死ぬまでアイドル――。中島健人が覚悟を語ったファーストソロライブ

エンタメ
2025.01.23

中島健人さんがソロデビュー後、初めてとなるライブ「KENTO NAKAJIMA 1st LIVE 2025“N/bias”」を1月17日(金)~1月19日(日)、東京・有明アリーナで開催。最終日の1月19日、GEMNのキタニタツヤがゲスト参加したステージをレポートします。

2024年3月にグループを卒業し、ソロ活動をスタートした中島健人さん。2024年12月25日には1stアルバム『N/bias』でソロデビューを飾ったばかり。タイトルになっている『N/bias』には、これまでの自分自身に対する評価や偏見を振り払い、人間の殻を破っていく決意が込められている。そんな想いを掲げたライブは、これまでの魅力をフル発揮するだけでなく、新たな表情とアイドルとしての覚悟の想いを届けるステージに――。

メインステージの扉が開くと、そこには、銀髪にマッチする全身白を基調とした衣裳に身を包んだ中島さんの姿が。自身が作詞を手掛けた「ピカレスク」のアカペラでの歌唱から勢いたっぷりに幕開けした。この曲は、ダーク・ヒーローの苦悩と悲哀や切り開いていく新しい未来をミクスチャートラックに乗せて表現した楽曲。スパークラーの花火がふき上がる中、曲の世界観に憑依したかのように、内に秘めた悲しみを滲ませる、切ない表情で会場を魅了。続いての「N/o’clock」も最新アルバムの曲で、英語のリリックがメインの攻めナンバーへ。ファイヤーボールが次々と打ち上がる演出で、バックダンサーを従えながら、激しく踊る。今回のライブ演出も自身がプロデュースを手掛けており、新たな“中島健人ワールド”を魅せ付けた。

2曲駆け抜けたところで、1回目のMCタイム。「有明アリーナにお越しのU:nity(ユニティー・中島さんのファンネーム)。『N/bias』にようこそ。中島健人です。皆さん、熱くなってますか? これが最終公演です。僕の一生に1度しかないファーストソロアリーナライブのラストです。このステージの輝きを飾るのは、U:nityです。整ってますか?」と、客席に呼びかけると「イエーイ!」と会場に集まった1万5000人。

「一緒に遊ぶ準備できてる? 俺に会いたかった? 388日ぶりのステージです。お待たせ! ようやくここで爆発できます」とファンと喜びを分かち合い、「ここまでの道のり、本当にたくさんの方に支えられながら、U:nityのみんなと一緒に歩んで走ってこられた気がします。僕自身も去年、色々考えることがたくさんあって、眠れない夜もあったけど、みんなの愛で乗り越えて、今このステージでこうして皆さんに輝かせてもらってることを幸せに思ってます」と、感謝の気持ちを伝えた。

「皆さんも今悩んでること、どうしようかなと思ってることがあるかもしれません。でも、今日ぐらいそれを忘れていいんじゃない? 嫌なことなんか全部、ヒトゴト」と曲につなげるメッセージを放ってから「ヒトゴト」へ。「SHE IS…LOVE」では、有明アリーナの上空を軽やかに舞う“Nフライング”でU:nityを驚かせる。指先まで美しいのがケンティーイズム。歌唱後、宙吊りのまま「フォー! Nフライングどうですか? 有明アリーナは多くのスターがライブしてんじゃん? バックストリート・ボーイズとかハリー・スタイルズとか。でも、多分ここまで飛んだのは、ケント・ナカジマが初めて。このNフライングの行き先は、お前の心の中だよ」と、まるで恋愛映画のキメ台詞のように放つ中島さんに沸き立つ会場。その大きな黄色い悲鳴を聞いて、「ごめん。何度やっても、楽しいわ。最高に気持ちいい(笑)」と満面の笑顔を覗かせていた。

フライングの装置にチュッと感謝のキスをしてステージに着地をすると「可愛い」、「ペンライトが売り切れでマジごめん」と謝罪しても「可愛い」。中島さんが何をやっても「可愛い」と叫ぶ会場。男性からの特大の「可愛いよー!」の声には、「何が可愛いんだ? お前、こっち来いよ(笑)」と愛おしそうにメンズをイジる中島さん。「男子どれくらいいるんですか」と尋ねると大きな声で反応したため、「おい、女子のまれるぞ、頑張れ。でも、嬉しいね。男子も女子もありがとう、センキュー」と、会場中、全方位の声を拾う愛情たっぷりなコミュニケーションが続く。

充実の活動内容を報告する場面もあり、みずほPayPayドーム福岡での「FUKUOKA MUSIC FES.2025」への参加の話では、ドームのステージに立つという流れから、「最終的にはU:nityのみんなと一緒に東京ドーム! マジで。ホントに一緒に行こうね。楽しみにしてる。あと、いつかタイムズスクエアで一緒に年越ししよう」と、夢のビジョンを打ち明ける。2月28日公開の主演映画『知らないカノジョ』の告知のほか、「ananで連載してますけど、見てくれていますか? 面白いですよね。ananは、もう7〜8年ぐらい連載やってますから、10周年目指して頑張っていきたいなと思ってます」と、レギュラーの活動についてもひとつひとつ丁寧にアピールする場面も。

MC中も、“可愛い”の声が鳴りやまず、「君たちよりも可愛くていいんだ? え、だって君が一番可愛いのが嬉しいんじゃない? じゃあ、俺が1番で、お前ら2番な(笑)。…まぁ、いつでもあなたを1番にしたい」と照れずにサラッと甘い言葉を発する中島さん。公演前の会見でも玄米とブロッコリーと鶏やカレーでストイックな体作りをしていると話していたが、ライブのために体調管理を徹底していたそう。食生活も生活リズムも最近は変わってきたとMCでも近況報告し、「みんなが俺に聞きたいことって、多分いっぱいまたあるだろうな。1年で結構、色々変わった」と、ここでインスタの質問箱で募集した質問に回答するコーナーへ。

1つめは“感情を出すのが苦手。何かアドバイスください”という質問に「皆さん、ライブは恥ずかしがらずに全力で声出してください。みんな一緒。みんな赤裸々だからよろしく!」と回答。2つめの質問、“ケンティーのモットーは?”には、「一生夢を追いかけるがモットー。自分にとって、夢はすごく大切で、追いかけてる時間が楽しい」と語った。3つめの質問は、“ドキドキしてる? 会いたかった?”。これには、「当たり前です! もうドキドキしてたし、緊張した。でも、やっぱりステージ出ちゃったら、もう関係なくなったね」とニッコリ。

最終日のこの日は、「ファタール」でキタニタツヤさんがゲストとしてサプライズで登場。ファンの前でふたり揃って初めてのパフォーマンスをすると、割れそうな大歓声の中、ハイタッチしたり、背中合わせで歌ったり、情熱的なステージを繰り広げたふたり。「カレカノ!!」では、キタニさんもトロッコに乗ってファンの目の前へ。歌い終わると「ケンティー最高! いや~、とんでもない体験を本当にありがとうございます」と、キタニさん。

「U:nityだけど、GEMNの子もいるから。どうですか。有明アリーナ。この満員のU:nityの景色」と中島さんが訪ねると、「U:nityってこんな多いんだね。健人さんの国だ。羨ましい。健人さんいい顔してるよ」と楽しそうな中島さんを羨むキタニさん。グッズの銃のペンライトを客席に向け、「ダダダダ」とキタニさんが撃っていくと銃口を向けられたファンが崩れ落ちる姿を見て、「みんなノリが健人さんに似てない?」と大爆笑。中島さんは、「好きな人同士、似るのよ」と自慢げだ。「えっ、じゃあ1万5000人ぐらい健人さんみたいな人がいるってこと? 楽しいけど、疲れるよ(笑)」というキタニさんは、今日が人生初トロッコだったそうで「初というか、これで最後よ。いつだって健人さんのひと声でなんでもやらされちゃう(笑)」と中島さんと息ぴったりなトークを繰り広げていた。

他にも「ファタール」の衣裳について、中島さんは黒の衣裳の左側に羽根がついていて、キタニさんの衣裳には右側に羽根がついてるという裏話も飛び出す。「もう初日から付けてたんだけど、ふたり揃って羽が完成する」と中島さんが説明すると「ジラすね~」とキタニさんも細かい演出に感心。

最後のラストスパートでは、リフターに乗ってスタンド前で運命の恋を思わせる「Love風」を歌い、「一生、離さないよ」と愛の告白を。「Hey!! Summer Honey」では、トロッコに乗って、「まだまだ冬だけど、夏の気分を作れるんじゃない? まだまだアツくなろうぜ」と、有明アリーナをホットな常夏に。時々、「U:nity、俺についてこれる?」と呼びかけるなど、ファンを絶対に置いてけぼりにしない、一緒に楽しんで創り上げるステージが魅力。

終盤には中島さんが今の想いをじっくり語る時間が…。「この1年の中で、いろんな思いや考えが巡って。いつも通り、皆の前に立てるのか、彷徨い続けていた時期もあります。だけど、この1年、4月から新たなスタートを切った今日までの時間、みんなは、僕に愛をくれ続けました。ありがとうございます」と言うと盛大な拍手が中島さんに送られる。

「自分の人生が少し違った方向に受け取られた時期もあって、自分は、これからどうなるのかなって、考えました。でも、長い人生の中でずっとキラキラし続けていられるって安心してちゃいけない。やっぱりファンの皆さんの力がなければ、自分はここに立てないので…」と言ったところで、あふれだす感情に言葉が繋げなくなってしまう。

長い沈黙の後、「…俺、アイドルでいられるかなって思った時期もあって。いや、でも、俺が負けるわけねえなっていうふうに思うわけよ。ずっとプライド持ってやってきたしね。一緒に歩んできたじゃん、みんなと。止まるわけにはいかない。どんな状況になっても、俺は負けないし、変わんない。俺、多分死ぬまで、アイドルだわ。よく聞いて。俺の覚悟は本物だから」と、目をキラキラと潤ませ、涙を流しながら、強い覚悟が滲む、胸の内を明かした。

続けて、「大きな夢を追いかけることが不安になったり、環境が許さなかったり。色々あったけど、みんなの歓声と笑顔を見たら、俺はこれでよかったと思う。俺は自分に負けない。俺はU:nityに何があってもそばにいる。要するに、ずっとアイドルの俺を見てろ、ってこと。本当に愛してるよ」とU:nityへの愛を語り、「ここが俺にとって今、最高のステージだけど、もっと大きなステージやいろんな所を目指す。段階を追って、ドームを目指すから、よろしくね。事務所で多分1人でドームに立った人って、俺は聞いたことない。俺がその最初の1人になるという決意表明。もっとたくさん曲を作って、自分自身磨いて、自分の人生を豊かにして、U:nityのことをもっと幸せにしたい」。大きな夢を掲げて、前をまっすぐ見ている中島さんの想いのすべてが伝わる感動的な挨拶だった。

そして、ラスト曲は、彷徨う日々の中での出会いを紡いだ曲、「迷夢」。「この1年間、いろんなことで迷って、夢の中を彷徨うような時間がたくさんありました。この人生は別れと出会いの繰り返し…。でも、その中でも今、俺は君に出会えた。僕が詩と曲を作ったこの曲で締めたいと思います」と曲紹介をして、「迷夢」をしっとり大人の表情で歌い上げた。

アンコールでは、19歳の時にも小道具として使ったというペロペロキャンディを“原点回帰”の意味を込めて手に持ちながら、「CANDY ~Can U be my BABY~ (New Vocal Mix 2024)」を。ハイテンションに歌い、「やっぱ笑ってる時が一番幸せだ」と、ケンティースマイル。会場が声を揃えて叫ぶ、“ラブケンティー”コールも激アツだ。そして、アンコール2曲目は、「今の僕がちょっと大人のアイドルソングを作るとしたら、どういう曲になるかなと思って、自分で振り付けと構成をしました。最後に僕の手作りの表現を受け取っていただけたら。僕とU:nityとの絆の曲になる、そう思ってます。一生愛されますように」と、U:nityのための「Unite」をまっすぐな眼差しで届ける。最後に「俺の一生に一度しかない最初のソロアリーナライブ楽しかった? 最高の声をありがとう。俺もこの日は絶対一生忘れないと思います。5年、10年、20年、この瞬間だけは忘れないと思います」。

予定より長い時間になったライブ最終日、誰もがこれで終わりかと思いきや、「今も頑張ってる、愛する仲間に想いをのせて。届いてるかな?」という言葉を放ち、Wアンコールへ。「RUN」のイントロがドラマティックに流れると大きな歓声で沸き立つ会場。「RUN」の歌詞をなぞるように、「俺は終わりたくないな。これで終わっちゃっていい? 終わりたくないよね。俺、いろんなところへ巡っちゃうから。よろしく!」と中島さんが叫ぶと、スクリーンに2025年ホールツアー「KENTO NAKAJIMA 1st Tour 2025“N/bias”巡」決定のお知らせが。タイトル通り、中島さんがいろんな場所を巡るツアーの発表に歓喜に包まれる中、幕を閉じたファーストライブ。一生アイドル宣言をして、「いつかドームに立ちたい」と語った中島さんのソロアーティスト人生は、まだ始まったばかり。今はまだ夢の途中だ――。

写真・くさかべまき 取材、文・福田恵子

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No.24312025年01月22日発売

冬のご自愛旅へ。

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