児童書〈わかったさん〉シリーズの新作が登場! 画家・永井郁子が制作の経緯を明かす

エンタメ
2024.12.09

クリーニング屋さんの手伝いで車で出かけていったはずのお姉さんが、いつの間にか不思議な冒険に巻き込まれ、立て続けに起きる“ありえないこと”の先に、おいしいお菓子のレシピが待っている! 昔私たちの心を鷲掴みにした児童書〈わかったさん〉シリーズ。1987年に1作目が発売、全10巻が刊行。今も子どもに大人気のこの児童書ですが、このたび新作が登場! 物語から手掛けたのは、当時挿絵を担当していた画家の永井郁子さん。

子どものときに読んだ人たちが喜んでくれるのが本当に嬉しい。

「もともとのシリーズは、児童文学作家の寺村輝夫先生の物語があり、私が挿絵を描いていました。先生は2006年に亡くなられたのですが、私は寺村先生の作品や世界観を忘れてほしくなく、出版社の方に何らかの形で本を出せないか、相談をしていたんです。そんな中、書店の方から“わかったさんのグッズを作りたい”というお話をいただき、サイン会も開催していただけることに。そのときの打ち上げで新作の話が出まして、寺村先生のご家族にご相談したら、喜んでくださった。ちょうど1年半くらい前のことです」

このシリーズの魅力といえば、突拍子もないストーリーと、思わず歌いたくなる歌詞のような詩。これまで絵本の読み聞かせを100回以上行い、そこで20年近く寺村さんの文章を読んできた永井さんは、わかったさんの世界観を文章で生み出すことがとても楽しかったそう。

「ファンタジーの醍醐味とは、読んでいるひととき、現実ではない自由な場所に行くことができ、主人公と共にその世界を体験できること。また、本を閉じて現実に戻ったとき、その世界で感じた優しさや勇気、あるいはお菓子のレシピなど、その後の人生に役に立つお土産を一つ持って帰ってこられることも、このジャンルのよさ。今作でもそんな体験をしてもらえたら嬉しいですね」

ユニークな物語に加え、わかったさんのかわいくおしゃれな姿も健在。本が発売されてから、愛読者カードやレビューなどを通じ、嬉しい感想がたくさん届いている模様。

「私が思う以上にみなさんが喜んでくださっていて、夢みたいです。“勇気を出して描いてくださってありがとう”というコメントを見たときは、本当に感激しました。来年の夏にも新しい本を出す予定なので、ぜひ楽しみにしてください」

PROFILE プロフィール

永井郁子

ながい・いくこ 画家、イラストレーター。1955年生まれ、広島県出身。’79年に挿絵画家としてデビュー。数々の児童書の挿絵を手掛け、また茶道を楽しく学ぶ絵本シリーズなども出版している。

INFORMATION インフォメーション

寺村輝夫 原案 永井郁子 作絵『わかったさんのスイートポテト』

33年ぶりの新作は、わかったさんと仲間たちが車に乗って“あきのくに”へ! タイトルに使われるお菓子形の文字も当時のまま。スイートポテト、作りたくなります。あかね書房 1320円

写真・土佐麻理子(永井さん) 中島慶子(本)

anan 2425号(2024年12月4日発売)より

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