「インパクトは強くないけれど…」奈良の食材×東京の“スペイン料理店”

フード
2021.09.22
レストランジャーナリスト・犬養裕美子さんの「今日、どこで何、食べる?」。今回ご紹介するのは、『TOKi(トキ)』の奈良×東京×スペイン料理です。
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コロナ禍前まで「地方レストラン」は、おいしいもの好きを惹きつけ大人気。ところがコロナ禍に巻き込まれ苦戦。それでも、ようやく地方から都会に! という新しい動きが出てきた。それが8月、新橋に移転オープンした奈良まほろば館だ。1階は奈良の特産品販売や観光案内など情報発信の場。そして2階にレストラン&バル『TOKi』。なんと奈良を代表するレストラン『アコルドゥ』の川島宙シェフプロデュースのレストランだ。

モダンスパニッシュと奈良素材の組み合わせ、さらに東京らしさを取り入れてというコンセプトで、昼も夜もお任せコースのみ。スペシャリテは奈良が誇る「大和牛」だ。その名は鎌倉時代末期の文献『国牛十図』にも見られ、現在も厳しく品質管理されている。そのイチボに低温で火を入れ、藁で香りをつける。するととろける柔らかさなのに、後味はスッキリ上品。

「奈良の食材はインパクトは強くないけれど調和力があるのが特徴」とは東京で現場を仕切る長谷川豊シェフ。そうめん、奈良漬、大和野菜、柿をはじめとする果物など、興味深い素材にはこと欠かない。奈良産和紙、ヒノキなどを多用した空間も奈良の空気を感じる。ってことは、奈良に行かなくてもいい? いえいえ、ここは奈良の入り口。奈良にはより奥深い味が待っている。

写真右・稲藁の香りの大和牛、ナス、姫サザエ。奈良県が誇る大和牛がスペシャリテ。コースのメインで楽しめる(平日の昼¥5,500コースは超リーズナブル)。左・三輪山本の手延パスタ麺 イチジクのTempura 生ハムのコンソメと若い八朔。そうめんの食感のパスタ。

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TOKi 東京都港区新橋1‐8‐4 SMBC新橋ビル2F TEL:03・6228・5665 ランチ12:00~15:00(13:00LO)、ディナー17:30~20:00(18:30LO) 日曜はランチのみ12:00~15:30(13:30LO) 月・第2・4日曜休

いぬかい・ゆみこ レストランジャーナリスト。東京を中心に、国内外の食文化、レストラン事情をレポート。

※『anan』2021年9月29日号より。写真・清水奈緒 取材、文・犬養裕美子

(by anan編集部)

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