河井ゆずるさんと手書きの関係。熱と想いを、文字に込めて。
バラエティ番組のフリップや、インスタグラムに投稿された手書きメッセージの文字が美しいことで話題となった、アインシュタインの河井ゆずるさん。どこで習得したのかと尋ねると、なんと独学だったことが判明!
「教室に通ったりしたことはないんです。小学生でひらがなを習った時に、“なんでお手本どおりに書かれへんのやろ…”と不思議で、どうにかして同じように書きたいという気持ちが漠然とあって。チラシの裏に文字を書いて練習してましたね。性格も大きいと思います。先生が黒板に書いたものをノートに書き取る時に、ノートの罫線やマス目から文字がはみ出るのが気持ち悪くて、うまく収まるまで消して書き直していました。“きれいに書けるまで次にいかれへん”みたいなルールが自分の中にできて、先生が黒板を消し始めたのに書き直し続けて、写すのが間に合わないことも(笑)」
アルバイト先での経験も大きな影響を与えることになる。
「18歳の時に働き始めたレストランバーのオーナーがメニューを手書きしていて、いわゆる美しい字とは少し違う素敵な文字やったんですけど、魅力的でいいなと思ったんです。その後、オーナーが新しく立ち上げた居酒屋の社員になり僕がメニューを書くようになってから、明らかに字が変わりました。『蓮根』は漢字にしようとか、ちょっと漢字が多いから崩したひらがなを入れてみようとか、全体のバランスを見ながら毎日1時間半くらいかけて書いていましたね。自己流ですけど、筆ペンの使い方も身につきました。しんどかったですけど、楽しかったです」
書いていて気持ちのいい文字は、「道」だという。
「そもそも『しんにょう』を書くのが好きで、なかでも『道』はバランスがとりやすいんです。難しいのは『な』で、いまだに納得できるものが書けない。『井』とか『川』みたいな単純な配列のものもなかなか大変ですね。基本的には崩すことはせず、見た人に“ていねいに書いているな”と思ってもらえるような字を目指していますね。逆に、大喜利でフリップに回答を書く時はあえて崩すようにするというか、あまりきれいに書かないようにしています」
人が書いた文字もよく見ている。
「お寿司屋さんの看板とかは観察しちゃいますね。いいなと思うものもあれば、“なんでこんな感じにしたんやろ”と思うこともあります(笑)。好きなのは書道家の武田双雲さんの字。美しくて読みやすいのに、はらいなど、いろいろな部分に個性を感じるところがすごいなって思います。カラオケで、めちゃめちゃうまいのになんか響かんなぁって思う歌の人っているでしょ? トットってコンビの多田(智佑)がそうなんですけど(笑)、それは文字でも同じ。ピカソの絵じゃないですけど、基礎がしっかりとできている上で、オリジナリティがある字に惹かれます」
もらったファンレターには、できるだけ手書きで返信するようにしているという河井さん。
「想いを込めたい時は、やっぱり手書きするようにしています。多分、手書きのメッセージをもらって嬉しくない人っていないんじゃないですか。誕生日やクリスマスみたいな特別な日じゃなくても、たとえば、ごちそうしてもらったお礼にハンカチやお菓子と一緒にメッセージカードを添えたり、そういうことをしても喜ばれると思いますよ!」
かわい・ゆずる 1980年11月28日生まれ、大阪府出身。お笑いコンビ・アインシュタインのツッコミ担当。『ラヴィット!』(TBS系)の火曜レギュラー。YouTube「アインシュタインのYouTubeシュタイン」を配信中。
メガネ¥54,230(オプティカルテーラー クレイドル/オプティカルテーラー クレイドル 青山店 TEL:03・6418・0577) その他はスタイリスト私物
※『anan』2024年4月24日号より。写真・Marco Perboni スタイリスト・津野真吾(impiger) ヘア&メイク・伏屋陽子(ESPER) 取材、文・重信 綾
(by anan編集部)