“興味のあること”に我慢しなくていい時代がきた。
「昨年末、突然相方から解散という言葉を聞いた時は驚きましたが、だったら私はチャレンジせなあかんって思ったんです」と振り返る。長年続いたコンビを解消し、所属事務所を離れたのが、今年3月のこと。
「コンビで活動していた時からお笑い以外に興味のあるものが出てきて。時代的にも一つのジャンルにこだわらずに活動している人が増えたと感じていました。ピンでやっていくなら、自分のやりたいことを我慢せず100%やれる環境に飛び込んでみようと。その方がワクワクするし、素敵な未来にするぞ! と努力するから。自分にとってすごく前向きな独立でしたね」
誠子さんがやりたかったことの一つが料理。コロナ禍をきっかけに自炊の楽しさに目覚め、インスタで手料理の写真を日々アップ。料理イベント「誠子食堂」を行ったり、食にまつわるライフスタイルブランドを立ち上げるなど短期間のうちに次々とやりたかったことを実現。
「もともと考える前に実行するタイプ。さらにフリーになったことでとんでもないスピード感が出せています(笑)。一緒にお仕事してみたかった人にDMしたり、わからないことはすぐ人に聞くようにもなりました。とにかく行動。そうしないと夢は叶えられないですから」
そんな誠子さんの頭の中には、失敗という言葉はないという。
「反省することがあっても、それは知見と経験になるわけで、次に生かすのみ。そう考えると、失敗してないって何もしてないということやと思うんです。いろんなことをやってみて、傷つくこともあったけど、それで強いメンタルを手に入れられたので、結果よかったですね」
そして、ポジティブ思考を手にしたのはお笑いのおかげとも。
「怒りや悲しみを笑いに変換するのが芸人だから、自然と前向きになれたのかも。そこには救われていますね。未知なる世界に飛び込む時は不安もあるし、難しく感じることもあるけど、『自分の人生、おもろくなってきたぞ』と思うように。将来の夢はニュージャンルになること。料理もするし、ブランドのディレクションもするし、お笑いもやる。一言で定義できない人になりたいですね」
せいこ 1988年、兵庫県生まれ。2007年、吉本興業所属の芸人コンビ・尼神インターとしてデビュー。’24年3月に解散。同年1月にライフスタイルブランド『merci』を立ち上げ、活動は多岐にわたる。
※『anan』2024年9月11日号より。写真・小笠原真紀 取材、文・浦本真梨子
(by anan編集部)