写真右・イワクラさん、左・荒川さん
胸キュン、やきもち…。まるで恋人のような関係。
大阪でお笑い芸人の先輩後輩として知り合ったふたり。蛙亭イワクラさんを追いかけて、エルフ荒川さんが上京したばかりの頃は3日に一回ペースで会っていたというほど大の仲良し。仕事が忙しくて以前ほど頻繁に会えなくなったものの、今も“かけがえのない存在”だと語る。お笑いの才能を認め合い、共に切磋琢磨してきた戦友であり、心の支えでもあるふたりが、相思相愛の関係性になるまでの歴史をひもといていく。
荒川:初めて出会ったのは約10年前。私がよしもとの養成所「NSC大阪校」時代に、イワクラさんがNSCのライブのMCをやられていて、それで知り合いました。
イワクラ:その後、私がアルバイトしている居酒屋で、荒川もアルバイトを始めて、それでどんどん仲良くなっていった感じだよね。
荒川:でもイワクラさんとちゃんと話せるようになるまで、3年は根気強く粘り続けたと思う(笑)。
イワクラ:そうだったっけ?
荒川:そうですよ! 私と違ってイワクラさんは自分の気持ちを積極的に話すタイプではないから、私のことをどう思ってくれているのか正直分からなくて…。
イワクラ:でも飲みとかは結構誘ってたよね?
荒川:そう、だから嫌われてはいないんだろうけれど何も話してくれないから、私もあえて黙ってみたり。だから会ってもなぜかふたりとも無言という期間が長かった。
イワクラ:たしかに私、基本的にスカしてる部分があるしなぁ。
荒川:だからイワクラさんをずっと観察して、どんなポイントで笑うのか研究しまくって、仲を深めるために努力しました。そしたらある日、酔っぱらったイワクラさんが私の腕に絡まってきて、もうあの時はキュンキュンが止まらず、「イワクラさんが私の腕触ってる~」って、左肩が固まった(笑)。
イワクラ:それ、恋愛じゃん。
荒川:その時初めてイワクラさんが心を開いてくれてると思えて、距離が一気に縮まりましたね。
イワクラ:荒川は、一緒にいるとなんか落ち着くんだよね。それに私とは性格も価値観も全然タイプは違うけれど、お笑いに対する姿勢や考え方が似ているから戦友だと思っているし、荒川が頑張っているから、私ももっと頑張ろうと努力し続けることができてる。
荒川:私もイワクラさんがいなかったら芸人を続けられていないですね。私はこんなギャルみたいな恰好をしているから、「生半可な気持ちでお笑いやりやがって」とか批判的なことを言ってくる人がすごく多くて…。でもそんな時にいつもイワクラさんだけが味方でいてくれて、「周りが分かってくれるのに時間はかかるかもしれないけど、荒川は面白いから絶対大丈夫!」ってずっと励ましてくれて、私はその言葉にいつも大号泣しながら「一生ついていきます~」って言っていたと思う。
イワクラ:荒川のことをチャラいとか言う人もいたけど、私はそんなこと一度も思ったことがない。会った時からずっと面白いし、すごい努力家だし、いいヤツだからいずれ絶対に売れると思ってた。
荒川:そんな愛に溢れるお言葉をいただけるなんて、今までなかったんじゃないですか! 私は愛を示したいタイプだから、いつも長文のメールを送っちゃうんですが、イワクラさんから返ってくるのはクマのスタンプだけ。本当何を考えているのか分からなくて、一時クマがトラウマでしたもん!
イワクラ:同じように長文で返すのはちょっと恥ずかしいじゃん。でも荒川が人気出てきて、以前のように頻繁に会えなくなってきたでしょ? ちょっと寂しいからなんとか気を引こうとして、他の後輩芸人とわざと仲良くして、やきもちを焼かそうとしていた。
荒川:見事にその策にはまって、私、その度にヒステリックになってるんですから!
イワクラ:なんかかっこつけたいんだよね。基本的に荒川に自分がスベってるところは見られたくないし、悩んでいる姿や弱っているところを見せたくない。
荒川:たしかに私の仕事の悩みは聞いてくれるけど、イワクラさんから聞いたことないですね。
イワクラ:私のことを命とか言ってくれる荒川に見捨てられないように、面白くない先輩だと思われないように頑張っているんだ。
荒川:なんか今日、素直ですね。
イワクラ:最近、荒川忙しいから誘えていなかったけど、これからは積極的に誘って、自分の思いを伝えるようにするわ。思いは口にしないと伝わらないもんね。
荒川:イワクラさ~ん、マジ命!
Iwakura 1990年4月10日生まれ、宮崎県出身。NSC大阪校34期生。2012年にお笑いコンビ「蛙亭」を結成。毎週火曜24:15~『イワクラと吉住の番組』、毎週水曜25:56~『イワクラせいや警備保障』(共にテレビ朝日系)が放送中。
Arakawa 1996年8月30日生まれ、大阪府出身。NSC大阪校38期生。2016年にお笑いコンビ「エルフ」を結成。“ギャルあるある”でバズり、漫才やコントでファンを獲得。’23年『女芸人No.1決定戦 THE W』で準優勝を果たす。
※『anan』2024年8月28日号より。写真・内山めぐみ 取材、文・鈴木恵美
(by anan編集部)