どういう会議の流れでオファーきたんや!? という意外性が実は一番うれしい。
「僕は自分のオリジナル・アルバムにタイアップ曲は入れない主義。僕の場合、オーダーをいただいて書いた曲は作品や出されたテーマに沿って書く。そうすると一曲一曲バラバラでアルバムにまとめた時にバランスがとりにくい。だったら外仕事をコンセプトにアルバムにしようと、このシリーズが生まれました」
アルバムを通して聴くと、その多種多様な仕事ぶりに舌を巻く。人気アニメの主題歌にはじまり、ラグビーの稲垣啓太選手と共演もしたテレビCMのカバー曲、情報番組のテーマソングにコラボ曲の数々…。曲調もラウドロックからEDM風、ハートウォーミングなポップスまで、その幅の広さに彼が多くのオファーと真摯に向き合い、応えてきたことがよくわかる。
「でも、曲順を決めて一つのアルバムとして聴いた時に、あ、すごく自分っぽいとも思ったんです。シリーズIやIIのころはニーズに応えることで精一杯だったけれど、最近の楽曲はそれを踏まえつつ自分のカラーを出すこともできつつあると思う。そのフェーズまで来られたんだというのを確信できました」
「Beats Per Minute 220」の歌詞にもあるとおり、中学の先輩と後輩の関係であり、デビュー以降も切磋琢磨を続ける盟友ヤバイTシャツ屋さんとの初コラボ曲や、Hey! Say! JUMPやSexy Zoneへの提供曲のセルフカバーなどファン待望の楽曲も多数、収録されている。
「初音源化した中で注目してほしい曲は、NHK富山放送局のマスコットキャラクター“きとっピ”のテーマソング『富山におるちゃ』ではないでしょうか。富山にコネもない、行ったこともない岡崎体育にオファーをしてきてくれた、大変ありがたい一曲です。いまだにどういう経緯でオファーがきたのか謎です。でも、実はこういうのが一番うれしいんです。どういう会議の流れで岡崎体育にまかせてみようとなったんや!? という時ほど僕の腕の見せどころ。どんな方ともタッグを組んで、いいケミストリーを見せられる、自分の音楽の可能性を示せると言っていきたい。それを宣言するアルバムシリーズでもあると思っています。もっと多くの方に岡崎体育にまかせてみよう、と思っていただきたいです!」
また、今回は「サブマリン」の12インチのアナログ盤も同時発売。レゲエサウンドが心地いいサマーソングは、すでにライブで披露されている定番曲だ。
「これはもうすぐ発売する予定のオリジナル・アルバムに収録予定の一曲。先行でアナログリリースするのは初めての試みです。ライブでやり続けているし、お客さんに『もう聴き飽きたわ』と言われても耳を貸さず、今後もやりたいと思っている贔屓曲なので、ひと足早くお届けしたいと思いました。新しいアルバムは京都・宇治の実家を出て初めて東京ですべてを制作。今後の僕の進む道を指し示す一枚になっているんじゃないかと思います」
岡崎体育の腹の内には、きっとまだまだ知らない魅力が詰まってる。
左・TVアニメ『マッシュル‐MASHLE‐』オープニングテーマ「Knock Out」、フラワーカンパニーズのカバー曲「深夜高速」など全11曲を収録した『OT WORKS III』¥2,500。
右・アレンジを外池満広、ミックスをDub Master Xが手がけた12インチアナログシングル『サブマリン』¥2,860(共にSMEレコーズ)。
おかざきたいいく 10/7より、昨年に続き全国のライブハウスを巡る「okazakitaiiku JAPAN TOUR II」がスタート。11/4には、きとっピのホームタウンである富山SOUL POWERでも公演を行う。
※『anan』2023年10月11日号より。写真・小笠原真紀 取材、文・梅原加奈
(by anan編集部)