽の気の時は、世の中の空気、人の心など目に見えないものが変わり、陰の気の時は、それを受けて、目に見えるものが変わっていく運気です。
今年、2024年、世の中の空気や人の気持ちは、実は、これまでと大きく変わってきているようです。日本だけでなく、世界の選挙の結果などを見ても、それを感じませんか? それを受けて、2025年は、東洋の占いでも、西洋の占いでも、変化の多い年になることは間違いなさそうです。
理想を実現できるチャンスだと思って。
そんな激動かもしれない時に、雲をつかむような夢や理想、愛や恋など、無力、何の役にも立たないように思うかもしれません。でも現実が揺れ動く時ほど、それは、あなたの心の軸や糧、拠り所になっていくはず。そして、それをリアルなものとして実現するチャンスも、凪のように物事が動かない時より、変動の時の方が多くやってくるでしょう。
今の世界にあるものは、すべて人間が夢見たことを叶えて、さまざまな形で実現しながら作ってきたものです。夢を見なかったことは実現できないし、実現することの第一歩が夢や理想なのです。
ですから大きく世界が旋回しそうな2025年。あなたもぜひ、新しい夢を見てください。これまでの形にとらわれず、あなたの心が本当に満たされる愛や恋も求めてみてください。きっと、それが大きな幸福や充足の始まりにつながるはず。2025年が、あなたの愛や恋の夢、大きな理想がかなうための始まりの一年になりますように祈っています。
PROFILE プロフィール
水晶玉子
すいしょう・たまこ 占術研究家。西洋・東洋の枠を超えて幅広く占術を研究。「四柱推命」を現代版にアレンジした「陰陽艶花占」など独自の占いを確立。『オリエンタル占星術 開運暦2025』(集英社インターナショナル)が発売中。