海外でも読まれている日本の小説はハルキだけじゃない。国内出版社の努力によって、さまざまな小説が各国の言語に翻訳され、人気を博しているのです。

今、日本の小説の翻訳版が海外で健闘している。昨年末には村田沙耶香さんの『コンビニ人間』が『ニューヨーカー』誌の「The Best Books of 2018」の一冊に選出、今年は横山秀夫さんの警察小説『64』がドイツ・ミステリ大賞海外部門で1位を獲得。両作品の版元・文藝春秋のライツビジネス部で海外への翻訳出版を手掛ける新井宏さんによると、

「欧米圏で他国の小説への関心が高いのはまず、フランス。アメリカよりイギリスです。『64』もイギリス版が英国推理作家協会賞の翻訳小説に贈られるインターナショナル・ダガー賞にノミネートされたことで各国が興味を示しました。村田さんの場合は以前、短編が英国の文芸誌『GRANTA』に掲載されたことで関心を集めていました」

アジア圏でも日本文学は人気で、多くの作品が中国、韓国、台湾などで翻訳されている。

「海外では再販制度がない、出版社によって出す本のジャンルが違う、1作家1出版社が基本など、日本と出版システムが全く違う。そこを意識したスキームづくりをしてきました。日本のコンテンツは多様性があり質が高いので、まだまだ可能性はある。“記念出版”ではなくビジネスとして成功したいと思っています」

『CONVENIENCE STORE WOMAN』

SAYAKA MURATA $20(Grove Press)

book

米雑誌『ザ・ニューヨーカー』が選ぶThe Best Books of 2018選出
2016年の芥川賞受賞作。コンビニでのアルバイト歴が実に18年となる、古倉恵子、36歳。恋愛や結婚に興味はなく、仕事を愛し日常に満足しているが、周囲はその生き方に批判的で…。現代社会における生き方と価値観の模索がアメリカでも共感を呼んだ模様。

『64』

HIDEO YOKOYAMA 28ユーロ(ATRIUM)

book

ドイツミステリ大賞 海外部門1位
たった7日間しかなかった「昭和64年」に起きた少女誘拐殺人事件。時効が迫り、元刑事で今は警察の広報官の三上は再び事件と対峙する。警察組織、記者クラブなど日本特有の文化、風習が盛り込まれた推理小説が海外で高評価を獲得するのは嬉しい驚き。

あらい・ひろし 文藝春秋・ライツビジネス部。文芸編集部を経て現職。日本の小説を欧米で翻訳出版することは、作家にとって大きな夢。その実現のためのサポートをするのがライツ担当の仕事です。

※『anan』2019年7月10日号より。写真・中島慶子 取材、文・瀧井朝世、三浦天紗子

(by anan編集部)

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慢心によって信頼を損なう意味のある日で、ネガティブな事態を避けるには強気な姿勢や傲慢な態度を改めることが必要です。周りの見本となるべき人が、あるいは手本となるべき大人が勝手気ままなことをしていたら、それは確かに困った事態を招くでしょう。言動には責任が伴うことを、いま一度よく考えておきたい一日です。

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