ジャパンポップカルチャーを牽引するASOBISYSTEMから誕生したアイドルプロジェクト「KAWAII LAB.」。彼女たちが今、KAWAII旋風を巻き起こし中! バイラルヒットを飛ばし続ける秘訣をクリエイターの目線を通して考えます。

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    KAWAII LAB.

    原宿から世界へ、SNS時代のKAWAIIを拡散中。2022年に発足したASOBISYSTEMが日本のアイドル文化を世界へ発信するアイドルプロジェクト。“原宿から世界へ”を合言葉に、FRUITS ZIPPER、CANDY TUNE、SWEET STEADY、CUTIE STREETの4組が活動中。今後はグループを横断した活動も期待される。

    【アイドルを愛し、愛される人気コレオグラファー・槙田紗子さん】KAWAII LAB.アイドルのコレオから読み解く

    未完成なものを応援して育てたい。そんな日本のアイドルの図式を変えたのがFRUITS ZIPPERと分析するのはコレオグラファーの槙田紗子さん。

    「初対面で感じたのは、デビュー前ですでに垢抜けてる! ということ。以前の女性アイドルって素朴な子が垢抜けていく成長物語でもあったと思うんですが、今は一緒に夢を追いかけたり自分を肯定したり、共感度が人気を作る。“ふるっぱー”は女性ファンが本当に多いんですが、アイドル史の中で見てもこんなに同性に支持されるグループは珍しい。一人ひとりの個性が初期から確立されているから女性たちに憧れられるし、男性ファンの傾向も従来の育成目線ではなくなってきたので、この完成度に熱狂が起きた。それは他の3グループも同じ」

    槙田さんが感じた強い個性は、ダンスにも反映されている。

    「みんながセンターに来る振り付け。これは特に意識しています。センター固定のフォーメーションダンスは隊列がきれいだけど、抜け感がなくなりがちだし、KAWAII LAB.メンバーの個性が潰れてしまうので、センターが常に変わったり『最後のポーズは自由で』とか、あえて余白を作って垢抜け感を生かしています。実際、どのグループにもソロで成立するくらいの個性派が集まっていて、その子たちがみんなで一つの夢を追っている。そのエモさも共感につながっているはず。昔なら他人と比べたり揃えたりしたけど、今は自分を尊重する女の子が輝く時代。それを一人ひとりが体現しているから、憧れも共感も集めるんじゃないかな」

    そして思わずSNSで真似したくなる、個々の魅力を引き立てたカワイイ仕草こそが槙田さんの腕の見せどころ!

    「『わたしの一番かわいいところ』はまさにそうなんですけど、顔まわりで手を動かす振りが多い。女子はとりあえず顔まわりに手をおけば絶対可愛くなる! そこには私のポリシーが表れていますね(笑)。あと簡単だけど、あまり見ない新鮮な動きを入れるのも大事。その難易度と新鮮さのバランスもバズを呼ぶ秘訣かなと思っています」

    もっと深掘り! コレオのKAWAIIところ

    槙田さんが、特にバズった楽曲をダンス面から考察。キャッチーに見えてそこには鋭い意図と深い意味が隠されて…?

    中毒性あるイントロと振りが陽キャな個性とマッチ

    CANDY TUNE「倍倍FIGHT!」
    「大バズりした曲ですが、当時は全くSNS映えを意識してなくて。いま思えばイントロの中毒性。指先の動きが激しく変わる振りの難しさがゲーム感覚で楽しめてよかったかも。何より陽キャなキャンチューにぴったり!」

    真似するだけでカワイイ! 顔まわりの手の動きが鍵

    FRUITS ZIPPER「わたしの一番かわいいところ」
    「コロナ収束期に流行り始めたTikTokで、よく見る動きを研究して作りました。ほっぺハート、顔の横で手を合わせる“お願い”ポーズ、髪をさらっと払う仕草。サビに女の子が可愛く見えるポーズを詰め込んでいます!」

    カワイイだけじゃない動きで現代を生き抜く女子を表現

    CUTIE STREET「かわいいだけじゃだめですか?」
    「カワイイだけ? と見せかけて、実は『可愛さで生き抜くためには努力が必要!』という思いが込められた楽曲。剣を抜く仕草や銃を撃つ真似など、可愛さと芯の強さが共存する動きでカワイイを武器に戦う人を表現」

    メンバーの魅力を引き出す自由で楽しい動きがポイント

    FRUITS ZIPPER「NEW KAWAII」
    「この曲は超個性の強いメンバー全員をリスペクトした、自由度の高い動きが決め手。決めポーズとかそれぞれ違うし、サビの動きは思わず真似して一緒に踊りたくなる楽しさ。その楽しさもバズを生む秘密です」

    きめ細やかで努力型な個性を輝かせる超精密&高難度ダンス!

    SWEET STEADY「Call me, Tell me」
    「すいすて(SWEET STEADY)は努力家でお嬢様感が持ち味。踊るごとに完成度を上げてくるから移動も手の振りも高難度で細かい振りをつけがち(笑)。これもわちゃわちゃしてるように見えて超細かい動きに注目です」

    Profile

    槙田紗子

    まきた・さこ 3歳からダンスを学び、「PASSPO☆」の元メンバーでアイドルとして活動した経験を持つ。KAWAII LAB.ではFRUITS ZIPPERの「わたしの一番かわいいところ」以降、数々のバズダンスを創出。

    取材、文・大澤千穂 NexTone許諾番号PB 000056678号

    anan 2463号(2025年9月17日発売)より
    Check!

    No.2463掲載

    熱狂のカタチ 2025

    2025年09月17日発売

    みんなの気持ちを揺り動かし、大きな熱狂を呼んでいる人、作品、モノにフォーカス。葛飾北斎の人生を描いた映画『おーい、応為』に出演する長澤まさみさんと永瀬正敏さん、歌舞伎界の新鋭・市川團子さん、T-POPのニューウェーブ・JASP.ER、話題の恋愛リアリティ・ショー『今日、好きになりました。』のキャスト、「kawaii」を生み出し続けるアソビシステムのクリエイターなど、いま盛り上がりを見せる各界の豪華な面々へのインタビューから、バズを生み出している秘密に迫ります。

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    秋分の日。暦の上では秋も後半となり、少しずつ朝晩の肌寒さが増してきます。さて、今日の暦は強いリーダーシップ(指導力・組織力)を示すものですが、あくまで力の及ぶ範囲にとどめることが肝心との注意書きも付いています。欲を出して部外のことまで口出しすると、そこで新たな問題を呼び込んでしまいます。謙虚さが大事です。

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