動物学者・今泉忠明さんが解説。猫がかわいい秘密

見た目もやることも、とにかく猫のすべてが愛おしい。そこに理由なんて…あるんです!『ざんねんないきもの事典』などの監修本が人気の今泉忠明さんが、猫のかわいさの秘密を教えてくれました。


Navigator

Profile

動物学者 今泉忠明さん

1944年生まれ。東京水産大学(現・東京海洋大学)卒業後、動物学者の父に誘われ、国立科学博物館所属の特別研究生として哺乳類の生態学、分類学を学ぶ。上野動物園動物解説員、伊豆高原ねこの博物館館長などを歴任。著書も多数。

いつまでも赤ちゃんのよう。だから、愛おしい。

美しい瞳やふっくらマズルなど、下記のように猫の魅力を挙げたらきりがない。なぜ猫はこんなにもかわいいの? その理由の根本には、「動物の赤ちゃん全般にある〝ベビーシェマ〞という概念がある」と動物学者の今泉忠明さん。

「大きな頭やおでこが広い、目が顔のやや下にある、丸い体型など。多くの動物の赤ちゃんにある特徴は、そもそも人間の赤ちゃんが持っているもの。ひとりでは生きていけないから、大人にかわいいと思わせてお世話をしてもらう、いわば武器なんです。そして大人は、まんまと守ってあげたいと思っちゃう。それは本能なんです」

そのかわいさを猫はいつまでも持ち続けているという。

「人間が一緒に暮らすイエネコは、赤ちゃんの要素を残したまま成長する〝ネオテニー=幼形成熟〞という特徴がある。野生のネコ科動物だと、成長とともに顔つきがワイルドになり、独立心も強くなるけれど、イエネコの見た目はあまり変わらず、ニャーニャーと鳴いたり、甘えたり、行動もいつまでも赤ちゃんぽいんです」

さらに、ほかのかわいいポイントにも、ネコ科本来のハンター的特性などが隠されているという。その秘密を知ると、ますます愛おしく、猫沼にハマること必至!

SECRET① きれいな目

「猫の瞳の色はいろいろで、アイラインもくっきりでお化粧してるみたいだよね(笑)。それはさておき、白猫はブルー、茶系の毛色の子は金色など、瞳の色は被毛の色によってほぼ決まっているんです。ちなみに、たまに見かける左右で色が違うオッドアイは、遺伝子のいたずらによるもの。青い瞳と同じ側の聴力がない場合が多いですね」

SECRET② ふっくらマズル

「猫のヒゲはアンテナ。常に動かして安全確認をしています。そして、気になるものを察知すると、ヒゲを前向きにしてチェックしに行く。先端が触れた時に対象物が少しでも動いたり、危険を感じたらすぐ逃げる。マズルといわれる口まわりは、筋肉が発達しているのでぷっくりと見えるんですよ。ちなみに犬はヒゲをほとんど使ってません」

SECRET③ 丸い顔

「ポイントは鼻と口。イエネコは狩りをして肉を食いちぎったり、骨を砕いたりする必要がないから、顎が発達しなくなっちゃって口も小さめ。鼻も小さいんですよね。毛がない鼻鏡っていう部分が、ヤマネコとか野生のネコ科動物は大きいんです。出っ張っている部分が小さいと、必然的に顔は丸く見え、かわいらしく思えるんです」

SECRET④ ザラザラの舌

「猫のザラザラの舌で舐められると、猫好きの人はクセになるって喜びますよね。あのザラザラは、毛繕いの時には櫛の役割をするんです。水を飲む時には、それぞれが小さな柄杓となってすくっている。ヤマネコなどの野生だと、骨に残った肉を削ぎ取るのにも役立っています。その分、舌に味蕾が少ないから、実は味オンチなんですよ」

SECRET⑤ にゃー

「ニャーニャー鳴くのは野生では子猫だけ。母猫を探したり、何か要求がある時に鳴きます。でも、イエネコは大人になっても鳴く。赤ちゃん気分で、お腹すいたとか、遊んでほしいとか、かわいい声を出して飼い主にアピールします。そうすると人間は、なんでもやってあげたくなっちゃう。猫は要求が通ることを知ってるんですよね」

SECRET⑥ 器用な前脚

「高いところへよじ登ったり、扉を開けたり、チョイチョイと触りながらモノを移動させたり、水をすくったり…。猫は前脚の使い方がとても器用で、見ていて楽しいですよね。それは鎖骨があるから。おかげで肩関節の可動域が広くなり、前脚を横に動かしたりさまざまな動きができるんですよ。この鎖骨、ライバルの犬は発達していません」

SECRET⑦ 豊かな表情

「猫は、人間や猿などの霊長類に次いで表情筋が発達しています。ですから、いろんな顔つき、仕草をする。猫同士でも表情でコミュニケーションをとってるんですよ。遠くに怖そうな猫がいたら、道を変えて回避するとか…(笑)。でも、人間には笑っていたり、悲しそうに見えるその表情も、猫的には必ずしもそうとは限らないんですけれど」

SECRET⑧ 柔軟性

「“猫は液体”と言われるほど柔軟性が高く、狭いところにもするりと収まってしまう。それは狩りをする時に、音を立てずにいろんなところを通って獲物に忍び寄るので、関節が柔らかくなくちゃいけないんです。体が硬いとガサゴソ音がして、相手に気づかれちゃう。そのかわり、持久力はないので長距離を走るのは苦手なんです」

SECRET⑨ スリスリ

「猫は人の足などによくスリ~ッとしてきますよね。飼い主を喜ばせてくれるこの仕草ですが、猫にとっては自分のものであるマーキング行動。外から帰ってきた時に、匂いを上書きしたり…。寂しかったとか思うのは、人間の勘違い(笑)。もちろん嫌な人にはマーキングもしないんで、好かれていることは間違いないですけど」

SECRET⑩ ぽよんぽよんの下腹部

「猫の後ろ脚の付け根付近にあるたるみは、食肉類特有のもの。犬やイタチ、熊なんかにもあって、ケンカをして噛まれても、内臓までは達しないように守っているんです。あとは走ったり、ジャンプする際の可動域でもある。ちなみに、猫は首まわりもタプタプしていて、母猫は子猫を咥えて移動しますが、あれも痛くないようですね」

SECRET⑪ ぷにぷにの肉球

「肉球はクッション。高所から飛び降りた時にも音を立てず、長距離を歩くのも楽。ハンターとしてはとても有用です。やわらかいのは、家でのほほんと暮らしているから。あと、猫が唯一の汗をかく部位でもあって、匂いでマーキングする役割もあるんです。人間が大好きな香ばしい香りは、指の間の毛で汗が蒸れた匂いです(笑)」

SECRET⑫ 失敗をごまかす

「失敗したり、何かをやらかした時、猫は体を舐めたり、後ろ脚で頭を掻いたりする。これは転位行動というもので、気を紛らわしているんです。本来ハンターである猫は、単独行動で暮らしてきたから、いちいち深く落ち込んではいられない。早く気持ちを切り替えて、次の行動を起こすんです。人間も見習うべきところですね」

あわせてチェック! 👀🐈

information

ムック『anan特別編集 にゃんこ♡LOVE もふもふ大豊作』

猫好きな人はもちろん、そうでもない…という人の心にもにゃんこ愛が燃え上がること間違いなしの猫だらけムック、かわいいが止まらない一冊。本インタビューは、好評発売中のムックが初出です。

詳細はこちらから

Loading...
モデル・Pomme(エムドックス) 構成、文・野尻和代

anan特別編集『にゃんこ♡LOVE もふもふ大豊作』(2026年2月20日発売)より

Share

  • twitter
  • threads
  • facebook
  • line
エンタメ

Recommend

こちらの記事もおすすめ

ヨーロッパ企画の人気作で、初の舞台主演を果たすIMP.鈴木大河。芝居、そしてグループへの想いを語る
ヨーロッパ企画の人気作で、初の舞台主演を果たすIMP.鈴木大河。芝居、そしてグループへの想いを語る
Entertainment
仲宗根梨乃さん・Kevin Wooさんが語る日プ新世界のときめきって?
仲宗根梨乃さん・Kevin Wooさんが語る日プ新世界のときめきって?
Entertainment
【嵐ラストライブ】嵐ラストコメント全文「僕たちが、嵐でした。いや、僕たちは…嵐です」(櫻井翔)
【嵐ラストライブ】嵐ラストコメント全文「僕たちが、嵐でした。いや、僕たちは…嵐です」(櫻井翔)
Entertainment
【嵐ラストライブ】最高に幸せな33曲3時間。We are ARASHI 5.31 ファイナル ライブレポート
【嵐ラストライブ】最高に幸せな33曲3時間。We are ARASHI 5.31 ファイナル ライブレポート
Entertainment

Movie

ムービー

Regulars

連載

動物学者・今泉忠明さんが解説。猫がかわいい秘密 | anan