SHINeeのリーダー、ONEWが約半年ぶりとなる⽇本公演「2025 ONEW WORLD TOUR[ONEW THE LIVE : PERCENT(%)] IN JAPAN」を10⽉3⽇・4⽇・5⽇の3⽇間、東京・⽇本武道館で開催した。本公演は、8⽉のソウル公演を⽪切りに世界16都市をまわる、ONEWにとってデビュー後初のソロ・ワールドツアーの⼀環として開催。約3年ぶりの⽇本武道館での単独公演となったが、そのセットリストには、10⽉1⽇に発売されたばかりのJapan 2nd Mini Album『SAKU』の楽曲も盛り込まれるなど⽇本公演だからこその内容で届けられ、会場を埋めたファンとの⼼の距離をできるだけ縮めたいというONEWの⼼意気溢れる公演となった。そんな武道館公演の最終⽇の模様をお届けします!


開演時間を少し過ぎた頃、客電が落ち、電脳世界で得体の知れない何かがうごめく映像がステージ正⾯のLEDに映し出される。続いて、太陽が差し込む部屋にONEWが佇む映像へと切り替わると、その部屋には⿊いルービックキューブが。それに触れるたびに時空がバグり、異なる世界線で異なる表情をしたONEWが現れる。と、公演のサブタイトルにもなっている韓国最新アルバム『PERCENT』に込めた、⼈間はあらゆるものと相互に補完する関係で、誰も⼀⼈で100%にはなれない不完全な存在であり、ONEW⾃⾝もその⼀⼈なのである、といった意味合いを視覚化したような映像で本編はスタート。その1曲⽬を飾ったのは、「PERCENT (%)」だ。LEDの背後からライトに照らされてシルエット姿で現れたONEW。そのシルエットはLEDが映し出す⽬のような映像の瞳の中⼼で宙に浮いているように⾒える。ワンフレーズ歌ってステージが暗転した後に現れたのは、ミントグリーンのツイードジャケットと⿊のパンツで、映像にあったルービックキューブを彷彿とさせる横3列、縦3段に積み上げられたキューブ状のセットの中央のセルに⽴ち、薄いクリームイエローのスタンドマイクで歌うONEWだった。四隅のセルにはバンドが陣取り、レイドバック気味なジャジーなアンサンブルに、少し気怠いONEWのボーカルが乗ってアダルトなグルーヴを⽣み出す。続いてギターアルペジオから「No Parachute」がスタートすると、ハンドマイクになって曲のビートに合わせて会場の熱を徐々に上げていく。リフトに乗って“jump”の歌詞に合わせてメインステージへと降り⽴つと、ラストはマイクを肩の⾼さから落とすドキリとする演出で楽曲の詞世界を表現した。

写真提供 ONEW JAPAN OFFICIAL FANCLUB @

ブリッジを挟み雰囲気は⼀転。天気⾬に打たれた窓ガラスの先に草⽊がぼんやりと映る曖昧な世界の中で届けられた「Yeowoobi」。ONEWが⼤きく左右に⼿を振り、それに呼応して客席のペンライトも揺れる中、ONEWはその抑制されたメロディによって際⽴つサウンドの浮遊感の中をたゆたうように⼼地よさそうに歌う。続く「夜明けの世界」のイントロでこの⽇ONEWが発した第⼀声は、張りのある「いらっしゃいませぃ!」。ここまである種の緊張感を帯びながら展開してきたステージが、この⼀⾔でフッと緩むと、会場の空気も⼀気に解放感に包まれる。ONEWも客席に⼿を振ったり、ステージ上を左右に移動したりしてファンとの距離を縮めながら、⽇本語の歌詞を⼀⾔ずつ丁寧に歌い届け、笑顔で会場を⾒渡しながら⼀礼をして締めくくった。

写真提供 ONEW JAPAN OFFICIAL FANCLUB @

「みなさんこんばんは、ONEWでーす! ただいまー!」と約半年ぶりの再会をONEWらしく表現すると、会場は⼤きな「おかえりー!」で迎える。「⾃分の⼼を⽇本語でちゃんと表現しますので、最後までよろしくお願いしますね」と語ると、公演のサブタイトル「PERCENT」のマークを体で表現しながら、そこに込めた思いを「この時間を使って、みなさんと⼀緒に100%以上の感情を分かち合いたいと思いますので、みなさん最後まで全⼒で楽しんでくださいね」と伝えた。「みなさん笑顔が本当に素敵ですね。なんか、キュンした」とONEW流の⽇本語も織り交ぜながら、「全部出し切る準備はできましたか? 次に⾏きましょう!」と次のセクションへ。

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ギターロックナンバー「Far Away」では、メインステージからセンターステージへと移動しながら体を上下に揺らして伸びやかな歌声を届けると、続いてアップテンポナンバー「Conversation」へ。「1! 2! 3! YO!」の掛け声から勢いよくスタートし、途中、SHINeeの楽曲ではなかなか⾒られないロートーンのラップを繰り出すと会場からは歓声が湧き上がる。ラップからボーカルへとシームレスに切り替えられるのも、彼のスキルをもってして成せる業だ。ラストに客席にマイクを向けて会場全体で“Conversation”の⼤合唱を巻き起こすと、満⾜そうな笑みを浮かべながら、控えめにウィンクをしてフィニッシュ。続いて荘厳なシンセサイザーのイントロが聞こえると、メインステージのマイクスタンドを掴み取って「MAESTRO」へ。楽曲が描く世界そのままに、海中と波間が交互に現れる映像の中、歌謡曲⾵のビートに乗せて疾⾛する歌声。「みんな⼀緒に!」とマイクスタンドを⾼く掲げて会場の合唱を求めると、先ほどよりもさらに⼤きな声で歌う会場。アクロバティックにマイクスタンドを操ったり、キレッキレにポーズを決めながら圧倒的な“海の主”感で武道館を制したのだった。

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VCRを挟むと、キューブのセット中央のセルに戻り、ハイチェアに座って「Winner (Stripped Ver.)」を披露。レースのカーテンが揺れる⼣暮れ時の窓辺を表現したLEDの中、アコースティック・ギター1本と歌声だけでスタートすると、⽬をつぶりながら熱唱するONEWの、あたたかさとやさしさと、⼒強さを併せ持つ唯⼀無⼆の歌声が武道館全体に染み⼊っていく。続くMISIAのカバー「Everything」では星降る煌びやかな世界の中、ファルセットを駆使しながら伸びやかな歌声を届けると、その珠⽟の歌声に酔いしれる客席からは⻑い間、惜しみない拍⼿と⼤歓声が送られたのだった。

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オレンジ⾊のライトに照らされたセンターステージに⼀⼈⽴つONEWが続けて届けたのは、「Epilogue」。韓国語で“僕のエピローグ”と歌うその歌声は、ここまでのどの歌声とも違ってあまりにも真っすぐだ。⾔語を超えたその先にある、⼈間誰しも感じたことのある普遍的な感情をやさしく撫でていくような響きを湛えるその歌声に聴き⼊る会場から再び⼤きく⻑い拍⼿が送られると、そよ⾵のようなイントロが鳴らされ、発売間もないJapan 2nd Mini Album『SAKU』からタイトル曲「花のように」を披露。MVの世界観を再現するようなボヘミアン調のセットの中、椅⼦にゆったり腰かけて登場すると、歌詞の細かな表現をジェスチャーに落とし込みながら丁寧に歌い、花びらが舞う会場に⼀⾜早くあたたかな春の⾵を届けたのだった。

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ふたたびVCRを挟み、⽩のシルキーなジャケットにボウタイブラウス、ビジューのラインがあしらわれた⿊のパンツに⾐装を替えたONEWは、キューブ中央のセルに設置されたベッドに腰かけて「Silky」へ。時折まくらを抱きながらふんわりと歌い、最後はベッドに寝転んでキュートに締めくくると、続いて、ゴールドに輝くLEDがマイクを持つ⼿でリズムを刻むONEWのスタイリッシュなシルエットを捉えて「Sunshine」へ。ダンサーを従えて全⾝で軽やかにリズムをとりながら⾳を⾝にまとってパフォーマンスすると、間髪⼊れずに「メリョク (beat drum)」に突⼊。するとすぐさま会場から⼤きな掛け声が上がり、跳ねるリズムに合わせて軽やかにダンスをしながらも、ブレない歌で会場を盛り上げ続ける。客席とのコール&レスポンスも繰り出し会場のボルテージを吊り上げると、ラストは開脚ジャンプでフィニッシュ(ジャンプは失敗)!

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続くMCで、この⽇の客席の盛り上がりに驚きと感謝を伝えると、「『KIMI=HANA』っていう曲がとっても楽しいんですけど、ワールドツアーの他の国でも演奏してもいい?」と客席に問いかける⼀幕も。客席が「いい!」と反応すると、「⽇本の特別な曲だからみなさんがダメって⾔ったらどうしようって思ってたんですけど…ありがとうございます!」と、客席と丁寧にコミュニケーションをとりながらMCを展開する。「⾳楽を通してみなさんと話ができればいいなと思って準備しましたので、これからも⻑い時間、よろしくお願いします」というONEWに会場から⼤きな拍⼿と歓声が送られる。「⾃分の幸せのパーセントは今1万以上です。みなさんは何パーセントですか? 今からパーセントを上げるためにみなさんと歌いたいんですけど、最後まで幸せになるために⼀緒に歌いましょうね」と呼びかけると、メインステージにしゃがみ、ダンサーたちと体を左右に揺らしながら「KIMI=HANA」をドロップ。華やかなホーンセクションにR&Bのノリでボーカルとラップとを⾃在に⾏き来するソロ・アーティストONEWの最新モードともいえる楽曲の次は、夜の摩天楼をバックに⼤⼈の余裕を滲ませながら「Caffeine」へ。細やかにステップを踏みながら⾃由にビートとメロディの中を泳いでいくONEW。最後は吐息とともにセクシーに締めくくると、バンド演奏によるブリッジはいつのまにか⽿馴染みのあるイントロへと溶けていく。ステージが真っ⾚に染まると、本編最後「ANIMALS」へ。80年代シンセポップ⾵な曲調で⽣バンドの疾⾛するビートに⼒強いボーカルとラップが乗る⾻太なアンサンブルに、会場もますますヒートアップ。ONEWも右⼿を振り上げて会場を煽り、ラストは渾⾝のハイトーンで天を仰いでフィニッシュし、熱く本編を終えたのだった。

写真提供 ONEW JAPAN OFFICIAL FANCLUB @

アンコールは「Oreo Cake」からスタート。この⽇のONEWはグッズのユニフォームに太いデニムパンツ、⽩の猫⽿(うさ⽿?)ビーニーに、⽿の⻑いウサギのリュックサックを背負って登場。その愛くるしい姿は「Oreo Cake」のミドルでキュートな曲調にもぴったりで、会場からは悲鳴が上がっていた。サビを客席に歌わせるとその⼤きな歌声に満⾜そうな笑みを浮かべて、「マンセ (YAY)」へと雪崩れ込む! 曲が始まるや否や客席から全⼒の掛け声が上がり、ONEWもジャンプをしながらどんどん客席を煽っていくと、客席へ降り、下⼿から上⼿まで満遍なく巡り、時折マイクを向けて歌わせたりしながらファンと⾄近距離で⼀緒に歌い踊る。ラストはアリーナにいくつもの⾵船が泳ぎ、場内はカラフルな紙吹雪が舞い踊るアッパーなカオス状態でこの上ない盛り上がりを⾒せたのだった。そして、桜が舞う映像の中、最新ミニアルバムからエモーショナルなナンバー「Cause I believe in your love」を、ぬくもりと少しの寂しさを内包して届けると、ここまで約2時間をかけてONEWと⾳楽を通して会話をした時間も残りわずかなことを予感させるのだった。

「武道館3⽇間、緊張もしていたし、みなさんの反応も⼼配だったんですが、そういうのは要らなかったですね。それはみなさんのおかげです。ありがとうございました」「⾔葉にできないほど感動して。みなさんの笑顔が1万%以上、10万、100万%も超えて、もう宇宙じゃないですか。天の河みたい。みなさんの姿がキレイだってことです」と客席に語りかけると、ラストはバンド、ダンサー、スタッフをねぎらうのに加えて、「みなさんも本当に頑張りましたよね。僕⼀⼈でみなさんに拍⼿を送ります」と、ステージから客席を埋めたファンに向けて全⼒で拍⼿を送ったのだった。

ここまでMCのほぼすべてを⽇本語で届けていたが、最後は⾃分の⾔葉を正確に届けたいからだろう、韓国語で、「みなさんとどんな関係だとしても、こんなふうにたくさんのことを分かち合うのは本当に⼤変なことだと思います。これまでご⼀緒してくださった時間に感謝しますし、これからの時間もよろしくお願いします」と思いを語る。「残り少しですけど、最後までみなさんと歌いたいです。早いうちにまた⼀緒に公演するために頑張るから、ちょっとだけ待っててくださいね。ワールドツアー、健康に⾏ってきて、また『ただいまー!』って⾔いますね! 今⽇は本当にありがとうございました。みなさんのおかげで本当に幸せです。最後まで悔いなくすべてを出し切っていきます。ありがとうございましたー!」と最後の挨拶をし、アンコールラストは「Happy Birthday」。雄⼤なバンドサウンドに乗せて、会場に集まったすべての⼈の幸せを願うように、懐の深い歌声で⾼らかに歌う。曲のラストにはLEDに花⽕が打ち上がり、この上ない多幸感の中、ONEWも会場も笑顔いっぱいで締めくくったのだった。最後は上⼿、下⼿と会場の隅々にまで深々と⼀礼しながら、この⽇⼀緒に過ごしたファンに感謝を伝え、「みなさん、最⾼!」とサムズアップ&投げキッスで会場に別れを告げたのだった。

と思いきや、ONEWの再登場を期待する拍⼿と声援が鳴りやまない状況に応えて急遽Wアンコール! ステージに⾶び出したONEWとダンサーで本⽇2回⽬の「マンセ (YAY)」! 客席からの“マンセ”の掛け声も、ONEWのアジテートも余⼒を残すつもりなど全くない超全⼒。客席の声に負けじとONEWもロッカーさながらのヘドバンで猫⽿ワッチを吹き⾶ばしながら⼒の限りパフォーマンスし、「ありがとうございましたー!」とやりきった顔で舞台を後にした。

ソロアーティスト・ONEWは、コンサートのたびにその⾒せる顔の数を増やしている気がする。それはSHINeeのONEWとも違う。もちろんどちらのONEWも表現者・ONEWだが、ソロの彼はきっと、より純粋で⾃由な好奇⼼と探求⼼で⾳楽と向き合っているのだろう。それがソロとしての彼の⾳楽性を広げ、純度を上げている。それが今なお現在進⾏形だから、コンサートのたびに知らないONEWに会えるのだろう。ワールドツアーをまわって次に⽇本で「ただいま」と⾔ってくれる時にはどんな顔を⾒せてくれるのか、楽しみに待ちたいと思う。

写真提供 ONEW JAPAN OFFICIAL FANCLUB @

取材、⽂・中村萌

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