
2011年に結成した4人組アイドルグループ・ふぉ〜ゆ〜が、先日、全国5会場を巡るライブツアー「4U. LIVE TOUR 2025 39×4=イイコロ」を完走した。大いに盛り上がったツアーから、10月29日(水)にLINE CUBU SHIBUYAで行われたライブの様子をレポートします。
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稀有な4人組による5度目の単独ライブツアー!
メンバーみんなが1986年生まれの同い年。福田悠太、辰巳雄大、越岡裕貴、松崎祐介と全員の名前に「ゆう」がついている(グループ名の由来にも)、CDデビューはしていないのにステージに引っ張りだこ…と、稀有なエッセンスが満載のグループとして知られる、ふぉ〜ゆ〜。彼らが初めて単独ライブツアーを行ったのは、グループ結成10周年のタイミングである2021年。それから毎年ツアーを開催し、今年は動員数が過去最多の2万4500人となるなど、着実に歩みを進めてきた。
会場となるLINE CUBU SHIBUYAは満席。18時ちょうどに照明が落ちると、大きな歓声がわき、観客の視線がステージに集中する。大きなビジョンに映し出されたのは、公式YouTubeチャンネル「ふぉ〜ゆ〜ちゅ〜ぶ」の企画に登場する車「ふぉゆ号」に乗ったメンバーたち。東京ドームの近くなどいろいろな場所を駆け抜け、停車したかと思えば、映像がリアルタイムのものへと切り替わり、4人がステージに登場した。
1曲目、名前のとおりのロックチューン「Rock the Show」で会場のテンションを瞬時にトップにまで持っていく。バンドの生演奏も心地いい。「ブーンブーンブーン」というフレーズが印象に残るアップテンポの「ダメモト」が続き、そして、MVも制作された彼らの代表曲「大丈夫さ」がラップありの新しいスタイルで披露される頃には、すでに4人が場を掌握していた。

2つの幕で見せる大人なふぉ〜ゆ〜
今回のライブで印象に残るのは、幕を使った2つの演出だ。一つは、透けた幕。観客にペンライトの消灯をリクエストしてから始まった「Tokyo Lover」は、東京と思われる街並みが幕に投影され、楽曲のアーバンな色合いをより濃いものに導いていく。さらに彼らが慕う先輩であるDOMOTOの「シュレーディンガー」では、手持ちカメラで捉えたメンバーの姿が幕に大きく映し出されるという、ぜいたくで迫力ある演出が堪能できた。
もう一つの幕は、銀色の幕。ムーディな大人の楽曲「Jellyfish」のパフォーマンスは、たくさんの銀テープを垂らした幕に水の泡とクラゲが現れるところからスタート。光を駆使した演出や、しっとりとしたパフォーマンスに思わず引き込まれてしまう。
ライブで盛り上がる楽曲の一つが、「コール&レスポンス 4U.」だ。作詞・作曲をヒャダインさんが手がけた約9分の壮大な曲で、途中、UFOにさらわれたメンバーをファンが助けるなど、いろいろなことが起こるユニークな内容だ。4人が「おともだち(ファンのこと)がいてこそ完成する曲」と話すように、寸分の狂いもないコール&レスポンスや「ポンス!」の声には感動を覚えるほど。ちなみに、YouTubeには、事前に練習できるように、コール&レスポンス講座の動画がアップされているが、この手厚さもふぉ〜ゆ〜ならではである。

居酒屋で繰り広げられる楽しいトークに夢中
ふぉ〜ゆ〜のライブには、近年のお決まりがいくつかある。まずは、アーティストのライブではなかなか見られないシチュエーションで繰り広げられるMCだ。これまでのツアーを振り返ると、キャンプ、お風呂、サウナ、ピクニックときて、今年は居酒屋である。MCも居酒屋にまつわるトークが展開。どんなにうるさいお店でも越岡さんの声は場を切り裂いて必ず通るというくだりから、「すみませーん!」と高音ボイスのオーダーが再現された。
また、ペンライトのデザインに対する松崎さんのこだわりも明らかに。今回のペンライトは、ふぉ〜ゆ〜ファンにはおなじみの「3939(サンキューサンキュー)です」という挨拶時の、手のジェスチャーを再現したものだが、当初は揃っていた人差し指と中指について、「長さが違う人の方が多い」と松崎さんが主張、現在の形になったという。メンバーいわく、「普段、マツ(松崎さん)がこんなに言うことはないんですけどね」とのこと。
来年4月に結成15周年を迎える話になると、福田さんが「イチゴ(15)ちゃんだね」と嬉しそうな表情を見せ、「もっとでっかい花火を打ち上げられるように頑張ります」と話す。辰巳さんはボケ満載の3人の話にツッコミながらも、「ふぉ〜ゆ〜を諦めないでいてよかったな」と感慨深そうにつぶやいた。
スキルの高さを感じる洗練されたパフォーマンス
そして近年のライブで恒例となっているのが、メンバー同士で他己プロデュースするソロコーナーだ。越岡さんプロデュースの辰巳さんは和装でtimeleszの「本音と建前」を、松崎さんプロデュースの越岡さんはナチュラルな雰囲気で北山宏光さんの「FORM」を披露した。また、辰巳さんプロデュースの松崎さんは嵐の「PIKA☆NCHI」で魅了する。
最後に登場したのが、他の3人にプロデュースされた福田さんだ。これまで、「福田世界観」として、越岡さんを「ウマシカ王国の王子」、辰巳さんを「タツパン三世」、松崎さんを「SDG-2」として描いてきた福田さんだが、3人に復讐される展開に。これまでに手がけてきた3作品の要素をすべて背負った異形の姿になった後、「完」と書かれた垂れ幕が下がり、終焉を迎えた。
そんな、笑いと少しの戸惑いがあふれる空気を一変させたのが、先輩である屋良朝幸さんが振り付けを手がけた「P・A・R・A・D・O・X」。美しいフォーメーションダンスやアクロバティックな動きを表情豊かに見せるところに、ふぉ〜ゆ〜のスキルの高さがうかがえる。
持ち前の長い手脚を生かした華やかでドラマティックなダンスの越岡さん。動きの一つ一つにパッションが宿り、ストーリーが見える辰巳さん。ダイナミックなダンスとカッコいい立ち姿がステージに映える松崎さん。音の取り方やムーブが洗練されていて、踊ることの楽しさが伝わってくる福田さん。個性は違っても、4人で踊ると1つの世界が生まれるところがふぉ〜ゆ〜らしい。そこから、「S.O.D.A」「Scandalous」「Haunted House」「ミッドナイトダンサー」と怒涛のメドレーが続く。熟練のスキルがあるからこそ生まれる艶と、熱を帯びたパフォーマンスが見る者の心を揺さぶり、会場のボルテージは最高値に達した。
最後は、このツアーで初披露された新曲「星屑の譜-ウタ-」。疾走感のあるエモーショナルな楽曲を4人が想いを込めて歌う姿を見て、胸を打たれた人も多いのではないだろうか。ライブの序盤、辰巳さんが「全員で楽しもうぜ」、福田さんが「みんな一人残らず大好きだ」と口にしていたが、1曲目からアンコールまで、4人が会場を動き回り、ファンに懸命に気持ちを届け、ファンからの想いを受け取る姿も印象に残った。

ふぉ〜ゆ〜が歌うからこそいい16のオリジナル楽曲
CDデビューをしていないという事実からすると意外に感じる人もいるかもしれないが、今回のライブでパフォーマンスされた全23曲(Instrumental除く)のうち、16曲がふぉ〜ゆ〜のオリジナルとなる。そのどれもが名曲で、ふぉ〜ゆ〜が歌うからこそ輝くものになっていた。
ふぉ〜ゆ〜が登場したanan 2463号(9月17日発売)の取材で、今回のライブツアーについて質問をした時に、福田さんが「ふぉ〜ゆ〜がライブをしていると知らない人も多いから嬉しい」と話していた。舞台での活躍や異色の経歴、バラエティ力の高さなどが、4人の魅力であることは間違いない。さらに、ライブパフォーマンスの高さや、素晴らしいオリジナル楽曲の存在、それを見事に表現するスキルの高さも、より多くの人に知られてほしいと改めて感じさせられるライブであった。
来年グループ結成15周年を迎える、ふぉ〜ゆ〜。きっと、“素晴らしいライブを手元において何度も見たい”“素敵な楽曲をいろいろな人に聴いてほしい”と思っているファンの方も多いはずだ。「コール&レスポンス 4U.」の歌詞に、「音源にしてよ〜ん」とあるが、メンバーとファンの想いが叶うことを願わずにいられない。
セットリスト
set list
「4U. LIVE TOUR 2025 39×4=イイコロ」
- Rock the Show
- ダメモト
- 大丈夫さ
- Tokyo Lover
- シュレーディンガー
- タペストリー
- コール&レスポンス 4U.
- 心つないで
- Instrumental
- Jellyfish
- Everything 4 You
- 本音と建前(辰巳さんソロ)
- FORM(越岡さんソロ)
- PIKA☆NCHI(松崎さんソロ)
- REAL DX(福田さんソロ)
- P・A・R・A・D・O・X
- Instrumental
- S.O.D.A
- Scandalous
- Haunted House
- ミッドナイトダンサー
- PANIC
- 星屑の譜-ウタ-
〈ENCORE〉
- Thank you for your love
- どしゃぶりヒーロー…Always ふぉ〜ゆ〜



























