人生や画業、後世への影響…、ミュシャの世界観を五感で感じられる展覧会。
本展「グラン・パレ・イマーシブ 永遠のミュシャ」は2023年にパリで開催されたイマーシブ展覧会「Eternel Mucha」を日本向けにアレンジしたもの。ミュシャの画業とその傑作を映像へと落とし込み、高解像度のプロジェクションで紹介した没入型展覧会だ。
本展ではミュシャが大画家へと上り詰めていく過程で創作した作品とともに、彼の人生、そして後世への影響を辿る。会場はミュシャのシンボルともいうべき優美な女性像と花々の耽美的な世界の映像からスタート。続いて、創作活動のターニングポイントとなった1900年パリ万博でのボスニア・ヘルツェゴビナ館の内装を、写真や資料をもとに映像で再現。さらに晩年に打ち込んだ20点の巨大な連作〈スラヴ叙事詩〉を、他民族支配による苦難と解放を歴史的場面で追いながら、壮大かつファンタジックに紹介している。
本展はイマーシブ映像のほか、ミュシャの世界観を五感で感じられるよう様々な工夫が凝らされているのが特徴。例えば、ミュシャの女神として名高い大女優サラ・ベルナールが演じた舞台『ジスモンダ』のポスターは、人物像を実在する俳優に置き換えた3Dアニメーションで紹介される。またミュシャ自身のホログラムも登場し、当時のラジオ演説での本人の声も流れる。さらに会場内には4つの「香り」を体験できる演出も登場。ミュシャの故郷モラヴィアの記憶、自身のアトリエの匂い、サラ・ベルナールをイメージした香り、そしてミュシャ作品に数多く登場する花のかぐわしさなど、本展のためにパリの調香師が作り出した香りが楽しめるのは、没入型の展覧会ならでは。
ただ美しいだけじゃない、ミュシャの荘厳な美しさは、忘れられない体験として記憶されるはず。
ミュシャが手掛けた地中海のバカンスに誘う「パリ・リヨン・地中海鉄道」の観光ポスター。
トラピスト派修道院の製法で作られたお酒のポスター。
〈スラヴ叙事詩〉も実際以上の大きさ&拡大率で投影される。
INFORMATION インフォメーション
グラン・パレ・イマーシブ 永遠のミュシャ
ヒカリエホール 東京都渋谷区渋谷2‐21‐1 渋谷ヒカリエ9F 開催中~2025年1月19日(日)11時~20時(12/31は18時まで、入館は閉館の30分前まで) 12/19、1/1は休館 一般2900円ほか TEL:050・5541・8600(ハローダイヤル)