とっさに出てくる言葉に、その人の品性が宿ります。
このあいだ食事をしていたお店で、店員さんが「こちら、お野菜です」と言うのを聞いて、お野菜の“お”は誰に教わって、つけているんだろうと思ったんです。働いているお店につけろと言われたのか、それとも、親のしつけで昔からそうしているのか。
以前、仕事でロケをした時に、スタッフの方に「寿司屋じゃなくて、お寿司屋さんと言ってください」と言われたことがありました。その時に、たしかに“寿司屋”と言う人もいるなと。ただ、それは番組だったから言ってくれたけど、日常ではなかなか指摘されないことだと思ったし、“お”には、その人の品性がにじみ出ると思いました。うどんより“おうどん”、味噌汁より“お味噌汁”のほうが、上品な感じがしますよね。
そう、これもロケの時の話ですが、とあるおじいちゃんに年齢を尋ねた時に「いくつですか? うわー、元気!」と言ってしまったことがあって。後で、「おいくつですか? お元気ですね!」と、きちんと言えなかった自分のことを、すごく残念だと思ったんです。やっぱり、とっさに出てくる言葉にこそ、人となりが宿るもの。銀座のクラブで働くママは、絶対に「お元気?」と言いますよね。ていねいにしすぎて変な言葉遣いになることはあるけど、とはいえ、“お”をつけて、悪いことはないと思いました。
まずは、身近なものに“お”をつけて、慣れていくとよさそう。これは“お”をつけると変だなとか、仕分けをしてみるのもアリです。最初は、“お水”とか“お豆腐”から始めて、最後には“おねぎ”までいけるとベストですね。漫画の『SLAM DUNK』の「左手はそえるだけ…」じゃないですが、自然とつけられるようにしたい。的確に“お”をつけられるよう、努力あるのみです!
よこさわ・なつこ 芸人。『バイキング』(フジテレビ系)や『王様のブランチ』(TBS系)など、数多くのバラエティ番組にレギュラー出演している。著書『追い込み婚のすべて』(光文社)が発売中。
※『anan』2019年8月7日号より。写真・中島慶子 イラスト・別府麻衣 文・重信 綾
(by anan編集部)
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