意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「サイバー被害」です。
物流にダメージを与える攻撃が多発。対策は急務
昨年9月末にアサヒグループホールディングスはサイバー攻撃を受け、システム障害により、受注や出荷が停止。市場でシェアの約40%を占めていたアサヒビールが品薄になりました。ランサムウェア(身代金要求型ウイルス)グループの「Qilin(キリン)」が犯行声明を発表。この被害により10月のアサヒ飲料の売上高は前年比約40%減、アサヒグループ食品は約30%減。顧客や従業員の個人情報など約191万件が流出しました。物流回復は2月までかかる見通しです。「Qilin」は2022年に登場した、ロシア語話者中心のグループとされており、複数の国で医療や建設、食品加工などの業界を標的に攻撃。被害件数は915件(昨年10月時点)に上っています。
10月にはオフィス用品通販のアスクルが「ランサムハウス」というグループから攻撃を受け、身代金要求に応じなかったところ、約74万件の顧客や取引先の情報が流出。物流を担っていたロフトや無印良品のネット通販にも影響が出ました。被害を検証したところ、「ランサムハウス」はネットワークに侵入してから、4か月かけて偵察、侵入を拡大し、大きなダメージを与えようとしていたことがわかりました。
サイバー攻撃が巧妙になっている今、どの企業も頭を悩ませているのは、サイバー防衛に関わる費用です。担当部署は危機感を共有していますが、経営陣はそこまで資金を投じる必要があるのかと考えがちです。そんななか、日本マクドナルド社では、偽のフィッシングメールを流し、どのくらいの社員やアルバイトが実際にアクセスしてしまうのかを検証する研修を行い、リテラシーの向上を図っているそうです。
グローバル企業の場合、ネットワークは海外支店や買収先の小さな会社にまで広がっています。システムにアクセスできるすべての人のIDを確認できるわけではありません。こういう問題が「スパイ防止法」策定の議論にもつながっています。あなた個人のスマホに送られたメールやショートメッセージを何気なくクリックすることから、ウイルスが侵入する危険性も大いにあります。今や注意しすぎても足りないくらい、注意が必要だと思います。
五月女ケイ子解読員から一言

私も詐欺メールで、モバイルバッテリーを大量に購入されたり、ウーバーで3万円分注文されたりしました。個人でも防衛が大変だから企業はもっと大変そう。こうなると紙や電話や手紙、アナログがやっぱいいよねーって時代になっていくかもですね。
解説員
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堀 潤
ほり・じゅん ジャーナリスト。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。『堀潤 Live Junction』(TOKYO MX月~金曜20:00~21:00)が放送中。新刊『災害とデマ』(集英社)が発売中。
解読員
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五月女ケイ子
そおとめ・けいこ イラストレーター。楽しいグッズが買える、五月女百貨店が好評。細川徹との共著、ゆるくておバカな昔ばなし『桃太郎、エステへ行く』(東京ニュース通信社)が発売中。
anan 2478号(2026年1月7日発売)より




















