葛飾北斎、生誕260年! “質感がわかるほどの肉筆画”を展示

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2020.04.01
4月5日(日)~9月27日(日)に岡田美術館にておこなわれる「生誕260年記念 北斎の肉筆画 ―版画・春画の名作とともに―」の魅力に迫ります。

葛飾北斎の実力を思い知る、圧倒的な肉筆画の数々。

江戸の浮世絵師と聞いて誰もがまず思い浮かぶ作家といえば、葛飾北斎。1760年、現在の墨田区に生まれた北斎は6歳の頃から好んで絵を描いた。数え年で19歳の時、役者絵版画で一世を風靡し、美人画で有名だった勝川春章に弟子入り。浮世絵師・勝川春朗としてデビューする。勝川派から離れた後は、たびたび画号を変えて90歳で生涯を閉じた。

今年は北斎の生誕260年。それを記念した本展では彼の40歳代から最晩年までの各時代を代表する肉筆画11点を中心に、版画・版本、春画を含む全17点の北斎作品が展示される。ちなみに肉筆画とは、大量生産できる版画に対し、絵師が一点一点筆で描く唯一無二の絵のこと。版画より自由度が高いため絵師の実力がダイレクトに反映されるのが特徴だ。

まず最大の見どころは、北斎50歳前後の作品と伝わる肉筆美人画。なかでも「夏の朝」「美人夏姿図」の2点が並んで展示される機会はめったにない。また、北斎ファンには欠かせない浮世絵「冨嶽三十六景」より、三役とも呼ばれる「神奈川沖浪裏」「凱風快晴」「山下白雨」も登場する(※)。これらは北斎が70歳の頃に手掛けた作品で、西洋のプルシアンブルーの顔料を使った表現が話題を呼び、風景版画の大ブームを巻き起こした作品だ。さらに通なファンに愛されている『北斎漫画』も展示。北斎の漫画スケッチともいうべき本作は、彼が55歳から没後まで刊行され続けたロングセラー。変顔、動物、コミカルな人の動きなどユーモアたっぷりのこの本もお楽しみのひとつだ。さらにもう一つ、大人向けの企画として紹介したいのが北斎作の春画。特に北斎が絵だけでなくストーリーまで担当した『萬福和合神』は、読み物としても楽しめるはずだ。

迫真の精密描写に注目! 質感がわかるほどの肉筆画。

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上・義経、静御前、弁慶という人気の3人を描いた作品は精密かつ構図も洒落ている。葛飾北斎「夏の朝」(部分)19世紀初頭 岡田美術館蔵 下・髪を整える女性の傍らには金魚鉢や房楊枝(歯ブラシ)もあり当時の文化も伝える。葛飾北斎「堀河夜討図」(部分)19世紀前半 岡田美術館蔵

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以前はこんな作風も! 40歳代以前に描かれた屏風。

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北斎が40歳頃よりも以前に描いた屏風絵。私たちがよく知る彼の作風とは違い、優しいタッチで四季の移ろいを伝えている。年代によって違う北斎絵の多彩さを楽しめるのも本展の魅力だ。葛飾北斎「四季耕作図屏風」(部分)19世紀初頭 岡田美術館蔵

生誕260年記念 北斎の肉筆画 ―版画・春画の名作とともに― 岡田美術館 神奈川県足柄下郡箱根町小涌谷493-1 4月5日(日)~9月27日(日)9:00~17:00(入場は閉館の30分前まで) 会期中無休 一般2800円ほか TEL:0460・87・3931 ※冨嶽三十六景「神奈川沖浪裏」「凱風快晴」「山下白雨」はそれぞれ展示期間が異なります。

※『anan』2020年4月8日号より。文・山田貴美子

(by anan編集部)

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