人生の先輩的女性をお招きし、お話を伺う「乙女談義」。今月のゲストは女優の梶芽衣子さん。第1回は「いつの間にやら女優のレールに乗せられて?!」。

デビューから5年は、とにかく過酷でした…。

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私がこの世界に入ったのは、高校生のときに銀座でスカウトされたのがきっかけ。もともと生まれが神田なので、遊び場が銀座。明治屋さんで舶来のチョコレートやお菓子を見たり、千疋屋さんでパフェを食べたりするのが大好きでした。とはいえお小遣いは少なかったので、そんなことができるのはごくごくたまに。そんなとき、「モデルをやりませんか?」とお声がかかり、「もっとパフェが食べられるなら!」と、アルバイト気分で始めたのが最初です。とはいえ、女優になるとかそんなことは一切考えておらず、あくまでもアルバイト。でも、突然モデルクラブが解散、知らぬ間に所属が別の事務所に変わり、さらにいつの間にか映画会社の日活に私のプロフィールが渡っていて、ある日いきなり「映画に出ていただきます」と言われたんです。正直、訳が分かりませんよ(笑)。ただどこかで、「面白そうではあるわね…」と思ったのは事実。そこから私の女優人生が始まりました。

最初に主演したのは青春恋愛映画のヒロイン役でした。でも私は、演技なんてやったこともない、習ったこともないただの17歳。その17歳を相手に、監督、スタッフ、先輩の俳優の誰もが厳しく、ものすごく怖かった。もちろん後々、新人への優しさだったと理解はできましたが、当時は毎日やめたいと思ってました。愚痴を言いたくても撮影所に友達もいない、かといって家族にも言えないし…。できることといえば毎日お風呂で「バカー! やめてやる! 撮影所が明日消えてなくなればいい!!」と叫ぶしかない。しかも全然泣けなかったんです。泣けるってまだ余裕がある状況で、本当にしんどくてキツくなると涙も出ない。ここがすごく切ないわよね。そんなこんなで5年間映画に出て、23歳でバシッと日活を退社。でも女優をやめようとは思わなかったの。日活だけで終わりたくなかったし、ここでやめたら女が廃るって思って。やっぱり意地があったんでしょうね(笑)。

かじ・めいこ 1947年3月24日生まれ、東京都出身。2/11より公開の西川美和監督作品、映画『すばらしき世界』に出演。ドラマ『きのう何食べた?』の筧史朗の母親役でも知られる。

※『anan』2020年2月10日号より。写真・中島慶子

(by anan編集部)

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インナーチャイルドと向き合うことに関係した日です。孤独感や無邪気に遊べなかった記憶、怒り、不満、抑圧感などをいかにして癒し、自己肯定感を高めるか。幼いころの感情や記憶は、ふとしたことをきっかけに甦るものです。大人としての自分と、未消化になっている感情体験との上手な折り合いのつけ方を探す日といえます。

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