フードライター・平野紗季子さんの「MY STANDARD GOURMET」。今回ご紹介するのは、シンプルな麺料理です。
麺

トッピングを忘れたわけじゃない。この料理はこれで完成している。麺・アンド・スープ、以上。なんたるミニマリズム。その堂々たる潔さ、誤魔化しの利かなさに、いただくこちらも背筋が伸びる。麺のメニューは汁ありの澄まし麺と汁なしの醤油かけ麺、その2種類のみ。澄まし麺は真昆布の和出汁にツヤツヤの細麺が輝く。一口啜ればプツッと歯切れのいい麺に出汁と柚子の香りが広がって、この印象、もうラーメンを超えている。その澄んだ出汁の美味しさは、まるで和食の椀物をいただくような感覚なのだ。

好みで白葱、あおさ海苔、ごま油等をくわえることもできるけど、それは最後の最後のお楽しみとして、しばらくはこの純粋なる麺と出汁の味わいの中に身を置いていたいと思う。醤油かけ麺もたいがいのシンプルさで、中華太麺に醤油とごま油をかけただけ、という構成。それゆえに麺のコシや小麦の旨みがドンと押し迫る。

オープンに際してオーナーの長谷川展弘さんが掲げたのは「彫琢復朴(ちょうたくふくぼく)」という言葉。「磨き上げた技を尽くして何も企まない境地に至ることこそ本物である、という意味です。最近は料理というより企画ではないか、といった食事も多い。その中で本質を見極めたものを出したかったんです」。奇をてらうことのないまっすぐな料理こそ、胃に胸に沁み入る力強さを持っている。

ひらの・さきこ 1991年生まれ。フードライター。著書にエッセイ集『生まれた時からアルデンテ』(平凡社)。

澄まし麺 ふくぼく 東京都新宿区神楽坂5-7 TEL:03・6265・0958 11:30~14:00 日・祝日休 澄まし麺はスープがなくなり次第終了。

※『anan』2017年5月31日号より。写真・清水奈緒 取材、文・平野紗季子

(by anan編集部)

【人気記事】
※千葉雄大 父に「ベッドシーン」を見られる
【代謝コントロール】総研ダイエット部始動! PR


※ 【ちょッ…惚れたわ!】男が思わず「ドキッとする」女友達からのLINE

Share

  • twitter
  • threads
  • facebook
  • line
フード

Recommend

こちらの記事もおすすめ

Today's Update
皮、餡、焼き方に地域性が出る?! 人気のご当地中華チェーン
皮、餡、焼き方に地域性が出る?! 人気のご当地中華チェーン
Food
Today's Update
実は全国のあちこちに?! 独自の進化を遂げた、ご当地スパゲッティチェーン
実は全国のあちこちに?! 独自の進化を遂げた、ご当地スパゲッティチェーン
Food
Today's Update
お店独特の“肉カルチャー”をご堪能あれ! ご当地ハンバーグチェーン
お店独特の“肉カルチャー”をご堪能あれ! ご当地ハンバーグチェーン
Food
アインシュタイン河井ゆずる、紅しょうがら難波を愛する食通芸人がレコメンド! 劇場周辺太鼓判グルメ
アインシュタイン河井ゆずる、紅しょうがら難波を愛する食通芸人がレコメンド! 劇場周辺太鼓判グルメ
Food

Movie

ムービー

Regulars

連載