今やカルチャー的な側面からも関心を集め、もちろん腸活としても注目されている発酵食品。手作りすることでより身近に感じられる発酵食との向き合い方に迫ります。

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    小倉ヒラクさん直伝。“すぐに作れる”発酵副菜レシピ

    研究も食文化も進化中! 発酵×腸活の世界
    納豆、漬物など身近な発酵食品。腸にいいのは常識と思いきや、発酵×腸活の関係は絶賛研究中!

    「解析技術の進化で、僕らの腸内にはものすごい種類の細菌がいて、それらが共同作業をして免疫機能や腸内環境のバランスをとっていることがわかってきました」(発酵デザイナー・小倉ヒラクさん)

    そしてそのメカニズムも想像以上に奥深い。

    「例えば乳酸菌入りの食品を食べたら腸内細菌のエサになる…のようにシンプルに考えられがちですが、実はその乳酸菌がペプチドなど腸内細菌が好む物質を産生することで、ようやく腸内の環境に作用する。今もさまざまな発見が発表されていますが、一方でまた、麹など日本の伝統的発酵食品がトレンドになるなど注目の分野であることは間違いないです」(京都府立医科大学大学院教授・内藤裕二さん)

    腸活としても日常的に取り入れたい発酵食。今回はその発酵の世界をより身近で楽しめるよう、手作り発酵を中心にご紹介します。

    1、【麹菌】酒粕卵黄漬け

    あつあつ白米のおともに、お酒のつまみに。酒粕の豊かな香りをまとった卵黄が絶品

    日本酒を造るときもろみを搾ってできる酒粕で作る漬物。もちろん日本酒との相性も最高。

    【材料/作りやすい分量】
    酒粕…100g、水…3ml、みりん…大さじ1、塩…小さじ2~3、卵黄…3個分

    【作り方】
    1、酒粕を小さくちぎって耐熱ボウルに入れ、水を混ぜて電子レンジ(500W)に約1分半かける。柔らかくなったらみりんと塩を入れてよく混ぜ、漬け床を作る。
    2、漬け床を保存容器に移し、スプーンで作った凹みに卵黄を落とす。
    3、冷蔵庫で3~4日漬け込んで、卵黄が固まってきたら完成。
    ※発酵が足りなかったら1~2日延長する。

    【ポイント】
    広めの保存容器に酒粕を敷き詰め安定した漬け床を作ることがきれいに仕上げるコツ。豆皿やレンゲでサーブすればおもてなしにも◎。

    2、【乳酸菌】ザワークラウト

    ドイツに伝わる、キャベツの漬物。塩味が酸味に変わる経過も楽しみたい

    ソーセージに添えるだけじゃない、ドイツの定番ピクルス。ローズマリーを加えても美味。

    【材料/作りやすい分量】
    塩…15g、キャベツ…400g

    【作り方】
    1、キャベツを千切りにする。ボウルにキャベツと塩を入れしんなりするまでよく揉み込む。
    2、保存容器に1を入れて、常温で1~2日置き、味見をして酸っぱくなってきたら完成。
    ※発酵が足りなかったら1~2日延長する。

    【ポイント】
    ジッパーバッグに入れ、空気を抜いてザワークラウトを平たくバットにのせ、上から重しをするとしっかり漬けることができる。

    3、【麹菌】するめいかの麹漬け

    麹入りの漬け汁とするめいかの旨みが溶け合い、時を経るほど、ねっとり濃厚な味わいに

    日本海側に多い麹の発酵食。なかでもこちらは山陰地方の味。納豆と混ぜても◎。

    【材料/作りやすい分量】
    干しするめいか…100g、酒…200ml、米麹…200g、A[醤油、酒、みりん…各120ml]

    【作り方】
    1、するめいかをハサミで食べやすい幅の細切りにし、酒に一晩漬けて戻す。
    2、するめいかと酒をざるで分け、酒にAを入れて煮立たせる。
    3、耐熱の保存容器に米麹を入れ、2を入れる。漬け汁が冷めたらするめいかを入れて、柔らかくなれば食べ頃。

    【ポイント】
    するめいかがしっかりと漬け汁に浸かるように入れるのがおいしさのコツ。いかが汁を吸ったら同量の醤油、酒、みりんを継ぎ足して。

    4、【乳酸菌】泡菜

    にんにくの香味とピリ辛がやみつき。中国で広く愛される家庭の味

    中国で広く作られる家庭の味。スパイスや辛味のアレンジで、味わいの幅が広がります。

    【材料/作りやすい分量】
    A[千切りにしたキャベツ、にんじん…合わせて350g]、塩…30g、しょうが…20g、にんにく…5g、唐辛子…1本 ※好みで八角…1個、花椒…2g

    【作り方】
    1、水1Lに塩を入れ沸騰させ常温になるまで冷ます。
    2、Aと刻んだしょうが、にんにく、唐辛子を1に入れる。
    3、保存容器に入れて常温で保存し、毎日混ぜる。1週間ほどで食べ頃。

    【ポイント】
    空気に触れず清潔に保てる密閉瓶での保存が一番。微生物をまんべんなく行き渡らせ、発酵を進めるために毎日底からしっかり混ぜて。

    Profile

    内藤裕二

    京都府立医科大学大学院教授。腸内細菌叢、抗加齢医学、消化器病学が専門。京丹後地域の食生活から長寿食の研究も。毎朝の青汁バナナスムージーが健康の源。近著に『健康の土台をつくる 腸内細菌の科学』(日経BP)。

    小倉ヒラク

    発酵デザイナー。早稲田大学を卒業後、東京農業大学で発酵を学び、ラジオ『発酵兄妹のCOZY TALK』(YBS山梨放送)のパーソナリティも務める。「発酵ツーリズム」として全国の発酵文化を訪ねるツアーも開催中。

    写真・村上未知 レシピ協力・発酵酒場かえるのより道 取材、文・大澤千穂

    anan 2456号(2025年7月23日発売)より
    Check!

    No.2456掲載

    腸活の最適解。

    2025年07月23日発売

    あまたある腸活法の中で、自分に合った腸活は? その時どきの体調や人によって違う 、気負わずできる“ちょうどいい腸活”をレシピ、アイテム、メソッドと多角的に紹介する一冊です。様々な不調にアプローチする“腸律”には改名で話題のコンビ・ちょんまげラーメンが挑戦!

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    有力な人たちとのパイプ作りに適した日です。場違い感があっても、思い切って変わるつもりで臨んでみましょう。自分を良く見せようとして背伸びしなくてはならないかもしれませんが、続けるうちにだんだんと様になってくるはず。しばらくは一種の訓練か試験のようなものだと考え、表向きの自分づくりに励むといいでしょう。

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