アニメ映画の仕事において彩色とは、架空の世界にリアリティを持たせる重要なパート。特に動く絵に塗られた色は、限られた色数でも工夫によって、キャラクターに生き生きとした存在感を与えるばかりか、その心情までもリアルに伝えてくれる。
「スタジオジブリでは『もののけ姫』を最後に、セル絵具での映画制作が終了。もう20年以上経ちました。数年前、展示替えのため過去のセル画を整理したところ、1枚のセルに何十もの色をひとつひとつ手で塗ってある緻密な仕事ぶりを改めて見て、館長が驚き、この仕事をぜひ紹介しようと、今回の企画展が決まったのです」(広報部・机ちひろさん)
本展では、高畑勲監督や宮崎駿監督が目指した“登場人物の日常生活を丁寧に描くことから生まれる豊かな画面作り”を、大小のパネルと実際のセル画、映像でも紹介する。
例えば、時刻によって変わってゆく色、光と影、自然光を効果的に使う方法、植物の描き方など、細部にまでこだわった彩色への工夫が、展示には惜しみなく公開されている。また、高畑・宮崎両監督がテクニックを学んだビリービンの絵本の挿絵なども展示。どこを見て何を学んだかまで明記された解説にも感心する。
「キャラクターの服に関して、宮崎は明るい黄色やピンク、青を多用する。一方、高畑は落ちついた色が多く対照的。そんな彼ら2人から全幅の信頼を得ていた色彩設計の保田道世さんの力は大きかった」
その保田さんも2年前に他界し、今は彼女の教え子たちがジブリの配色を担う。脈々と受け継がれる色彩観を支えた丁寧な仕事ぶりは、実際にその目で見ないともったいない。
「映画を塗る仕事」展 三鷹の森ジブリ美術館 東京都三鷹市下連雀1-1-83 開催中~2019年11月(予定) 10時~18時(入場は1日に4回) 火曜、12/28~1/2休(12/25は開館) 一般1000円(入場は日時指定の予約制。チケット販売はローソンのみ) TEL:0570・055777(9時~18時※休館日を除く)◎Museo d’Arte Ghibli ◎Studio Ghibli
※『anan』2018年12月26日号より。文・山田貴美子
(by anan編集部)
※あなたは大丈夫...?男が吸い付きたくなる「モチぷる肌」?
[gunosy]
#男の本音について、もっと深く知る?[/gunosy]