松田龍平「本当に繊細で大変な仕事だな」 『東京サラダボウル』で警視庁の中国語通訳人に

エンタメ
2025.01.21

松田龍平さん

黙ってそこに佇むだけでも魅力を放つ俳優・松田龍平さん。現在、ドラマ10『東京サラダボウル』に出演中。『クロサギ』の作者・黒丸さんの漫画が原作。サラダボウルのように様々な国の文化が混在する東京で、緑色の髪をした国際捜査係の警察官・鴻田に振り回される警視庁の中国語通訳人・有木野了を演じている。

台本の中国語のセリフを見てたじろぎました。

「鴻田のキャラクターにインパクトがあったし、国際捜査係と通訳人というテーマも面白くてぜひ参加したいと思いました。でもいざ台本を読んだら中国語のセリフがたくさんあって、大変そうだなぁって。通訳人役だから当然なんですけど(笑)」

中国語を学ぶのは今回が全くの初めて。これまでも難しい方言のセリフなどを経験してきたが、違う言語を話すのはセンスが問われると語る。

「中国語は、抑揚が言葉の意味に直結してくるところが多くて、はっきりするところはちゃんと意識して発音しないと伝わらなかったりと、難しかったです」

通訳として話さなければいけないというのも演技のハードルを上げた。

「中国語を話すシーンでは逐次通訳といって、一言一句、話している人の言葉を聞いてそのまま訳すというシチュエーションがほとんどで。僕もそんな通訳があるのを知らなかったから面白いなと思ったんですけど。たしかに言葉一つで、有罪無罪が左右されてしまうし、本当に繊細で大変な仕事だなって」

基本、仕事にも人にも距離を置いている有木野。元は刑事だったが、ある事件を機に刑事を辞め通訳人になったらしいことが明らかになる。

「組織の中で自分の正義を振りかざしても結局世の中は変わらないというリアリストだけど、熱い鴻田と出会い、心が動かされていくんです」

どうすれば異なる国の人同士が共生できるのか。外国人居住者が増える現在の日本に問うテーマも込められている。回ごとに描かれる異国の食文化も見どころ。俳優陣も台湾やベトナムなどから多く参加している。

「奈緒さんは、鴻田を体現するパワーのある人で。このドラマでは海外から日本に来ている役者さんも多いんですけど、奈緒さん、みんなを連れて食事に行ったり交流を深めていて、共通言語がないのにパッションだけですごいなぁって。ドラマでは通訳人なんですけど、つい奈緒さんを頼ってしまってました。言葉はもちろん大事だけど、やっぱりその前にハートですよね」

新宿・歌舞伎町や新大久保など多国籍感満載の場所でロケもしている。

「新大久保は、ちゃんと行くのは初めてでした。外国人の方が多かったですね、すごく活気があって、いろんな国の食べ物屋があるから散策しがいがありそうな面白い街でした」

取材時は、まだ最終話まで台本はできておらず、松田さん自身、先を楽しみにしているという。

「有木野を演じていく上で、役に何を感じられるのか、僕も視聴者のような感覚でいるところがあります。過去が語られていく流れを楽しみながら、寒い季節なんで無理しないで頑張りたいと思います」

PROFILE プロフィール

松田龍平さん

まつだ・りゅうへい 1983年5月9日生まれ、東京都出身。’99年映画『御法度』で俳優デビュー。近年の出演作にドラマ『0.5の男』、映画『わたくしどもは。』など。是枝裕和監督のNetflixシリーズ『阿修羅のごとく』が配信中。

INFORMATION インフォメーション

『東京サラダボウル』

外国人居住者の方たちの暮らしや人生に光を当て、そこに向き合う国際捜査係の刑事・鴻田麻里(奈緒)と警視庁通訳センターの中国語通訳人・有木野了(松田)の目線で、異国で生きる葛藤に出合っていく物語。毎週火曜22時~、NHK総合ほかにて放送中。

写真・小笠原真紀 ヘア&メイク・須賀元子 インタビュー、文・黒瀬朋子

anan 2430号(2025年1月15日発売)より

NEW MAGAZINE最新号

No.24312025年01月22日発売

冬のご自愛旅へ。

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