食べながら整えるファスティングのススメ。
「かつてファスティングをやったときに一番印象に残っているのは、つらい空腹感。私は食べるのが好きで、仕事柄食事の意味や大事さも知っているので、食べながら同じ効果を得られる方法はないのか…と、長年考えていたんです」
と言うのは、今年の1月に〈食べるファスティング〉の書籍を出版した管理栄養士の板橋里麻さん。
「いわゆるファスティングは消化器官を休ませてリセットするのですが、〈食べるファスティング〉は、食事をし、消化器官を働かせながら整えていきます。もちろん食事の量は普段に比べると随分少ないです。でも1日3回食事ができ、かつサラダやスープは固形物を咀嚼しながら食べられますし、間食もOK。食べられるということは調理もできるので、精神的にも満足度が高い。他の時間は、ゆっくり散歩をしたり、おこもり美容に勤しむのもおすすめです」
もちろん人によりけりですが、板橋さんは、初日からお腹がぐるぐる動き始め、2日目、3日目と進むうちにむくみが取れ、肌の発色が良くなるそう。終了後は“食べる量”が減ったという人も。
「金曜日から準備をし、週末の2日間でファスティングをしてみると、カラダのリセットを実感できると思いますよ!」
〈食べるファスティング〉4つのポイント
1、普段摂りすぎている栄養を控え、日常で摂りにくい栄養をしっかり補給。食べながら効率よくカラダをリセット。
現代人の食生活は、胃腸に負担がかかる動物性タンパク質や脂質を摂りすぎている人が多く、逆に腸内環境を改善してくれる食物繊維が不足気味。ファスティングの間は前者を控え後者を摂り、胃腸ゆっくりを整えます。
2、金曜日に準備に入り、土日でファスティング、月曜日から回復食、が理想。
初心者は、ファスティングは2日間から始めるのがおすすめ。今週食べすぎたな、なんだかカラダが重いな、と思ったら、その週末にぜひトライを。できれば木曜、あるいは金曜から準備期間に入り、土日にデトックス!
3、2日間の食事メニューは、朝はスムージーかポタージュ、昼はサラダ、夜はスープ。
ファスティングに入ったら動物性タンパク質や脂質はお休みし、野菜やきのこを中心に、発酵食品などとにかく胃腸に優しい食材を食べる。サラダとスープはいつも以上によく噛んで、素材のおいしさを味わって。
4、お腹がすいてしまったときは酵素ドリンクや甘酒、干し芋を。水分&ミネラル補給も忘れずに。
空腹がつらいと思ったら、酵素ドリンクや甘酒で血糖値を少しアップ。フルーツや干し芋を少量食べるのもいいでしょう。また頭痛が起きた場合は、塩や梅干しでミネラルを摂取。いずれにしても水はたっぷり飲みましょう。
準備日から回復期まで。4日間の食べ方。
実際にトライした場合、4日間、どんな感じのプログラムなの? 下がそのモデルプラン。サラダがもりもりで、嬉しい! 「ファスティング中は水分をたくさん摂ってください。理想は自分の体重(kg)×30~50ml。ルイボスティーやハーブティー、小豆茶などノンカフェインのお茶もOKです。夏場は暑いですが、食事をしていないため、カラダは冷えやすくなっています。冷たい飲み物は避け、温かいものを積極的に飲んでください」
1日目【準備日】
目標は腹八分目。動物性タンパク質とカフェイン、アルコールとはしばしのお別れ。
いきなり食事を減らしてしまうと、脳が“飢餓状態だ!”と錯覚し、カラダに不調が出ることも。本番前1~2日は、消化の良い食事を心がけ、徐々に食事量を減らします。動物性タンパク質&脂質を減らし、発酵食品を摂る。またカフェインを含むコーヒーやお茶、アルコール、レトルト食品、お菓子も控える。炭水化物も少なめに。
2日目【ファスティング1日目】
最初の日は胃腸にねぎらいを。そして消化力を高めよう。
朝:にんじんと生姜と柑橘のスムージー
昼:大根とルッコラのサラダ
夜:たっぷり野菜のスパイススープ
初日はまず、内臓負担を軽減したい。キャベツなど消化の良い野菜を選び、メニューを構築。朝食はスムージーで糖質を摂取。それによって副交感神経のスイッチが入り、代謝が促されます。昼は酵素が摂れ、噛むことで満足感があるサラダをチョイス。夜はスープでビタミンやミネラルを摂り、カラダをしっかり温めます。
3日目【ファスティング2日目】
むくみを解消&デトックス。腸内環境にアプローチ。
朝:ブロッコリーとほうれん草のポタージュ
昼:ケールとさつまいものサラダ
夜:根菜ときのこの塩麹スープ
ファスティング2日目のメニューで、腸の動きをアクティブにしていきます。さらにむくみ解消とデトックスのため、肝機能にもアプローチする食材を摂取。ちなみに夜ごはんの量を減らしカラダの負担を軽くすることで、眠りの質の改善も促されます。人によっては、「3日目もいけるかも?」と思う人もいるとか、いないとか?!
4日目【回復期】
内臓に負担をかけないようおかゆやリゾットで徐々に回復。
ファスティングが終了し、徐々に普通の食事に戻していく時期のことを、「回復期」といいます。栄養吸収力が高まっているこの時期の食事はとても大事。いきなり高カロリーな食事や高脂質なものを食べると、消化器官に負担がかかり、折角の努力が台無しに。おかゆやリゾットなど胃腸に優しいものから食べ始めましょう。
いたばし・りま 管理栄養士。ファスティングプログラムを提供する「DELIFAS!」代表。今年1月発売の『DELIFAS!式 2DAYS週末リセット 食べるファスティング』(SDP)が話題に。
※『anan』2024年7月3日号より。イラスト・Taira Kaede
(by anan編集部)