デビューから20年間走り続けてきたSUPER EIGHTのメンバーのゆるぎない絆と支えてきたファンへの愛を再確認するライブとなった「SUPER EIGHT 超DOME TOUR 二十祭」。オープニングで開演30秒前にアラーム音が鳴り響くと、彼らの登場を待ちわびEIGHTコールをしていた会場の5万5000人のざわめきが…。ステージのセットには、そびえ立つ高層ビル群に開発中をイメージさせる巨大なクレーンがかかっている。壮大な宇宙にある転送装置から送り込まれたかのようにビル群の上に5人の姿が現れ、幕開けだ。彼らの晴れ舞台を祝福する盛大な花火がババババンと打ち上がり、1曲目は「浪花いろは節」を。デビュー曲でもあり、原点でもあるこの曲をきらびやかな袴姿で歌った。
「無責任ヒーロー」では、丸山隆平さんと安田章大さんが肩を組んで歌い、村上信五さんと横山裕さんが横に並んで歌う姿も。大倉忠義さんが「東京ファイナル! 最高に盛り上がっていきましょう」と挨拶すると、横山さんが「ドーム、ただいま~! 今日は最高に楽しもうね」と会場に呼びかける。それに続いて、丸山さんが「『ドーム、ただいま~』って言えるアーティストになりました~!」と喜びを爆発させ、安田さんは「愛し合いた~い」、村上さんは「東京ラスト、男エイター、声出てるか。東京全員、一緒になってバカになろうぜ」と、それぞれ愛おしそうにファンへ熱い言葉を投げかける。
横山さんの「東京盛り上がってますか? みんなでブチあがろうぜ」の声を合図に始まったのは、「ズッコケ男道」。今では伝説となった2007年の47都道府県ツアーでも着用していた白い特攻服に身を包んでおり、大倉さんなら背中に“必殺仕事人”など、それぞれこだわりの刺繍が施されている。花道をポケバイで所狭しと縦横無尽に乗り回しながら、ファンの元へ。
誰もが知る大ヒットシングルを畳みかけた後は、大人のムード漂うアーティスティックなナンバーへ。「Jackhammer」では、2010年に行われたライブツアー「8UPPERS」で観客を沸かせたたばこ演出が14年ぶりに復活。横山さんがたばこを吸い、大きくフゥーと白い煙を吐いた瞬間、炎が噴き上がると、会場に驚きの歓声が巻き起こった。胸を焦がすようなヒリヒリした楽曲の世界観を表現するかのようにガンガン炎が上がり、会場の温度がさらに急上昇していく。
ファン待望のユニット曲&ソロ曲パートでは、横山さんと安田さんが「Kicyu」を。2009年の「PUZZLE」ツアーで初披露したこの曲は、横山さん作詞、安田さんが作曲した楽曲で数あるユニット曲の中でもファンからの支持が厚い曲だ。安田さんはグリーンのトレーナー、横山さんはピングのジャージで、登場の衣裳をオマージュしているという徹底ぶり。振り付けも当時のままで、手を握り合ったり、手を合わせたり、可愛いポーズを連発。最後は安田さんが横山さんを後ろからハグ! その照れたやり取りも含めて、歓声が湧き起こる中、みんなのハートをわしづかみに。
大倉さんはチェック柄のグリーンのパジャマで「だってアイドルだもん!!」。バックに関西ジュニアのグループ・AmBitiousをしたがえ、クマのぬいぐるみを持ってキュートに踊る姿に会場は、「かわいい~」の声の嵐。クマのぬいぐるみを横に置いて、体育座りをしながら歌ったり、裏声で“クマちゃん”と叫んだり、可愛らしさ全開の“たっちょん”。普段の大人なサングラススタイルが想像できないほど“アイドル=癒し”の存在を全力で体現。会場中が笑顔にあふれる中、ラストは、照れながらのほっぺハート! 会場全体をトリコにするスマイルで締めくくった。
横山さん&安田さんユニット、大倉さんの可愛い合戦とはうってかわった雰囲気で攻めたのは、村上さんと丸山さん。2009年のアルバム『PUZZLE』の特典映像としてMVのみ収録されたユニット曲「YOU CAN SEE」を。こちらもライブでは待望の復活曲で、ブラックなスタイリッシュな衣裳をクールに着こなし、シリアスな雰囲気を醸し出す。扇子を使用したしなやかなパフォーマンスでは、色気が漂う表情で会場を魅了。背中を合わせて恰好良く歌う姿は、普段のイメージとはギャップ満載で新鮮に映った。
MCでは、横山さんが村上さんに“誘いどら焼き”の罠をかけたという話で大盛り上がり。この日、和菓子好きの村上さんが食べる姿を見たくて、どら焼きの差し入れをした横山さん。村上さんが「ハムッ」と食べる姿が面白いということで、ステージ上でリアル再現をすることに。横山さんが「いつも通り食べて!」とプレッシャーをかけ、村上さんが大きな一口で“ハムッ”と食べると会場から大爆笑。「ハムッて食べてる!!」と大喜びの横山さんに安田さんは「それ、どら焼きの時だけ?」と面白がり、「知らんがなぁ~」と照れまくる村上さん。この横山さんと村上さんの姿を「夫婦やなぁ」と安田さんがいじる姿も…。まるで家族のような間合いは、まさに20年間エイターも見守ってきた、そして見慣れたような世界。そんないつまでも見ていたいようなやりとりに、ほっこり。
後半は、これぞSUPER EIGHT! と言いたくなる、皆で踊って騒げるライブの定番曲で大暴れ! ラッキィ池田さん考案の誰もが簡単に踊れる振り付けが楽しい「“超”前向きスクリーム!」では、皆で踊って一体に。「みんなで踊ろう!」をテーマにファンから映像を募集。その送られてきた映像がスクリーンに映し出される中、5万5000人がノリノリダンス。メンバーがこれまでお世話になってきた笑福亭鶴瓶さん、古田新太さん、南原清隆さん、東京スカパラダイスオーケストラさん、マツコ・デラックスさん、Perfumeさんといった豪華な面々も映像で登場し、スペシャルなお祭り感満点。
続いての「四十路少年」は、大倉さん以外の全員が30代になった時に誕生した「三十路少年」が、今度は大倉さん以外40代になったタイミングでリアレンジしたもの。三十路アイドルとして自虐を交えたコミカルな曲が四十路バージョンになった楽曲は、“だましだましなんとかやっとんねん”など、思わず笑ってしまう前山田健一さんの歌詞がユニーク。村上さんが歌いながら頬っぺたを膨らまし、ほっぺハートを作ったり、丸山さんがぶりっこポーズを披露したりアイドリーな表情を楽しむ5人に見ているファンも笑顔に。
村上さんのピアノソロ演奏から始まった「大阪ロマネスク」。SUPER EIGHTの生まれ故郷であり原点でもある大阪を哀愁たっぷりに歌う楽曲は、今では関西の後輩グループが歌い継ぐ、大切な名曲中の名曲。演奏する村上さんの周りに自然と集まり、大阪時代を懐かしむように優しい表情で歌うメンバーたち。美しい噴水が噴き上がるドラマティックな演出が5人を柔らかに彩り、この20年間に想いを馳せる。
ラストスパートの「LIFE ~目の前の向こうへ~」では、「笑ってついてこい!」「ひとりじゃねーぞ!」と、安田さんが会場に真剣に呼びかける熱い言葉が炸裂し、ボルテージはフルスロットル。歌って、笑って泣いて、叫んで! メンバーとエイターの高揚感と感動で、ドームは一体に。その空間は、まさに、20年という時代を走り、創り続けてきた日本のバンドパフォーマンス、“エンターテインメントの真骨頂であり最高峰ここにあり!” を見せつけてくれた。
最後の曲を前にメンバーひとりひとりがこの20年間の軌跡を辿るように自分の言葉で語る場面があった。
トップバッターは、村上さん。「今日は全部培ってきたものを、何も出し惜しみすることもなく、こんなに温かいエイターのみんなに囲まれて、存分に出せて。これ以上ない20年をありがとうございます。今日はもちろん、今日までやってきたスタッフの皆さん、舞台、ミュージカル、テレビ、映画、ラジオ、ドラマ、バラエティ、CM、いろんな現場でいろんな方と宝物の時間を共有できたこと、本当に感謝しかございません。こんなに何でもできるアイドル。すごくないですか? 今、ここに至るまでのたくさんの時間がありましたけど、今の5人の、この何でもできる20年のセットリスト。まだまだ時間が足りない。きっと 一日中でもやっていられるぐらいの楽曲があります。5人で背負ってここに立てて、もうホントにありがとうございます」とドームに充実のセットリストで立てる喜びを語る。そして、改名したグループ名に触れ、「関ジャニ∞が強いと思ってたんですけど、間違いなく、紛れもなくSUPER EIGHTのほうが強いっすね。そのSUPER EIGHTに至るまで、苦しい時間を共にして今日までSUPER EIGHTをこんな立派に育ててくださって心から感謝いたします」と深く一礼を。
2番目に語った安田さんは「たくさん支えてくれてありがとう! うぉーい!!」と言葉にならない思いを雄叫びに替えて届ける。「20年経って、まだドームに立てているって、嘘みたい。初めて大阪のドームで、ここで『Do you agree?』が流れんのやって思ったけど、またこうやって20周年の今日も『Do you agree?』を披露できて、本当に幸せです。エイター、ここまでついてきてくれて、共に歩んでくれて、ありがとう。立ち止まったりもしたけど、 泣き笑って、進んでこれて、ホントによかった」とエイターに愛あふれるメッセージ。
さらに安田さんが理想のエイターについて語る場面も。「うちの会社にはたくさんのアーティストがいるから、エイターだけど、半エイターみたいな人もおると思うねん。SUPER EIGHTの目指すところは、初めて来た人や、半々エイター、半エイター、出戻りの人も迎え入れること。そんな風に、これからの未来を作っていけるグループなんちゃうかな。他のグループが大好きな人もどんどん巻き込める、でっかい器でいようぜ。その時に初めてSUPER EIGHTとエイターって、国民的アイドルと国民的アイドルのファンって言ってもらえるんじゃないかな。これからも雄叫びを大事にしよう。うぉーっ!!」と飾らない笑顔を浮かべた。
続いては、神がかったセットリストを生み出す名プロデューサー・大倉さん。「この20年のアルバムを 1ページずつめくるような、そんなライブでしたけど、最初の頃はライブで『一生ついてこいよ』みたいなことを先輩の真似して言ってましたけど。大きな会場にみんなが連れてってくれて、いろんな夢叶えて…。5人で『18祭』もできたし、日産スタジアムというグループ史上一番大きいところにも立ったし。『二十祭』もこうやって、このステージに立てて。本当にありがとう。ここ数年は5人ですごくひとつになって、皆についてきてもらおうと、ここまで引っ張ってこれたような気がしています。そうやって一緒に辿りつけたステージであり、景色だと思ってます」と、連れ添ってきたファンと共に歩んだステージを振り返った。
大倉さんは、「ズッコケ男道」を披露していた時の心境についても。「さっき『ズッコケ』をやってる時に気が遠くなって。ボスから言われた一言の『究極のマンネリって素敵だよね』を思い出しました。マンネリってネガティブな言葉ですけど。同じことを繰り返して新鮮さがなくなっても継続することは努力であって。僕たちの代表曲と言えるような曲をやった時に、皆さんが『待ってました』っていう空気を作ってくれること。それは究極のマンネリだなと。これを続けていくと、それが伝統になっていくのかな。これからも自分たちの愛する曲、皆さんに愛していただける曲を歌っていきたいです」と、ここまで続けてきたからこその究極のマンネリに幸せそうな表情を浮かべた。
親しみを込めた独特な喋り口調が印象的な丸山さん。「メンバーの話を聞いていても、本当にマジいろんなことあったよね。みんなも自分の生活の中でさ、これ無理っていうこともあると思う。本当にいろんな出来事を経て、またこうやってドームでみんなと過ごせて…。最初は結構勢いで走ってきて景色が見えなかったけど、ここ数年、ゆっくりじっくり味わって実感できるようになってきて。皆さん、こんないろんなことがあるグループをここまで応援して支えてくれて、こうやって会いに来てくれて、ありがとうとともに、マジでお疲れさま(笑)」と、ねぎらう。「エイターの顔がね、むっちゃみんな優しい顔してんだよね。メンバーも年々、優しい。お互いを思いやりながら前に進もうって思えるグループでよかったし、皆がいてくれてほんとによかったなって思ってます。まだまだこれから先、楽しみなことたくさんあると思いますので、一生ついてこいよ」と、最後はキメポーズ!
ラストは、ささやくように静かに語り始めた横山さん。「僕らってライブで育ってるグループ。初めは松竹座という場所でやってきて、今ではドームで5万5000人入れるようになって、夢のような瞬間です。グループは20周年…さっき村上さんも言ってたけど、彼とは30年弱ですか。大倉、ヤス、丸も27、8年一緒におるのかな。もうホントにメンバーには感謝しかないです。こんなセットリストを作った大倉はすごいし。ヤスはホントにピュア。『俺、SUPER EIGHTでまだまだ大きいことしたい』ってまっすぐに言ってくれた。村上さんは…言ったほうがいいんですか? 『今の僕がいるのは、横山さんがいたから』って言ってくれるけど、よく考えたら、僕から返したことがない気がします。それは僕もそうです」。30年という長い時間を一緒に過ごしてきた村上さんと横山さん。普段はあまり言葉にしない彼が、ドームのステージで初めて伝えた言葉に二人の友情と絆がひしひしと感じられ、二人を称える拍手がドーム中から巻き起こった。
続けて横山さんが「抜けたメンバーもいるけど…抜けていった瞬間はめっちゃ寂しかったですけど、今は頑張れって思う。そう思えるのは、やっぱりSUPER EIGHTがすごいかっこいいし、 充実してるから。おかんが亡くなった時に教えてもらったんです。『楽しい時、人は周りにいるけど、辛い時にいてくれる人は、絶対に大事にしなあかん』って。メンバー、スタッフさん、しっかりこうやって駆けつけてくれてるエイターの皆さん、ありがとうございます。僕は関ジャニ∞も好きですけど、でも、SUPER EIGHTのほうがもっと好きです。最後に全国のエイター、僕らに関わってくれてるすべての皆さん、メンバーが幸せに明るくいられるように、この曲を聴いてください」と曲紹介をして、ラストの曲の「LIFE GOES ON」へ。
この曲は「二十祭」のために書き下ろされた新曲。20周年を締めくくる壮大なバラード曲のテーマは、∞の未来、その先へ――。ここまで走り続けてきた彼らが、これからまたその先へ進んでいく覚悟を綴った歌詞が綴られたSUPER EIGHT流・スタジアムロック。どんな時も共に歩んできたエイターに感謝の想いを届けるように情熱をほとばしらせ、心をひとつにして歌う5人。涙を流しながら歌う横山さんの肩を丸山さんが優しく叩き、安田さんがそんな丸山さんと横山さんの二人を抱きしめるという、メンバー愛が感じられる瞬間も。ドーム中が感動的な空気に包まれ、SUPER EIGHTを祝福するムード一色に包まれた。笑って、泣いて、心を震わせながらステージに立ってきた5人が歩んできた輝かしい軌跡。これまでもこれからも続く、その1ページの軌跡にこの「二十祭」もしっかり刻まれるだろう。