ゆっきゅんの連載「ゆっきゅんのあんたがDIVA」。映画監督の山中瑶子さんを迎えての第3回目をお届けします。

映画に没入する原体験は『クレヨンしんちゃん』だった

ゆっきゅん:山中さんが映画に興味を持ったきっかけってなんだったんですか?

山中瑶子:本格的に映画を観始めたのは高校生からなんです。親が芸術分野に興味がなくて、あまり映画館に行かなかったこともあり、それまで映画分野を意識してきたこともなくて。

ゆっきゅん:親の影響ってありますよね。

山中瑶子:でも、小2の時、映画の割引チケットをもらって、わがままを言って親に連れていってもらったことがあって。原体験として言えるのは『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ! 夕陽のカスカベボーイズ』です。観たことあります?

ゆっきゅん:ないです!

山中瑶子:しんちゃんをはじめとするかすかべ防衛隊メンバーが廃映画館「カスカベ座」で流れていた映画を観ていたら、スクリーンの中の西部劇の世界に入り込んでしまうという話なんです。

ゆっきゅん:なんかすごい!

山中瑶子:本当に怖かったんですよ。あ、映画って中に取り込まれるものなんだと思って。でも今思うと、映画に没入するってそういうことじゃないですか。

ゆっきゅん:たしかにすぎる…。

山中瑶子:だからすごく本質的に映画を捉えているなと思って。映画を観ることのプリミティブな快楽を表現していた作品だったんだと気づきました。原体験としてはすごくよかった気がします。

ゆっきゅん:いい話! それで高校生になってからハマったんですか?

山中瑶子:これも変な話なんですけど、学校の近くにボウリング場と映画館が一緒になった施設があって、映画の半券があるとボウリング1ゲームが無料になったんです。それで数学の先生が生徒たちに映画の半券をくれと言っていて。私、数学が苦手だから気に入られたくて賄賂を贈ろうと(笑)。それで友達5人と映画に行くようになりました。そのうち、私だけ猛烈に映画にハマり始めてしまって。

ゆっきゅん:みんなと熱量が変わってきたんですね。そもそも5人で観る映画ってなんですか?

山中瑶子:当時、高校が舞台のサイコホラーが流行っていて『悪の教典』『神さまの言うとおり』とか。

ゆっきゅん:そういうの通らなかったな。

山中瑶子:ですよね(笑)。それから一人でミニシアター系にも行くようになりました。なぜか学校のあたりに3館くらいあったんです。

ゆっきゅん:文化施設って大事ですよね。私の家の近所にもミニシアターがあって、よく高校生の時に通っていました。

山中瑶子:ありがたいですよね。映画館が近くにあってラッキーだった!

Profile

山中瑶子

やまなか・ようこ 1997年生まれ、長野県出身。初監督作品『あみこ』が第39回PFFアワード2017で観客賞を受賞。最新作『ナミビアの砂漠』は第77回カンヌ国際映画祭の監督週間で国際映画批評家連盟賞に輝いた。テレビドラマの監督も手がける。

Profile

ゆっきゅん

1995年、岡山県生まれ。2021年からセルフプロデュースで「DIVA Project」をスタート。セカンドフルアルバム『生まれ変わらないあなたを』のリミックスEP『生まれ変わらない私を!?』が配信中。

写真・幸喜ひかり 文・綿貫大介

anan2437号(2025年3月5日発売)より

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